時代をつくった少女漫画の破壊力は現役 - 花より男子の感想

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漫画レビュー数 3,136件

花より男子

4.504.50
画力
3.67
ストーリー
4.00
キャラクター
4.50
設定
4.50
演出
4.50
感想数
3
読んだ人
28

時代をつくった少女漫画の破壊力は現役

4.54.5
画力
3.5
ストーリー
4.0
キャラクター
4.5
設定
4.5
演出
4.5

目次

F4の行動はやっぱり謎

お金持ちたちのいじめがそれはもう直接的で、わかりやすくいじめだね。それ、ほぼ人死んじゃうけど?っていう方法も描かれていてびっくり。つくしが車に括りつけられて引きずられたときはどうしようかと思った。あんなのケガじゃ済まんでしょ。でもみんな楽しそうに続けるわけ。誰も止めに入らない、あの異様な状況が実に…心がえぐられる感じもする。まさに大衆効果。

F4って何なのさ?って考えると、そういういじめを公然と始めさせるスイッチになっていると気づく。お金持ち学校の風紀をある意味保つというか。F4に目を付けられた人間は、F4にいじめられるわけじゃなくて、学校中の生徒たちからのいじめに遭うんだもんね…で、それをわかってて赤札を下駄箱に貼るという…腐った金持ちどもである。

そして、それを何にも悪びれることなくやっている。めんどくさいのが、性格が悪いっちゃ悪いんだけど、なんか憎めないのがF4たち。花沢類は無関心だけど、美作と西門はわりと楽しんでいる。自分で手を下すことは絶対になくて、道明寺だけがいつもいじめの中心にある。下っ端にお金ばらまいてつくしを襲わせてみたり、誘拐まがいの行動で困らせてみたり。黙ってみている花沢類・美作・西門も相当イカれた奴だけど、それなりに道明寺を含めた4人の中で友情もあって、各々が過去にキズも持っていて…非常に複雑なメンバーなのだ。

だからといってあのいじめは許されるもんじゃない。つくしが登場してくれなかったら、誰も逆らうことができなかっただろうし、いじめじゃないものに楽しみを見出すこともできなかったよね。それはわかるけど、あまりにもてのひら返しがすごい。お金を持て余した人の思考は狂っているってことが言いたいのだろうか。

花沢類の使い方がうまい

この物語において非常に大事な役割を持っているのが花沢類。最初はつくしの唯一の味方(時々は無関心)。そこからつくしの初恋になって、でも花沢類には想い人がいて。彼のためを想うからこそ背中を押す。自分は失恋…ってところで、道明寺からのアプローチが露骨になってきて、彼も彼なりにオトナになって正直に気持ちを伝えてくるようになる。いい感じになってきたかも…ってところで花沢類が傷心でフランスから帰国。彼の心を救うのはやっぱりつくしで、つくしと近づけていると思っていた道明寺が激怒…

このように、道明寺とつくしの恋路において、花沢類の存在は非常にデカい。邪魔をしているようで、支えてくれてもいる。そして彼自身、つくしのことはすごい大好きなんだろうけど、同じくらい道明寺司という人間のことも好き。だから、2人がうまくいってつくしが幸せになってくれるのなら、あっさりと身を引いてしまうことができる。

彼は最初から最後までつかみどころのない人物だったけれど、つくしと出会って表情豊かになり、非常にいいキャラに変わっていったよね。当て馬なのに、なんかそれだけじゃない。家族のような気持ちにもさせてくれるし、恋人のような気持ちにもさせてくれる。つくしにとっての初恋が徐々に形を変えていくのに、不思議と悲しみは少なくて、逆に温かいような感じ。このあたり、使い方がうますぎる。

それにしても、他のメンバーは苗字でいいやって思うのに、彼だけは花沢類とフルネームで呼びたくなる。つくしにとっていつまでもドキドキする人だからね。下の名前を呼ぶにはおこがましいというか、気恥ずかしい気がするから、フルネームで言いたくなるのはすっごいわかる。

道明寺がどんどんイケメンになる

ご長寿な漫画だったこともあって、初期のころのテイストは非常に…昭和だ。ディスコとか何ですか?って感じだし、かわいいっていうヘアスタイル・メイクがどれもかわいくないように見えてしまう。そして何より道明寺の謎の天然パーマ。度合がすごすぎる。

しかしこれのすごいところが、水に濡れたらその時はストレートの髪になるってところ。濡れ髪のときの道明寺のイケメンぶりといったらすごい破壊力であった。亜門もめっちゃかっこよかったし、いい感じに道明寺を素直にさせてくれたけど、やっぱり道明寺の俺様かつ残念キャラであのストレートの髪…胸がときめいた。巻数を重ねるごとに絵もどんどん変わっていって、道明寺がイケメンになって…濡れ髪のシーンも増えた気がする。

