いじめられっ子の復讐劇 - テキサスレディオギャングの感想

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テキサスレディオギャング

4.504.50
画力
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ストーリー
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キャラクター
4.50
設定
4.50
演出
4.50
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いじめられっ子の復讐劇

4.54.5
画力
4.0
ストーリー
4.0
キャラクター
4.5
設定
4.5
演出
4.5

目次

リアルと非リアルの混交


高校生であるピーターは悪意や差別意識に溢れる学校に怯え、自分の意思を殺し、周りに流される生活を送っている。ここは学校漫画にはよくある設定で、もしかしたら現代の学生たちの共感性をもっとも得られるからかもしれない。Twitterのフォロワー数やダンス動画の再生回数で「人気」の度合いが数として、目に見えるものとして表れてしまうことを会話の中に登場させることにこの作家のうまさを感じる。この、「よくある設定」つまり「現代の学生が抱く気持ち」の続きがこの漫画の注目点である。友達が殺される、のだ。リアルに飛び込んでくる非リアルがピーター、つまり一番今の学生が感情移入をしている主人公にどう影響を与え、物語がどのように展開していくか、この漫画はそのストーリーの土台作りが素晴らしかった。この漫画の本質は物語自体にではなく、読み手が自分を重ね合わせることのできる主人公がラジオドラマという未知の世界を知ることにあるのではないだろうか。



べた絵の効果


本書の絵は学園ものにはあまりないような、太くてくっきりとした線で描かれている。それでいて背景の絵は繊細で独特の世界観が生み出されている。人間や景色を過度に美しく描くのではなく、弱いものは弱いものらしく、意地悪なものは意地悪らしく、人間の長所も短所もありのままに描かれている。この効果は、繊細な絵ではわざとらしくなってしまい半減してしまう。太線の絵だからこそ出せる効果、最大の太線の絵の使い方である。そして、印象的なのは大きく口を開けて笑っているシバケンの顔だ。劇中、シバケンは泣いてるときも、怒っている時も、さらにはいじめで死んだ瞬間にさえその表情を崩さない。ピーターの回想に出てくるシバケンもすべて同じ表情だ。もしかしたら、このことが表すのは「シバケンの意思」なのかもしれない。それはラジオドラマへの情熱かもしれないし、友への信頼なのかもしれない。しかし他人に支配されてきた彼が持つ唯一の譲れないものであろう。

逆転と卒業


本書はラストシーンでいじめられっ子であるピーターたちの大逆転で終わるが、月並みな結末では勿論ない。「ただの大逆転」ではないのだ。卒業式放送室に忍び込み、制作したテープを流す。そのテープの中でパーティに群がるクラスメイトをマシンガンで大量に撃ち殺す。そして最後には鮫島に殺されたシバケンが生き返り鮫島を殺す。実際に鮫島に殺されたシバケンが、仲間を奮起させ、その手で鮫島を殺すのだ。ただの大逆転劇ではないのが、この卒業式を迎えるまで主人公たちは人一倍傷ついているのだ。いじめが始まり、仲間も不器用なほどそれに付き合う。そして今か今かと復讐の時を待っているのだ。卒業式、復讐劇後のラストシーン、「ロシアンルーレット」にも痺れた。

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