絶妙な掛け合いがムズムズさせる物語 - からかい上手の高木さんの感想

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漫画レビュー数 3,136件

からかい上手の高木さん

4.384.38
画力
3.38
ストーリー
4.00
キャラクター
4.13
設定
3.75
演出
4.00
感想数
4
読んだ人
6

絶妙な掛け合いがムズムズさせる物語

4.04.0
画力
3.0
ストーリー
4.0
キャラクター
4.0
設定
3.5
演出
4.0

目次

高木さんの気持ちがわかってるだけにキュンとくる

絵のフォルムや高木さんの口ぶりからは、まさか彼らが中学校1年生とは…なかなか気づきかない。それにしてはずいぶんと大人を虜にしてくれる、ほんわかしたストーリーである。高木さんと西方くんのやり取りにのみ焦点が当てられ、エピソードは1話で完結するようになっているのでかなり読みやすい。あっさりしているのに、なぜか続けてずーっと読めてしまうお話だ。絵がかわいいというか雑というか…ほのぼの系である。

西方くんを常に強烈にバカにしていく高木さん。でも好きな気持ちもきっと本当。第1話の消しゴムのくだりは本当によかったな~。ばれたらおもしろくないけど、どっかのタイミングでばれたらな~…っていう願望もありつつ。かなりウズウズした。絶対高木さんかわいい顔して名前書いたよね…

背景に何か特徴があるわけでもないし、高木さんがいかにして西方くんを茶化していくか、そしてたまに見せる高木さんの本当っぽい気持ちがぐっとくる。ラブ展開は全然ないのだが、時々見せてくれる高木さんのかわいさが…いいのである。純粋に、高木さんのからかいのスキル。西方くんの残念な感じがいつも笑えるし、からかうのも使ってみたいかもって思える内容だ。

西方くんは常に高木さんをどうにか見返してやろうとしてがんばっている。しかし報われない…。いつまで経っても、最後になっても、西方くんは高木さんの優位に立てることはなく、本当に残念。だがそれがおもしろいのだ。何も言わなければかわいらしいが、口を開いたらもう西方くんの敵。ドSな高木さんと弱すぎる西方くん。最高。

よくそんなにネタが出てくるね

高木さん、なんでそんなに絶妙にうまいんだ。くだらないものばかりだが、なぜか読んでしまう。なんとか返り討ちにしようとがんばる西方くんの考えを逆手にとり、どこまでも高木さんの勝利。物語が進むにつれ、少しだけだがラブっぽいところも増えて、高木さんが果敢にドSで、中学生の喜びそうなワードをふんだんに使ってるので、その微妙なラインが楽しい人はかなり好きだろう。西方くんへのそれは完全に好きだからゆえの意地悪なのだが、天然ボケの西方くんは全然気づかない。愛しい奴。ちょっとくらい恥ずかしい思いをさせてやろうとガチで思っているのに、西方くんのさらに上の恥ずかしいことをさせてくる高木さん。読者をドキドキさせたのは、やはり結婚のネタだろう。

美しく成長し大人になった高木さん、そして子ども。一緒にアルバムを開いてホロリと泣いている高木さん…え、西方くん?お亡くなりに?叶わぬ恋オチ?…えー…と悲しくなっていたところで、夫らしき男性が帰宅。表札は西方。ここではきっちり読者をハメにきやがった高木さん。お上手だ。しかも、ポッと出てきてあっさり最終回かなーって思ったら、また普通に中学生の高木さんと西方くんが何食わぬ顔で登場。いつもの日常がまた始まった。西方くんだけでなく、読者もぎゃふんと言わせてくれるのが高木さんである。日々のゆるーい出来事って、終着点が見えないのに何度も見てしまうものらしい。

いじめられたい気持ち

要は、この物語はいじめられたい男だったらきゅんきゅんしすぎるって漫画だ。高木さんのクスっと笑える意地の悪さ・そしてそのチャーミングな笑顔に会いたくて読んでしまう人もいることだろう。逆に、イタズラ好きな方でも楽しめるものでもある。読んで早速次の日学校で試せるような、お手軽で確実に相手が悔しがるアイディアがいっぱいだ。

少し深読みしてみると、「からかう」というワードを用いることで、昨今問題となっているいじめ関連のワードを避けているようにも思える。いじめ関係の漫画は数々出版されているが、後味が最高に悪いものから、うまくハッピーエンドに結び付けるものまで実にさまざまであり、過激なものはかなりエグい。高木さんは決していじめているわけではなくて、愛情の裏返し的なものだと読んでいればわかるのだが、度が過ぎれば高木さんだって十分にいじめクラスのことになるかもしれないし、いやいや、すでにそのくらいのことをやっているって言う人もいるかもしれない。

かわいい系の女の子が男の子に対してちょっかいを出すのは、男の子が女の子に対して行うものよりも少しマイルドな響きがあるし、何となく負けている男の方が弱いってことで許されていることもあるのではないだろうか。まぁ、この漫画の中ではいやらしさとか恨み妬みがないし、自分としてはとても爽やかであるように思う。さすがに西方くんがテンションあのままに仕返し成功してたら、全然おもしろくない。このまんまでちょうどよいのである。

恋の成就はあるか?

