かっこよすぎる男たちにクラクラさせられながら観る映画 - 浪人街 RONINGAIの感想

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浪人街 RONINGAI

5.005.00
映像
3.00
脚本
5.00
キャスト
5.00
音楽
1.50
演出
3.50
感想数
1
観た人
1

かっこよすぎる男たちにクラクラさせられながら観る映画

5.05.0
映像
3.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
1.5
演出
3.5

脚本と出演者だけで成り立っている映画で、これほどまでに本物のすごい映画を私は観たことがないんじゃないかなぁ、と思います。 脚本、演出、出演者、映像、音楽などすべてのバランスやクオリティが高いものこそいい映画、と考えられているこの時代から見ると、この作品はかなりいびつなバランスなのですが、だからこそ際立つところもたくさんあるな、と感じさせられます。当時の映画に多い、いきなりぶつ切りにしてくっつけられたシーンの展開や、このシーンにそれだけの尺を取るのか??(うどん屋のところとか)、などなど、ちょっとなぁ、と感じる点は多々あるのですが、もう、それらを出演者と脚本がすべて帳消しにしてくれます。 浪人って、今の人にはわからない職業(職業じゃないけど)だけど、その中にもいろんな生き方があって。原田芳雄のちゃらんぽらんかと思いきや、ものすごく筋の通ったところにぐっとくます。何もしないのに、お金を積まれておしんを助けに行くところとか、もう、、観ているだけなのに、こっちがギラギラしちゃいます。そして、おしんを呼ぶ、腹の底から振り絞った声。彼の、本当の想いの丈を知るシーンですが、人の名前を呼ぶだけで、これだけいろいろな想いを伝えられる役者は、あとにも先にもいないんじゃないかと思います。 純粋な男気の石橋蓮司の白装束にもキュンときます。 想い人である樋口可南子を抱かせてほしいとお金を持ってくるシーンなど、泣けてきます。 田中邦衛も、途中までは北の大地を彷彿とさせるイライラ感があるんですが(すみません、わたしイラチなんで)、最後の最後にやってくれます。 また、勝新のまさかの展開にも胸がすく思いになります。 もともと、みんな武士の魂を持っていて、そこからいろんな理由ではみ出して浪人になってしまったけれど、のうのうと暮らしている武士よりもずっと本物の武士だったんだなぁ、と感じさせられるのです。 杉田かおるの、若くてフレッシュな雰囲気も素敵です。 ああ、この人こういう仕事をしていたのか、と高校生の役しか知らない私にとっては衝撃的でした。そして、何より樋口可南子。時代こそ違いますが、ちょっと竹久夢二的な気配の着物の着こなしに感激します。 ちなみに、わたしが一番好きなシーンは、原田芳雄がお店の主人が死んで暗い雰囲気の店の中で、流しで汚れた足をざぶざぶ洗っているシーンと、刀を死ぬほどぶらさげて走るシーンです。 これがサマになる役者は、本当に彼だけでしょう。 大切な人が亡くなってしまいました。 お疲れさまです、と言いたいです。

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