やり取りが癖になるラブコメディー
はじめから気持ちはネタバレしている
中学校1年生の西方くんと高木さん。彼らのやり取りだけに焦点を当て、1話完結でエピソードが描かれていきます。絵はかわいい系で、おっとりした感じ。背景の特徴的な表現もなく、高木さんがどう西方くんを茶化すのか…これだけで進んでいきます。1話の時点で、強烈に西方くんを馬鹿にする高木さんですが、消しゴムには一世一代の賭けでちゃんと西方くんの名前を書いているという…高木さんだって、少しはドキドキしながら書いたんじゃないかなと予測されますよね。かわいいじゃないですか、好きな子をいじめて楽しみたいというのは。そのため、いつ気持ちの爆発する時が来るのだろうかと期待しながら読み進めていますが、西方くんをいじめるのもすっかり趣味になっているらしく、早めのラブな展開はないなー…って思いますね。純粋に高木さんのからかいスキルを見せてもらい、西方くんの残念っぷりにクスッと笑い、今度誰かに使ってみようってのほほんとする。そんな漫画です。
一方の西方くんは、いつか高木さんを馬鹿にしてやる。上から見下して見せる。そうやって躍起になっています。哀れというとかなんというか…うまくいった試しがありません。黙っていればかわいい高木さん。口を開けば憎たらしさ全開の高木さん。もう西方くんの頭の中は、勉強よりなにより彼女を馬鹿にすることと、大好きなアニメを見たいということしか入っていない様子です。どっかの田舎の中学校1年生なんて、そんなもんかもね。
からかいネタの数々
高木さんのからかいが…タイトルの通り、上手なんですよ。くだんない…って思うんだけど、なんか読んでしまうんですよね。裏の裏まで読み切って、西方くんの単純な思考を逆手に取り、西方くんの悔しがる姿を楽しんでいます。ちょいちょいですけど、ラブなところもけっこう増えてきましたよ?高木さんの果敢な攻め・エッチとかなんとか、中学生なら敏感に反応してしまうようなワードの誘惑に惑わされて、何かこの先に俺にも起こるんだろうかと期待してしまっている西方くん。行為には意識が向くけれど、高木さんは俺の事をどう思ってからかっているんだろう…?ってところにたどり着かないのはボケボケな西方くんらしい。これはすげーと思ったところは、読者をハラハラさせた結婚ネタだよね。
大人になった高木さんが、子どもと一緒にアルバムを開く。懐かしいなと言ってちょっと涙目に。
ねぇ 西方…
え?死んだの?別れたの?初恋やぶれたの??と、思っていたら誰かが帰ってきた。顔見えないんだけど…表札が西方…!なんだ、ちゃんと結婚できたんだ!実ってたんだ!よかった~最後に悲しいもの持ってくるとかそんな重めなことする?って思ってたから、よかったよーどこにからかいが隠れているのかってハラハラさせてくれました。だって高木さん泣いてるんだもん。単純に懐かしさからくる涙だったわけね。そしてそこで終わらないっていうオチね。次の話は普通にいつもの高木さんと西方くん。あーそういう裏切りね。ドキッとさせてくれましたよ、高木さん。この調子だと最終回が見えないわ、ほんとにね。
M男とS女が楽しむ
つまりは、この漫画はM男向きです。高木さんの魅力にどうぞ惑わされてしまってください。そしてS女なら、次の日のからかいに使えることでしょう。
そういえば、からかい上手っていうタイトル、けっこう気にしてつけている気がするんですけどどうですかね?いじめってワードがだいぶ禁句に近い昨今なので、からかうっていうタイトルをつけたような気がするんですよね。昔なら「いじめたがりの高木さん」とかでも普通に読めた気がするんですけど。高木さんの表情がもっと強烈で、かわいくなかったら、相当あくどい気もしますね。女の子からガンガンいくっていうのがミソで、男の子からだったら相当キモい。女の子だと涙という武器があるのでなんか面白くなさそう。絶対読みたくないです…。
なんで高木さんが西方を好きなのかとか、そういうのは全然背景情報がないのでわからないですから、全部想像にはなってしまうんですけど、からかった時の反応にそそるものがあったっていうことだけか、もしくはまだ知り合う前に、高木さんにとっては重要で、西方くんにとっては全然覚えてもいないような親切をしたっていう可能性もありますね。で、それを覚えていなかった西方くんをちょっとからかってやろうと思ったら、その面白さにすっかりはまってしまったみたいな。こうしてからかい上手の高木さんと、からかわれて哀れだがちょっとかわいい西方くんが生まれたのです…ありそう。西方くん、ありそうだよその展開。
からかいのネタが尽きないのかとちょっと心配になるんですけど、どうかただのラブで終わることのないよう、願ってます。最後にぎゃふんと言うのはやっぱり西方くん?高木さん?どちらになっても面白いでしょうね。
西方への恋は実る?
それにしても、西方くんへの高木さんの恋心は実るんですかね?ていうか、西方くんが気づけば一発だと思うんですけど。簡単に実ってしまってもなんかしらけるし、からかい続けて気持ちを自覚させることもできずに終わるのもしらけるなー。1話でしっかりオトすし、ストーリーごとのつながりも全然ないから、どこで劇的展開がやってくるだろうかと気になります。ちょっとエロス(中学生の考えるギリギリライン)を感じるようなギャグも入れてきているのだから、西方くんの高木さんへの逆襲も見てみたい。結果的に逆襲できているときがあるんですが、それには気づいていないという西方くんの哀れな感じね…嫌いじゃないです(笑)。風邪ひいたときとか、高木さんが弱ってるときとか…図らずもそうなっているだけとはいえ、見学させてもらっているこちらからすると、おもしろくもあり、むずがゆいようでもあります。
高木さんの押しが弱い日は、あれ?高木さんどうしたんだろう?もうからかわれなくなったんだろうか?やったぞ!でも…学校がすごく静かだ…ガンガン迫られた後に引かれて追いかけたくなってしまう衝動。まさに「押してダメなら引いてみろ」。このテクニックに落ちていく西方くん…かわいいやつだ。高木さんのからかいは愛ゆえに・西方くんの反抗はまだまだ単なる反抗ゆえに起きるもの。西方くんは負け続けているように自分で感じていますが、実際には高木さんの勝率は9割くらいで、実は1割くらいはちゃんと勝ってると思うよ!
どこまでも続きそう
終わりなき二人の掛け合い(恋路?)。これからどんな展開が待っているのでしょうか。個人的にはどんどん続いてほしいなと思います。毎回この物語を読むことは癒しなんですよね~仕事のストレスかかえて家に帰ったときに、ふとこの漫画を手に取ってみて、くだらない感じにしみじみしちゃってね。絶妙にうまくない絵もまたいいというか(失礼)。
巻末とかにちらっとクラスメイトの話題も出るんですよね。これまた癖があり、ここにもからかうやつがいた!と思うのですが、本編には全然出てきません。サブストーリーとして続けて書いてもよさそうなのになーと個人的には思います。こっちはこっちで女同士のからかいが起きているじゃないか…西方をいじり倒す高木さんが、女友達グループの中ではMに変貌するなんてこともあってもいいのではないでしょうか。これはこれでそそるね。
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