読む人を選ぶ作品 - KING OF BANDIT JINGの感想

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KING OF BANDIT JING

3.003.00
画力
5.00
ストーリー
4.00
キャラクター
2.50
設定
3.50
演出
4.00
感想数
1
読んだ人
1

読む人を選ぶ作品

3.03.0
画力
5.0
ストーリー
4.0
キャラクター
2.5
設定
3.5
演出
4.0

目次

青年誌移行でさらに面白く

「KING  OF BANDIT JING」は、「王ドロボウJING」シリーズの続編です。前作のキャラクターや設定を引き継ぎ、青年のジン、または少年のジンを主人公に描かれます。

前作は小学生が読むような雑誌に掲載されていましたが、子供向けにしては、テーマもテイストも渋すぎる内容でした。

続編では、おおよそその土台は変わらず、青年誌に移行したので、やっと読者の層が作品に合ったのかな、と思います。

今作では、さらに作品の自由度が上がったように思います。

作画も王ドロボウジンより更に暗いというか、闇を感じさせる描き方をしていると思います。アメコミ的な表現も増えたと感じます。

とても上手いですし、他の作家には描けないというか、作者のみが描ける境地に達していると思います。

これは少年誌では描けないテイストの作品だと思うので、「こういうものが、作者はずっと描きたかったのかな」という感じです。

テーマも臓器売買や人身御供など、これも少年誌では描けない、アンダーグラウンドなものとなってきます。

子供向けのマンガを、大人向けしてに描く、というのは、もしかしたら前代未聞奈のかもしれませんが、全く違和感がありません。

きちんと読者の層に合わせた上で、ジンワールドになっているのかな、と思います。

なぜかキャラクターに思い入れがない

主人公のジンはすごく魅力的なキャラクターです。

何でもできて、それでいて多くを語らない、ちょっぴりお茶目な主人公です。

多分好きな人は大好きですよね。でも、多分ジンシリーズを初めて読む、一般の読者からすると、ちょっとパンチに欠けるかもしれません。

今までは相棒のキールが、コミカルな部分やジンの語らない部分を、代わりに喋ってくれて成立していたんだと思います。

ただ、青年誌だと、それだとちょっとかわいすぎるのかなと思います。

もちろんそれで楽しめる読者もいるし、成立はしているのですが、やっぱり読者の年齢層が低くないのであれば、ジンはジンだけでキャラクターが立っていないと、なんとなく登場人物が動いてるなーくらいの感情しか沸いてこないんですよね。感情移入できないというか。

やっぱりキャラクターに感情移入する部分がないと、繰り返し読みたくならないというか、「一回読んだらいいか」みたいになってしまうと思います。

ジンをこのままのペースで描くのであれば、モブのキャラクターにもっと感情移入させた方がいいですね。

このシリーズで言うと、グラナデンやアニゼットが相当するキャラクターなのかもしれませんが、ちょっと弱いですよね。

やってることは分かるのですが、読者には彼女達に共感できる部分がないというか。

もっと独白させてもいいと思うんですよね。これだと登場人物全員人間味が無さすぎます。ただストーリーを追ってるだけになってしまうので…。   

あと、なぜかジンガールがみんなかわいくないですよね。ジンより美形な女子がいない。表情が固いというか、少ないですよね。

シン・ルーなんてほとんど無表情ですしね。アニゼットが多分一番ごちゃごちゃしたキャラクターなんですけど、それさえも「ごちゃごちゃ描きたいんだろうなー」と思ってしまいます。絵は上手いんですけど…ジンガールは王ドロボウジン時代の方が、全然かわいかったです。

全体的に説明不足な印象

ジンシリーズを初めて読む人には、全体的に説明不足と感じられるのではないかな、と思います。

私はつぎはぎの街が一番好きなのですが、何回か読まないと意味が分からない部分がありました。

未だに説明がつかないというか、分かっていない部分もあります。(私の理解能力不足もありますが…)

街全体が意思を持っていて、神躯の具合に左右されている。臓器を気軽に販売しており、付け替えができる、など設定の面白い話です。

ただなぜ神駆が暴走したのかとか、ブラッディーシーザーは何だったのかとか、シン・ルーはなぜ魅入られたのかとか、展開が結構強引だったかなと思います。

ジンの前には追いかけてくる人が必要だったり、ジンガールがピンチに陥らなきゃ話にならないのは分かるのですが…そこにしっかりした説明がほしかったですね。

シリーズを通して、こういった展開になるのに理由があんまりなかったりするので、「何で今こうなっているんだろう」と前のページまで戻ったり結構しがちでした。

千年シチュウ編も難しいですね。未だにラストの目玉のお化けが何だったのか分かりません。結局グラナデンの妹シュガーを千年シチュウに供する旅だったのに、王様はとうに滅んでいたという事がラストになって分かります。

じゃあなぜ風習だけが残ったのか。誰が何のためにまだ続けているのか。その回答は、本編中にあるようで無いのです。

このように、ストーリーや設定の難しさが際立つ一方で、キャラクターはおざなりのような印象を、申し訳ないですが抱いてしまいました。

やっぱり、キャラクターがストーリーを動かすというよりは、ストーリーにキャラクターが引っ張られているので、「何を見せられているんだろう?」という感じがしてしまいます。

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