大好きな人に我慢させる拷問
パクリなのかと思うほど
純愛って、貞操守ることだけじゃないと思うんだけどね。この手の少女漫画は飽き飽きしているところがあって、まずこの「彼first love」を読む前に「今日、恋をはじめます」を読んでたから、内容が全く同じことに衝撃を覚えた。実際にはこの「彼first love」のほうが先に出版されているので、「今日、恋をはじめます」の方がパクリなんだろうと思う。両方読んだことがある人は、途中で違うほうを読み始めても違和感がないくらいだってことがわかるはずだ。違うところと言えば、カメラマンか宇宙工学かの違いでしょ?そのイケメンがチョイスしなそうなところをチョイスするそのライン、そっくりすぎる。
せめてよかったと思うのは、桐矢はイケメンだけど悪い事をする人間じゃないっていうこと。花梨と桐矢は両方純粋で、よりかわいらしい。傷つけようとした誰かさんと違い、桐矢は花梨を本当に大事にしていて、傷つけないように一生懸命守っている。一方の花梨は自分に自信がなさすぎて、ウジウジしているのが本当にかわいくない。メガネ取っておしゃれして、桐矢に愛されて。たくさん手に入れてもまだまだ…謙遜してるっていうより、自虐すぎて逆に桐矢を傷つけるパターンというか。ナンリがズバッと言いたくなるのも分かるよ。自分を守りすぎて、いつの間にか桐矢の気持ちそっちのけになってる花梨が本当に許せなかった。
恋をして、深まって、関係が進展するのをゆっくりと追いかけているのがこの漫画なのだが、個人的には早くめちゃくちゃに乱れてしまえと思っていた。怖い…って何が?って感じ。はじめてに巧いも下手もあるか!そのまんま勝負していけば大丈夫なように体はできているのだ!
身体のラインが気に入らない
なんであんなに肩幅広くて背の高い人ばっかりいるわけ?顔と体のバランスが違いすぎて、怖い。やっとの思いで桐矢が花梨とのベッドシーンに挑むときも、全然セクシーじゃない…筋肉ないじゃん、むしろお腹出てるまであるじゃん。いや、好きな人ならそんなこと気にしないだろうし、初めてならなおさらこういうものだろうって思うかもしれないよ?それでも、少女漫画の主人公たちで、これほどまでにお預けくらってきたことを考えたら、こんなに脂肪の乗った人、絶対嫌。マジで嫌。好みかもしれないが、もっと細くしてくれや。
また、歩いているときの姿勢の悪さもマイナスポイント。もっとしゃんと背筋伸ばして歩けや!と思う。世の男性たちのすべてが洗練ボディなわけないってわかっていても、漫画の中では夢を見たいよね。夢を買ってるんだよこちとら。
正面から見た桐矢はイケメンそのもの。横顔やもう少し髪を短くしてほしいという気持ちはあるが、梨と正面から向き合ってるところ、表情、横顔とかはカッコいい。ただ、体とのバランスを考えたときにどうにも受け付けない…この漫画は、はっきり言って「初めての夜をどう迎えたらいいのか」っていうことを描いていると思うんだよね。進んだり戻ったり、近づいたり離れたりを繰り返して、ようやくそこにこぎつける。なのに、全然美しくないなんて…残念過ぎるだろう?
好きすぎて手を出せないって感覚は時代遅れ
序盤で付き合って、よくあれほど引っ張ったなと思う。花梨は怖い怖い言ってるし、桐矢は怖がる花梨を傷つけたくなくて離れちゃったり。敢えて体に傷つけたり、強烈な性癖押し付けるような変態だったらやめておけと言えるけど、別にそういうわけじゃない。愛を確かめ合う手段として、スキンシップは非常に重要な行為だと思うから、相手を信用していることをお互いに伝え合うことも恋人として必要なことなんだ。すべてがそれに収束するわけではないし、プラトニックラブだってあるが、そばにいて、触れ合うことは怖がるほどの事じゃない。
俺、我慢できないかも…みたいなくだり、あれ、なんであるのかなって思う。めちゃくちゃにしてやるって言うけど実際めちゃくちゃにはならないんだよ。疲れるかもしれないけどさ…なんか、行為に夢持ちすぎだってことだと思う。要は。カラダの相性が合っているかどうか、満足させてあげられるのか、そんなの最初からできたら怖いわ。ゆっくり覚えていけばいい。好きな人好みになっていけばいい。
桐矢はずっと花梨を求めていたけれど、花梨が拒否しまくる姿に相当イラついた。1回許せばもはや後は成すがまま。その1回のためにここまで…桐矢、苦労したね。女が綺麗になるのは、恋をしたときと、大好きな人との夜を過ごしたときであることは間違いない。女性ホルモンがより女性らしさを引き出すからだ。早く失えばいいっていうものでもないけれど、大好きな人のために正直に気持ちを伝えて行動することが大事だと思うんだ。
ストレートな友だちを持て
南里のような、優しさをはき違えない、偽善のない人間を友だちに持つことって大事だ。客観的に見て、正直に意見を伝えてくれる存在はとても貴重であり、なかなか出会えない。自分がそうであろうと努めたとしても、自分を評価してくれるのは間違いなく近くにいる他人。芯のある人物でなければ、正直な気持ちは伝えてくれない。
南里は自分の信じるものを選ぶことのできる人間で、守るためには自分が嫌われることもいとわない。大人っぽくて、美人で…強くあろうとするからこそ、見た目も凛とした雰囲気になると思うんだ。何にも左右されずにいてくれる人は、この世の中本当に貴重なんだ。
そして、そういう友だちに恩を返すためには、自分も彼女が大変なときには助けてあげられるよう、行動することが大切。はじめ花梨は南里に頼りっぱなしで、本当にどうしようもない人間だった。だけど、たくさん南里に助けられて、南里の大変な時には支えてあげて…桐矢との関わり、そして南里という親友の存在のおかげで、花梨は強くなれたのだ。近くにいる人がどういう人物かによって、自分自身も変わっていく。自分のために友だちを選ぶって言うと、なんだか悪意がある気がする。でも、与えあう関係なら、いい関係が築ける。大人になるほど気を許せる人との関わりは少なくなっていく傾向があるからこそ、学生時代の友達は本当に大事にしなくちゃね。
目的を持つともっと輝く
花梨は特に目標もないのに勉強ばかりしてきた女の子。そんな彼女が目標を持ち、守りたい人ができ、どんどん女の子を覚醒させていく。自分を守ってばかりだった花梨が、恋のおかげで今まで知る由もなかった気持ちに出会い、行動力も増したようだ。
桐矢がカメラマンという夢を持っていて、自分には何もないと気づいた時、どうしたらいいのかと悩む…ってここまで「今日、恋をはじめます」とまったく一緒なんて、いったい編集さんどうなってるんだ…?
なんだかんだ、出会いのきっかけは桐矢の兄の写真集。写真を撮った人の感動は、写真を見ることで伝えられる。素敵な仕事だよねー。桐矢と花梨の思い出には、常に写真があった。そんな彼らが選択した将来は、輝きそのもの。好きなことをがんばっていくことは、大変なこともあるけれど、きっと楽しい。ただ、カメラマンって金持ちの仕事だよねー…って思ってしまう自分。私は汚れているだろうか…。
純愛を描いたこの物語は、中身の薄さと花梨というキャラクターへの疑問があるものの、わかりやすい恋物語だったと思う。だからと言って、これが純愛ってことなんだ…!っては思わないほうがいい。初心であることが純愛ってことじゃないからね。
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