ギャグだけどいい話系にまとめる巧さ光る - 我妻さんは俺のヨメの感想

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我妻さんは俺のヨメ

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画力
4.75
ストーリー
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キャラクター
4.75
設定
4.75
演出
4.50
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ギャグだけどいい話系にまとめる巧さ光る

4.04.0
画力
4.5
ストーリー
4.0
キャラクター
4.5
設定
4.5
演出
4.0

目次

非モテ男子の妄想ほど楽しい

青島、伊東、小松。バレー部補欠で非リア充。3人でつるんで、だいたいエロ本とかエロゲー・リア充への嫉妬で渦巻いているような、根暗地味男集団であった。そのうちの一人、青島は、なぜか突如として一時的なタイムスリップ能力を身につけ、なぜかクラスで一番人気の我妻亜衣と10年後の未来で結婚しているということに確信を持つ。現在と未来を行き来して、確実に我妻さんと自分が結婚している…!でもどうやって…?狙ったタイミングで未来に飛び立てるわけではなく、夢うつつのまどろみの時に突如10年後に飛んでしまう青島は、どうにか10年後のヒント、過去のヒントをもとに我妻さんとゴールインできることを目指して行動し始める。

真面目に書くとそういう話なのだが、要はラブコメであり、ギャグ中心。狙った通りの未来をつくれずシルヴィアや伊富さんなど別のヨメ候補たちとのゴールインエピソードにも心揺れながら、何とか我妻さんと現実にお近づきになろうと奮闘。非リア充集団であるDX団たちの腐った行動も楽しませてくれる。ロリコン、アイドル好き、巨乳好き、まだまだ恋がわかりませんというやつ…赤裸々に男の子事情を語ってくれているのだろう。彼らのように欲望丸出しな男たちほど、おもしろいギャグはない。

途中青島が我妻さんと何とか付き合えた時は、え、そろそろ終わりも近い…?と思ったが、まさかの破局も経験。非リア充仲間たちからの熱い嫌がらせにも負けず、どうにか愛を貫こうとする青島。がんばっているけどどこか残念な男。妬み気質だが、容姿端麗・頭脳明晰・文武両道・性格良しの我妻さんに釣り合う男になろうと奮闘する青島。自分で思っているよりも、意外と周りは君のことを高く評価していたよ。

大好きDX集団!

DX集団という、イケメン気さく人間の土橋をどうにか地に落としてやろうとする同級生たちの非モテ男たちの集まりがあるが、彼らこそギャグの泉。出るわ出るわ、彼らが集まるともう面白い話しかないでしょってほどに笑える。青島はこいつらとは違うって思って一歩下がってみていたはずが、我妻さんが絡んでくれば血相変えて誰よりも熱くてめんどくさい粘着質男に大変身。時にDX集団を牽引するほどだった。

土橋くんが、心の中もイケメンだったわけではなく、いろいろ悩みながら人と接していたことが分かった回は、一番いい話だったなーって思う。自分だってちょっと汚れたところがある。それをさらけ出せる相手を一人も持てず、人気者のようで実は誰より孤独だった土橋くん。未来では我妻さんの水着を盗んで刑務所送り・人生真っ逆さまで暮らしていたのだった。そんな未来を変えたいと動いた青島のおかげで、別の未来が誕生。良き友だちとして関われるようになり、まっとうな職業に就いて働く未来に変わってくれたことは、なんだか他人ごとではないような気がして嬉しかったね。恋のライバルだったはずが、かけがえのない友だちになれたなんて。素敵よ、青島。

そのほか、DX集団がもたらすギャグはなかなかに秀逸。エロ本かエロゲーに収束するものの、そこに至るまでのエピソードは毎回だらけることなく、似ているわけでもない。毎回一ひねり加わっていて、おもしろく仕上がっている。

タイムスリップをうまく使って

第1巻の予想では、順調に我妻さんとの距離を縮めていき、乙女ゲーをクリアするかのように我妻さんをゲットするのが最終目標になると考えていた。ところが、思ったよりもタイムスリップして変えられる未来の幅がそんなに大きくなくて、タイムスリップできる能力がいったい何のために現れたのか、何を期待されて起きたことだったのかがなぞだった。