西門が優紀の想い人ってのもあってピックアップされたが、花沢類が長髪から男っぽいショートになってくれたのもよかった。実にイケメン。作者の作品的に、どうしても黒髪のほうがヒーローに抜擢されるみたいだよね。種村有菜さんとかもそうだけど、あー今回のヒーローは彼なんだね、って完全にわかるから、わかっちゃってつまらないとも言えるが。

つくしも十分かわいくなっていったなー…最初は黒髪のロングヘア―だったのに、ショートになったのもなんか時代を感じる。そりゃー34巻も続けば流行も移ろうよね。

牧野つくしの雑草精神が神

なんといっても、牧野つくしのキャラクターが最強だよね。どれだけいじめられようが、けなされようが、やられたらやり返す。どこまででも闘ってみせる。その強さに勇気づけられた読者がどれほどいたことか…!雑草精神の鏡である。「つくし」が雑草だから踏まれたって大丈夫…という表現の仕方の先駆けだと思うね。四つ葉のクローバーじゃない三つ葉…とかいうのも、結局は「花より男子」の雑草精神を真似した表現の方法だと思おう。つくしがかっこいいタンカ切ってるのは序盤のほうだから、けっこう読み返しちゃう。後半は恋わずらい状態が多いんだよね。

道明寺にちょっとずつ惹かれてはいるけれど、花沢類の前では緊張してしまうし、求められたらキスも拒めなかったつくし。その状態から、ちゃんと区切りをつけて道明寺と付き合うことを決めたつくしはかっこよかった…!また、学校での地位が確立されたあとは、道明寺の母親の邪魔が非常に陰湿で大変で。それにも負けずに立ち向かうことで、母親を認めさせたつくしは道明寺なんかよりも数段イケていたと思う。

恋するほどに弱くなっていった気もするんだけどね。そうなると、徐々に男の方が強くなるんだなーと思った。こいつじゃなきゃダメなんだ…!なんてあのどうしようもない腐った奴だった道明寺に言わせる女…お金に頼らず、友だちにも親にも頼らず、自分で道を切り開いていくつくしが、道明寺や花沢類との出会いによって大切なものを守るための弱さも知っていく。ドタバタラブコメのはずなのに、この応援したくなる感じはさすがだよね。そりゃ映画化されてリメイクされて当たり前の漫画だわ。

さすがの大作

これだけ古い漫画だけど、さすがにおもしろい。今でも愛される作品である理由としては、この構成の良さ、花沢類の躍動、34巻かけてよくある出来事全部ぶちこんでる大満足感、つくしのキャラクター、道明寺がどんどんデレだけの男になっていくおもしろさなどなど…ポイントをあげるとたくさんある。少女漫画で長く続く作品と言えば、「花ざかりの君たちへ」とか、「彼氏彼女の事情」など、わりと昔の作品だが、長く続くだけあってやっぱりおもしろいんだよね。何気ない描写も、恋の行方も、ラストは何となくわかっていてもそこに至るまでのストーリーが秀逸。

そういえば最近は長く連載される少女漫画ってないよね。少年漫画ではざらにあるけど。そこは編集者の都合もあるのかもしれないが、わりと「花より男子」の進み方が少年漫画っぽいギャグ感・爽やかなところもあるのかもと思う。

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他のレビュアーの感想・評価

やっぱり最高です

神尾葉子先生の代表作、大ヒット作私は、30代ですがこの作品を知らない同世代の女性は少ないと思います。初めて、当時購入していた雑誌にこの花より男子が連載された時には恋愛が、軸になる作品にありがちな主人公の女の子が素敵な男の子と恋をしてドキドキしてみたいな展開を想像して読み始めました。大体少女漫画はその傾向が強いからです。当時、神尾葉子先生の作品を読むのは初めてだったのです。しかし、連載1回目を読み終わった時に全く違う感情が沸いていてもう私は、この作品の虜になっていました。鷲掴みされました。主人公の牧野つくしが、とても男らしい性格な事もありますが、相手の道明寺司がめちゃくちゃ乱暴なジャイアンの進化系の男子という少女漫画には無茶な設定だったからです。後に、神尾葉子先生が大のプロレス好きで少女漫画よりは、少年漫画を好んでいたと知り納得しましたが、当時その乱暴な男らしい道明寺に未だかつてないトキメキ...この感想を読む

5.05.0
  • ハム子ハム子
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