究極の純愛漫画。 - 天国の花の感想

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天国の花

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究極の純愛漫画。

5.05.0
画力
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ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
設定
5.0
演出
5.0

目次

昼ドラを少女漫画化したようなストーリーに釘付け。

作者の稚野鳥子先生の作品は好きな作品がとても多く、かなり集めていますが、この「天国の花」は特にその中でも好きな作品です。昼ドラマのようなドロドロの部分と、しっかりとした純愛の部分が凄く絶妙に描かれていて、ストーリーは息つくヒマなく、最後まで一気に読ませる。なおかつ、何度も何度も読み返したくなる作品です。1994~1996年、三部に渡ってぶーけで連載されていましたが、連載当時はもう翌月の発売が楽しみで、楽しみで、続きを読みたくて、待ちきれなかった想い出があります。勿論、コミック化も全巻揃えました。

主人公、相手役、脇役のキャラクターの描き分けが凄い。

この漫画の主人公、名前を倉橋流布と言いますが、稚野鳥子さんの漫画の主人公の名前っていつも可愛くて、センスがあるなぁ~と思います。子供ができたらつけてみたいような名前。その流布ちゃんですが、美大を目指す、超・エスカレーターのお嬢様学校に通っているのですが、この流布ちゃんの着てる学校の制服がめちゃくちゃ可愛いのが印象的です。しかも、この制服のデザインは流布ちゃんの有名なデザイナーのお父さんのデザインで、そのお父さんといのが凄くロマンティックな女の子~という感じの洋服をデザインする人で、娘命のなかなか良いキャラなのですが、その反面、流布とその妹の菜摘の母親とは離婚、その後、物凄く年下の、のちに流布が好きになる瑞野秋くんの血の繋がらない姉と再婚・・・しようとするという、何とも娘命のわりには勝手な感じで。笑。そのキャラと少女服のデザインというコントラストが面白い。でも、制服だけでなく、普段の流布の洋服などもそうですが、とにかくお父さんのデザインする服が可愛い。実際は稚野鳥子さんがデザインしてる訳ですが。笑。一度、コミック一巻で一巻当時の家庭教師の彼(笑)とデートする時に、お父さんのデザインのものではない服を着て行って、「へんじゃないけど、いつもみたいな方がかわいくていいな」と言われてしまいます。

そして妹の菜摘がこれまた凄い面白いキャラで、彼女が出てくると、とにかく和みます。一挙手一投足が面白くて可愛いのです。流布ちゃんが好きになる純愛の相手、秋くんとの絡みがまた絶妙で、普段はキツくて不愛想な秋くんが、血の繋がらない姉、親友の耕平、そしてこの菜摘だけにはやさしくて、そういったキャラが、M体質女子の心を嫌ってほどくすぐります。笑。秋くん、凄く屈託のあるキャラなのですが、とにかく彼がカッコいいのはこういう所かなと。そして、大人に見えて、実は中身は凄く子供だと言う点。流布ちゃんを好きなのにその気持ちが分かって無い。ちょっかいかけてるのが本心とは分からない。そのくせ、大人の女性と付き合い、手あたり次第に女子に手を出しまくるというそのギャップ。その点を耕平が代わりに作品の中で語っているのがまた良かったですね。

秋くんという人。

秋くんが血の繋がらない姉に執着するのは、親に捨てられた子供が、家族に対する愛情だった事にも、駆け落ちするまで気がつかない。そして、その事に気がついた時にショックで死のうとするが、助かり、けれどその時のショックで記憶喪失になり、流布に再会。その時の秋くんが、自分の本心に忠実に流布に接する姿がまた良かった。(相変わらずの女に手あたり次第だったのは、それも本質だったという事なんですが。笑。)

