どうして視聴率が伸びなかったのか不思議なドラマ。
本が売れない時代に突入した出版業界のお話。
本が売れない、若者の文字離れと言われて、随分経つと思いますが、私個人は活字中毒で、ほぼ毎日必ず本を開く。しかも、電子端末で読むのは嫌いで、印刷された書物を今も好みます。そして、小学生の時から漫画も大好きというそんな私には、非常に興味深く、面白い作品で、その内容はとてもとても深く濃かった。毎週楽しみに見ていました。
永山絢斗さん怪演が目を瞠る。
このドラマで非常に強烈な印象を残したのが、俳優の永山絢斗さん。親に虐待されて成長した、とてつもなく大きな影と闇を背負った彼がアルバイトをしながら命を削って生み出したかのような、鬼気迫る漫画を渾身の力で書いていく姿が圧巻。その彼を見出し、支えていく主演の黒木華さんの前向きな姿勢と明るさが物語をぐいぐい引っ張っていきます。陰の永山絢斗さんと陽の黒木華さんのコントラストに、永山絢斗さんがアシスタント先で知り合う才能に伸び悩む先輩漫画家のムロツヨシさんや人気漫画家の小日向文世さんが絡み合いドラマを作っていきます。
出演する色んな漫画家さんを演じる俳優さんたち、要潤さんや遠藤賢一も実に個性的で面白くて、本当に毎エピソード目が離せませんでしたし、その陰でベテラン編集員役のオダギリジョーさんの穏やかで、でも強い演技も随所に光りました。そして今をときめくイケメン俳優の坂口健太郎くんも出演しており、大きく成長していく若手編集者を好演しています。
物語の格となる超名言。
ええことおしえちゃる。
運ばためられるぞ
世の中はな足して引いてゼロになるごとできとう
生まれたときに持っているもんに差があっても
札は同じ数だけ配られよる
ええことしたら運はたまる
悪いことしたらすぐに運は減りよる
人殺しげな一巻の終わりたい
運ば見方にすりゃ
何十倍も幸せはふくれ上がりよる
問題はどこで勝ちたいかや
自分がどがんなりたかか自分の頭で考えろ
考えて考えて吐くほど考えて見極めろ
運ば使いこなせ
目からウロコのセリフでした。出版社の社長(高田順次さん)が幼き頃に謎の老人(火野正平さん)から聞いた言葉です。社長はずっとこの言葉を胸に秘めて人生を送っていく訳ですが、このセリフは本当に心にグサッと刺さりました。私自身、そう思って人生を過ごしてきた感があるからです。”問題はどこで勝ちたいか?””悪い事をしたら運が減る”、”良い事をしたら運がたまる”。笑う人もいるでしょうが、実際、人生というのは予め帳尻がついているのではないかと思うのです。お天道様は見ている・・・とも言うべきか。
この他にも毎エピソード、物語の格になる色んな名言があり、心にずしずしと響きました。一生懸命、自分の人生を考えながら見たドラマでした。どうして視聴率が伸びなかったのが不思議です。
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