人間の弱さを浮き彫りにした作品 - シークレット ウインドウの感想

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人間の弱さを浮き彫りにした作品

3.53.5
映像
3.5
脚本
3.5
キャスト
4.0
音楽
3.0
演出
4.0

目次

人が遭遇するピンチについて考えさせられる場面

人は生きている限り、さまざまなピンチに遭遇します。また、事故のような出来事が我が身に降りかかってくることもあると思います。この映画の中では、それが「離婚」であったり「疑惑」であったりするのです。これらもまた、人にとって予想できない出来事だといえます。ですが、これらの出来事全ては、自分が招いてしまった結果だということを考えさせられます。夫婦間における離婚問題や不倫問題もまた、どちらにも原因があって起こるものだと思います。ジョニー・デップが演じる役は、人気作家のモート・レイニーという男性です。彼には妻エイミーがいますが彼女には不倫相手がいて一緒に暮らしています。モートは離婚を承諾できずにいるのです。この話だけを聞くと、モートはとても寂しそうで、気の毒に思えてきます。そして人間は時に残酷で、とても正直だということが分かります。「愛が無くなる」ということは、一度愛を誓い合った夫婦にも、こういったことが起こりうるということなのです。不倫相手と再出発を決めたエイミーと、一人きりになってしまったモートの心情があまりにも違いすぎるという点において、人は時としてとても残酷だと感じずにはいられません。そんな心情の中で、モートには更なるトラブルが起きます。それは身に覚えの無い「疑惑」をかけられるといったことでした。自ら作り上げた作品に関して盗作疑惑をかけられてしまったモートは普通に生活することすらできないような恐怖に脅かされていくのです。

精神的ダメージがもたらすもの

そんなピンチの中にいるモートが精神的に追い詰められていく様がリアルに描かれています。それは、視聴者を、混乱へと巻き込むものでした。その混乱とは、「何が本当で何が嘘なのか」ということや「これは現実のことなのか、それとも妄想に過ぎないのか」といった混乱です。人はピンチの中で、ハプニングが重なることによって、どんどん「悪」へと流されていってしまうということがこの映画の中から感じ取ることができます。悪としては、生活スタイルの悪化や、判断力の鈍化があります。同時に、このような困難な状況時に、どうやって自分の心を整えていけば良いのか考えさせられます。そして、モートはどうするべきだったのかについても、さかのぼって考えました。このように、映画の中では、視聴者が模擬体験がすることができることもあるのです。そのためには、映画の世界に入り込む必要がありそうです。そして、自分の身に起こっている出来事でないことに胸を撫で下ろすのです。この作品の中から、たくさんのことを学ぶことができました。

もう1つの人格が支配するということ

私たちは、生きている中で常に選択をしています。何を着ようか、何を食べようかといったことから始まり、数え上げればキリがないほど選択しているのです。そして、悪い行動を止めようとする選択や、悪いことをしてしまおうという選択もあるでしょう。それらは全て自分の考えのもとで判断されます。しかし、自分以外の何者かが、自分の心に入り込み支配されているとしたらどうでしょう。モートはまさしく、こういった状況に陥ってしまったのです。それは、精神的ダメージがもたらしたものでした。その支配者が、自分の意思とは関係なく「殺人」を犯してしまいます。モートが何者かに囚われてしまっているのを見て、本当のモートがやっていることのような恐怖にかられます。そして、実際、世の中で起こっている殺人事件においても、同様のケースがあるのかもしれないと思えてきます。世の中には「多重人格」といった人たちがいます。そういった人たちも、モートのような精神的ダメージが原因だったのだろうか、などと考えてしまう自分がいました。この映画の最後は、皮肉にも、モートが書いた小説の結末と同じ結果になってしまうのです。それは、モートの中に住む何者かが強要したものだったのです。この悪の支配者が、まるで実際に存在する人物のように思えてしまうのは、私だけではなかったはずです。それほど強い存在が自分の中に住みついてしまったとき、人は自分の心をコントロールできるのだろうか、そんなことを考えました。

「シークレットウインドウ」という作品の中で、ジョニーデップは奇妙で冷酷で、そして繊細な役柄を見事に演じきっていたと思います。不規則な生活の中でメガネをかけ、たばこを吸い、乱れたヘアスタイルでいても、彼のルックスは魅力的です。さすが、世界を代表するハリウッドスターといった感じです。しかし、そんな彼の表情がホラーのような怪奇に変わっていく過程を凝視してしまったと言う人は数多く存在することと思います。ジョニーデップはどちらかというと、このような役柄で人を魅了する俳優さんであると思います。それは、彼が実際に、ミステリアスな一面を持っているせいなのかもしれません。

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一方向からの視点では恐ろしくて完全なホラーでも、外から見れば気味の悪い主人公

カットされたラストシーン私はDVDを借りて観ました。この作品は奥さんも不倫相手殺されてしまった事実しかありません。しかし、映像特典で奥さんと不倫相手がトウモロコシ畑の下に埋められ、土の中の断片図が映し出されています。そして根の先には二人がいます。まるでトウモロコシの根が二人を養分にしているようで、あそこまで描いてしまうと不気味さが軽減されて若干の面白さが加わってしまうため、カットされたとか。確かに映像を拝見すると最初は気持ち悪さに驚きましたが、リアリティが反比例のようにすーっとなくなっていく気がしました。最後は別人のように、しかし普通に暮らしている様子を描くことで、その残忍性と別人格の不気味さを残したかったのだなあと思いました。最初に観た時は衝撃でした。トウモロコシ食べるシーンはさらっと流して終わったのですが、未公開シーンを観て吐き気がしました。もうトウモロコシが二人の死体でできていると思...この感想を読む

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