もう一声欲しかった、ハヤテのごとく
とにかく貧乏過ぎる主人公・綾崎ハヤテ
親から1億5000万の借金を押し付けられたり、自分の体を勝手に売られたりと、本当に最低最悪の親を持つ主人公。めちゃくちゃ強い主人公やなんの特徴もない主人公の漫画はありがちですが、ここまで貧乏な主人公の漫画を見たことがありません。そんな時、ナギお嬢様に出会い執事として仕事をします。
金持ちのお嬢様・三千院ナギ
東京のど真ん中にありえないほどの敷地をもつヒロイン。東京ドームが何個も入ってしまうお屋敷は、シャンデリアや壁画が細かい描写で描かれています。金髪ツインテールで心を読者の心をつかみます。また、かなりわがままでメイドのマリア、執事のハヤテに頼りっぱなし。もちろん、料理も掃除もできません。欲しいものは何でも手に入ります。しかし物語の終わりには金持ちとは対極の貧乏となり、料理も掃除も完璧にこなすまでに成長します。彼女の成長もこの作品の見所です。
ラブパートとコメディパート
やはりなんと言ってもラブパートとコメディパートの使いわけの上手さでしょうね。どちらか一方に偏ることなく、ちょうどいいバランスで話が展開されていくので「飽きる」ということがありません。という意味ではこの作品は「畑先生の絶妙なバランス感覚によって成り立っている」といっても過言ではないかと思われます。
描写とパロディネタ
絵は確かに上手いとはいえませんが、可愛い絵柄で親しみやすいです。ギャグはドタバタといった感じで楽しいですが、終盤はレベルが目に見えて落ちてきています。パロネタは正直なくてもいいですね。個人的にパロネタはネタ元へのリスペクトを表しているものと思って見ています。あと、あからさまに萌えを狙った(ように見える)シーンが増えました。話に関係なく唐突にコスプレしたり、キャラの喋り方が不自然だったり。なんだか描かずにはいられないのかもしれませんが、もう少し抑えてもらえるとありがたいです。
最終章について
かくして漫画のおもしろさはどんどん損われてゆき、単行本の売上も下降線をたどるばかりとなり、かててくわえて紙面の刷新やらなんやらで十年以上の長きにわたって連載のつづいてきた『ハヤテのごとく!』も打切りと相成りました。さすがにサンデー史上最長のラブコメ漫画を即座に切りすてるのは忍びなかったのか最終章と銘打って半年ほどの猶予があたえられた……と書いておいて何ですが『競女!!!!!!!!』はアニメが終わったら連載も終わるようにと言われていて、アニメが終ってから最終回までがこれまた半年でした。サンデーではあるていど結果をのこした作品なら打切りまでに半年の猶予期間があたえられるようです。閑話休題。最終章「What A Wonderful World」の二十話で長かった『ハヤテのごとく!』も最終回をむかえました。ハヤテとナギの爆弾の処理とか、王族の庭城についての決着とか、ハヤテのクソッタレ両親の制裁とか、作品中もっとも重要と思われる案件はいちおう結末を見ました。もちろん未消化の伏線は山ほどあります。ツグミ・ルリの正体とか、ヒスイの傷とか、法仙夜空の正体とか、黒椿とか、38代目の写真とか。
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