男の生きざまを、美しい厳しさで描いた秀作 「大いなる勇者」 - 大いなる勇者の感想

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大いなる勇者

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映像
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脚本
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キャスト
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音楽
4.00
演出
4.00
感想数
1
観た人
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男の生きざまを、美しい厳しさで描いた秀作 「大いなる勇者」

4.04.0
映像
4.0
脚本
4.0
キャスト
4.5
音楽
4.0
演出
4.0

このシドニー・ポラック監督、ロバート・レッドフォード主演の「大いなる勇者」は、男の生きざまを、なんと美しい厳しさで描いた映画だろう。その凄絶なまでの孤独感は、震えるほどの切なさで、私の心に迫ってきます。

主人公のジェレマイア・ジョンソン(ロバート・レッドフォード)は、決して"勇者"でなんかありはしない。文明というものに背を向け、町の生活を捨てて、雪のロッキー山脈の奥深くに分け入り、自ら山男の道を選びとった彼は、社会の脱落者か、避難者なのか?  そして、どこから来て、どんな素性なのか、何も語らないのです。わずかに、古びた南軍のズボンが、彼の挫折の過去をしのばせています。

そんなジェレマイアは、最初はスキだらけの丸腰のまま、川で食糧のニジマス捕りに悪戦苦闘し、あまりのおぼつかなさは、やがて宿敵となる凶暴なクロー族のインディアンの、敵意どころか軽蔑を買う始末なのです。

だが、白髪の年老いた山男との交流や、坊主頭の流れ者との出会いなど、時を重ねて、いつしかいっぱしの山男になっていくのです。

雪が積もり、風がうなる孤独な生活。だが、肉親をインディアンに虐殺された少年を引き取り、一方、ひょんなことで友好的になったインディアンの酋長の娘を妻に押し付けられたことで、しばしの安らぎの小休止を得ることになるのです。

彼らが、ささやかなホームを作るエピソードは、涙ぐむほどの温かさだが、その後に続く異様なサスペンスの盛り上がりは、実にすごい。結局、留守中に妻と少年の二人を殺されたジェレマイアは、声もなく男泣きに泣くと、報復の挙に出るのだが、殺しても、殺しても、一人また一人と、クロー族の刺客は執拗に彼を狙い、襲ってくる。

その絶え間ない恐怖が、無限の孤独とからみあう絶望感の痛ましさ。シドニー・ポラック監督の淡々たる語り口に、それでもなお生きる男の厳しさが、戦慄的な美しさで、私の心にひしひしと迫ってくるのです。

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