ラストで関先生もタイムスリッパ―であり、青島よりも完全に上位の能力を持つことが判明。彼は狙った時代に飛ぶことができるのだと言う。結局その力の根源は謎なんだけど、彼によって、我妻さんの悲しい未来が明らかになり、高校を卒業してから10年後の例の時間が訪れるまで、一度もタイムスリップの能力が発動しなかった。もはやこれは、我妻さんの病死を止めるために発動させられた能力、と言いたいよね。まぁギャグのラブコメにそこまで深い考察を求めるものではないし、うまいことラストに持ってくるため、関先生を登場させたのかもしれないけど。

青島だけが時を越えられるから、他にももしかしたらいるんだろうとは考えていたけど、ぽっと出の関先生がその役割になるとは思わなかった。伊東と小松は立場的に無理だとして、女側で誰か同じ能力があって、どうにかくっつこうと事態を引っ掻き回している…というような展開なら腑に落ちる展開だなーと考えていたからね。

誰よりも先に青島を好きになってくれたのはシルヴィアで、本気で青島を狙ってきたのは伊富さん。我妻さんというゴールが分かっていなかったら、青島は絶対彼女との結婚ルートを選べなかっただろうし、彼女の不運の死を救うことだってできなかった。

10年想い続けたからこそ

高校卒業してから、我妻さんとの交際もできてたわけじゃなかった、という事実がすごく悲しいよね。高校から付き合って、ゴールインして、幸せに暮らして10年後を迎えているのだと思わせておいて、実はそのタイミングは実にきわどい時代。彼女が旅立ってしまう前のエピソードだったわけだ。ギャグのくせに、この展開の巧さは考えていなくて驚かされた。屈辱。

10年の間は、それこそ未来に行くこともなく我妻さんを救う日のことだけを考えて行動していた青島。もう人生損してるんじゃない…?人一人死ぬかもしれない・それが大好きだった女性かもしれないって思って、真面目にその時を守ろうとする青島、かっこいいぞ!ヘタレなりに妹想いで、友だち想いで、一生懸命な青島。彼が本気でがんばったラブレターポエムはドン引きだけれど、彼の優しさはじーんとくるものがある。実際、顔はそんなに地味男じゃないっていう事実。伊東と小松がすっごいかわいそう。

それにしても、10年後の空港で再会した我妻さんが手紙のことといい色々と忘れ去っていることが相当ショックだった。いい子だからこそ、覚えていてくれて、けっこう感動的な危険回避になると思っていたからね。ただ、青島の一方的な行動によって、美化されすぎた我妻さんよりも、若干ツンデレチックな我妻さんを見れた。これは儲けものだった。いい子ちゃんっていうだけじゃない、彼女の意志の強さというか、本来の彼女を見ることができた気がする。

絵が変わりすぎでしょ

それにしても…最終巻の絵の違い、いったいどうなってるの?え?ここにきて、ここだけ少女漫画みたいにするの…?10年経過させて成長させなきゃいけないのはわかるけど、ただ老けたし、身長が大きくなって我妻さんも顔が全然違くなってしまって…かわいい我妻さんだったからこそ人気が高かったはずなのに、この引き際の残念感、どうしてくれるんだ…。ラストにかけて若干シリアスになってしまって、絵が変わってしまったことも相まって、ギャグの良さが全然出ていないのが心残り。もっと面白おかしく終わる予定だったんじゃないのか?少年漫画と言えば、こういった巨乳美女を妄想で攻め落とすもの。たとえいい話系で仕上げるとしても、伊東と小松、DX集団を忘れることなく、どこまでもぐいぐい暴れさせてやってほしかったよ。

少年漫画にしては13巻という引き際は短いほうかもしれない。でもまとまりはあるし、飽きさせないギャグの展開が光る。男女問わず楽しめる内容だ。

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