このまんまで進んで、果たして西方くんはそれに気づくのか…?いや、西方くんが気づいていないうちに、高木さんに丸め込まれていつの間にやらお付き合いは始まっているかもしれない。簡単に成就されてもおもしろくないし、からかい続けてくれたほうがいいけどね。1話完結で、ストーリーは各話つながらないし、ラストもほのめかして終わってしまうかもしれない。

ほんのりエロいことも言いながら、西方くんが一矢報いて逆襲する話も1話くらいなら見てやってもいいなと思う。実にうまくいっているのに、西方くん気づいていないっていうオチもあったしね…意図的に罠仕掛けて成功しないと、気づけないんだなーこれが。

できれば、なぜ高木さんが西方くんを好きになったのかを教えてもらいたいけどね。十中八九、すごくいじめがいのあるやつだったからだろうなーと思うし、そしてどっかで高木さんのどこかに引っかかるツボな出来事が…あったんじゃないだろうかって勝手に思ってる。西方くんは絶対覚えてなくて、高木さんには超絶インパクトのあることって何だろうって考えると、何となく西方くんが動物に優しいとか、そういう何気ない優しさがヒットしたんじゃなかろうかと思う。

もうこの際、西方くんが全く反応しなくなれば、高木さんのオロオロする姿をみれるんじゃないだろうかと思うんだが…風邪ひいたとかそういうイベントだけじゃなくて、高木さんが強烈に動揺するような駆け引きが夢オチでも出てきたらおもしろいのに。で、ラストに恋の成就があったらベスト。

終わりの見えないこのストーリー

2人の道は前途多難?からかいあってふざけあって、いつまでもこんなふうに楽しめたらいいのにね…終わりなき楽しさ。あ~現実にないから楽しいのだ。仕事のストレスがちょっと和らぐ、あったかストーリーではないのにほわーっとする気持ちになるね。くだらないことがいかに楽しいか、大人になるとしみじみと思う。イラストは絶妙に下手というかなんというか、和む。基本的に西方くんと高木さん以外の視点がないのに、よくこれだけ話が続くなーと感心しきりだが、サブとしてクラスメイトの話も少しは楽しんでやってもいいのになーとは思う。女同士のいじりはちょっと怖いので、結局はどう転んでも西方くんいじりに落ち着くというほうが自分的には嬉しい。高木さんの違った一面も見たいような、見たくないような…できればどこでもドSで君臨してほしいのだが、女同士では完璧なるMでも構わないので、いい感じに巻末でトークを繰り広げてもらいたいと思う。女友だちの怖いところはあんまり見たくないのでね。爽やかさキープで最後まで見守りたい。

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他のレビュアーの感想・評価

やり取りが癖になるラブコメディー

はじめから気持ちはネタバレしている中学校1年生の西方くんと高木さん。彼らのやり取りだけに焦点を当て、1話完結でエピソードが描かれていきます。絵はかわいい系で、おっとりした感じ。背景の特徴的な表現もなく、高木さんがどう西方くんを茶化すのか…これだけで進んでいきます。1話の時点で、強烈に西方くんを馬鹿にする高木さんですが、消しゴムには一世一代の賭けでちゃんと西方くんの名前を書いているという…高木さんだって、少しはドキドキしながら書いたんじゃないかなと予測されますよね。かわいいじゃないですか、好きな子をいじめて楽しみたいというのは。そのため、いつ気持ちの爆発する時が来るのだろうかと期待しながら読み進めていますが、西方くんをいじめるのもすっかり趣味になっているらしく、早めのラブな展開はないなー…って思いますね。純粋に高木さんのからかいスキルを見せてもらい、西方くんの残念っぷりにクスッと笑い、今度誰...この感想を読む

4.04.0
  • betrayerbetrayer
  • 188view
  • 3003文字
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からかい上手と からかわれ上手

高木さんのからかい方は 何が上手なのか高木さんは、ドキッとする様な事を言って照れさせたり、勝負事を持ち出して競争心を煽ったり、悔しい思いをさせてリベンジさせようと仕向けたりと、男心を動かすのが絶妙であり、まさにタイトル通りの「からかい上手」である。では一体、高木さんのからかい方が上手なわけを考えてみようと思う。【理由その1】ドキッとする様な事を 結構言う必ず、という訳では無いが、西片をからかっているときに高木さんは、ドキッとする事を言う。例えば第1巻「プール」では、見学する西片をからかった後、「手 治ったら 一緒に泳ごーね。」と言って西片を照れさせている。同じく第1巻「筋トレ」では、高木さんにからかわれた回数分筋トレしていた西片をからかった後、「なんかたくましくなった気がするし。」と言って西片を照れさせている。続く第2巻「腕ずもう」では、腕ずもうで勝負中、「今日 手つないで 帰ろっか。」と言って...この感想を読む

4.54.5
  • あいぼんあいぼん
  • 210view
  • 2100文字

主観的なレビュー

概要からかい上手の高木さんは主に高木さんと西片くんという中学生をメインキャラにしたお話です。キャラの好き嫌いはあると思いますが、彼女と彼はいつもからかい合っていて、いつも高木さんが西片くんの一枚上手をいくという話になります。高木さんとは高木さんは、いつも西片くんからかい、西片くんはいつも高木さんに仕返ししてやろうと思っています。個人的に漫画を読んでいると高木さんはどんなからかいをして西片くんを”ぎゃふん”と言わせるのだろうといつも考えてしまいます。正直いつも作者に「そうきたかぁ」って思わせられるからかい方が多いので、その点も魅力だと私は思っています。また、高木さん魅力は別な部分にもあります。中学生の心はかなり不完全なもので、ひとつひとつの行動に一喜一憂してしまいます。しかし、高木さんは、西片くんの言葉の裏を読み敏感に西片くんのやろうとしていることを察し、そのうえで鈍感な行動に移すといっ...この感想を読む

5.05.0
  • jhon2jhon2
  • 145view
  • 1010文字

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