でも、この漫画で一番好きなキャラは流布の親友の衿ちゃんです。流布も「頑張れー!」と応援したくなるんですが、この衿ちゃんは「誰か、彼女を分かってあげて!支えてあげて!」と叫んでしまいたくなるほど、凄くクールでカッコよい女子なのですが、ずっと好きな幼馴染の耕平(秋くんの親友)に告白できないまま、耕平に彼女ができて、時を同じくしてアメリカに留学中、暴行事件に巻き込まれてしまう。それでも、心の奥底に一杯のものを持ちながらも、正面上はクールで、流布を大事に思い、流布の心配ばかりしている。彼女には泣けます。最後には耕平と結ばれて本当に良かった・・・。その耕平ですが、これまた超・鈍感で、超・良い奴で、衿ちゃんだけじゃなく、秋くんも、ヘンな意味じゃなくて、好きなんですね。笑。いいキャラしてるのです。感情が全部、全身から出るようなキャラで。

というように、凄く多彩なキャラで、しかもそれぞれが凄く個性的で、登場人物の設定が良いとうのと、しかも、漫画ですから、絵でも見せないといけない。それぞれの人物の描き分けとか特徴がキャラクター設定だけじゃなく、絵でもしっかり見せないといけなくて、そこがイコール漫画家さんの力量かなと思うので、そういう点でもこの作品は秀作だと思います。

唯一のツッコミどころはその秋くんの血の繋がらない姉であり、流布のお父さんの元・婚約者となった梗子さんでしょうか。笑。彼女の変貌ぶりはホラー映画のようです。笑。このキャラはもし、この漫画がドラマ化とか、映画化されたら、さぞかし面白いだろうなぁ~と思わずにはいられませんでした。もし、映像化されたら話題を一気に持っていきそうな、怪演者です。笑。

流布ちゃんの移り変わり。

主人公の流布ちゃんについてもう少し書きたいと思いますが、彼女は単に恐ろしく可愛いだけじゃなく、実は水泳部で、普段はあま~くてほんわりしたような感じなのですが、泳いでいる時はキリっとしてるそのギャップが良いです。普段は可愛いけど、泳いでる時は綺麗みたいな。そして、彼女は秋くんにいじめられ、フラれ、捨てられ、ボロボロになりながらも、秋クンを愛する事でどんどん強くなる。そして、ずっとずっと秋くん一筋なのです。究極の純愛です。いじわるな秋くんが、流布だけが覚えていると思っていた、最初の出会いの場面を秋クンも覚えていた。ほんの一瞬、道ですれ違ったその瞬間から、お互いが意識していた。好きになるのには、理由も、何も無く、ただ好きになってしまった。人を好きになる感情は、一時でもすべてを投げ出しても良いと思える位、色んな感情の中でも相当強いと思うんです。そんな、誰かを物凄く好きになるという流布さんの姿が全編において物語を引っ張っていきました。

漫画家、稚野鳥子さんの作品の魅力。

私は冒頭で書いた通り、この作品の前から漫画家、稚野鳥子先生のファンです。私がこの漫画家さんを凄く好きな理由は一杯ありますが、先ず、絵柄が最高に好みです。女の子はとことん可愛いし、男子は最高にカッコイイ。それに何と言っても、前述の主人公の流布の妹、菜摘のような、稚野鳥子さんの漫画にはよく小さな女の子が出てくるのですが、その小さな女の子がページに出てくるだけで、物凄く癒されますし、読んでて楽しい。男女間の恋愛の物語だけでなく、そういった別の楽しめる要素もいつも組み込まれている。女の子も可愛いだけじゃなく、この作品の衿ちゃんみたいにカッコいい女子も良いですし、秋くんみたいなS体質のキツイ感じの男の子から、流布の従兄弟のアイドルみたいな圭吾くんから、色んな女子・男子の絵柄も好きです。

凄く胸キュン満載の漫画を描かれますが、この作品もそうですけど、成人した、例えば、アラサーとかアラフォーの人が読んでも、気恥ずかしくないというか、違和感なく読めてしまう。その理由は演出の上手さかな・・・と思います。という訳で、すべてにおいて最高の5をつけました。すべてにおいて優秀な作品だと思います。

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