著者の作品で一番面白い
最初から最後まで楽しめた
本当に楽しく最後まで読むことができました。
個々のキャラクターも面白いですし、展開も早くて飽きさせないです。
序盤にちゃらんぽらんだったるり子がきちんと就職して、真面目な萌がシングルマザーの道を選ぶラストも、キレイな終わり方だったと思います。
個人的にはるり子のキャラクターがすごく好きになりました。
わがままで自分勝手でゴシップ好きで、自分のやりたい事だけやりたくて、我慢する事が大嫌い。
そんな頭の悪い女の見本のようなるり子は、なぜか憎めない、愛すべきキャラクターとなっています。
るり子のキャラクターが痛快
作品中にもあるように、るり子は女性に嫌われる女性です。
その容姿の良さと男に付け入る調子の良さで同性からは疎まれて、子供の頃から女友達は萌だけです。
しかし、読んでいてるり子の行動は全く不愉快ではなく、むしろ痛快な感じさえします。
それはるり子がある意味真理をついた言動をしているからだと思います。
例えば、将来を悲観する事が、「現実的に考える」ということではないと言い切るシーンがあります。
るり子は将来のことを全く建設的に考えていません。お金持ちの老後しか想像していないのです。それは無計画ではありますが、一方で「将来どうなるんだろう」という不安を抱くことと、同じ位の妄想だと言い切るのです。
分からない未来を考えても仕方がない。真理ではありますが、そう言い切るには相当の精神的な強さが必要です。
そうした時にサバサバした言動が、るり子を魅力的に見せている要因の一つだと思います。
女であることから逃げない生き方
るり子のもう一つの魅力は、「女であることから逃げない生き方」をしている事です。
るり子がフェミニズムを主張する友人に、「そういうことを言ってる人って、大抵ブスなのよね」「女性の地位の向上より、あなたのメイクや服装を向上させたら?」と悪びれもせず言うシーンがあります。
るり子は女性と男性の対等な関係に興味がありません。家庭環境への反発心もありますが、それだけではないでしょう。
るり子は対等な関係など望まなくても、いい女は男を奴隷にできるということを知っているのです。
それはるり子にとって、男女平等よりも簡単に手に入り、かつおいしい思いのできる関係です。
そしてそれは徹底的に女であることを自分に課した生き方だからこそ手に入るもの。
その姿は潔く、中途半端でないため、見ていて爽快感を感じてしまうのです。
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