自分の中ではドラマ史上最優良作。芯の部分を根こそぎ揺さぶられた。
大好きなこの作品について、レビューできる機会を持てたことに、心から喜んでおります。
自分の中では、今まで見てきたドラマ史上、1・2を争う名作、影響を受けた作品です。
このドラマを見て感じたこと、考えたこと、自分が変わったことなど、お伝えさせていただきます。
決して他人事ではない、命の有限さ
このドラマの感想で、よく「重い、見てて面白くない、不快、暗い」などという感想を多く見かけましたが、それは恭子たちのような、提供の義務があるクローン人間たちと、自分たちとが全く違うところ、存在であると思っているから出る言葉なのかと思います。
あと、他者の役に立つために命を捧げる生き方と、たくさんの捧げられた命(犠牲)を足元に置きながら生きていくことと、どちらのほうが幸せか、というような意見もお見掛けしました。
わたしたちの多くが、理論的には当然知っているけど、理解していない、実感していない大きなことのひとつが「自分の命にも限りがあるということ」だと思います。
他人の死には(例えば祖父母とか)立ち会ったことがある、動物の死にも立ち会ったことがある、そう、理論的には知っている、けれど。
皆が本当に、自分の命に限りがあることを実感していたら、おのずと時間の使い方は変わってくると思うのです。そう、時間というものは有限なのです。
言葉にすると、当たり前すぎて、誰でも知っていることかもしれませんが、
お恥ずかしながら、わたしは、こちらの作品に出会うまで、そのことをよくわかっていませんでした。
自分の命もやがて終わりを迎える、ということを意識できて、衝撃が走ったのです。
このまま、なんとなく、人目を気にしつつ、ぼんやりと食事して、ぼんやりと眠って、また朝が来て、ということを繰り返して、突然(と、思うでしょうたぶん)寝耳に水!といったように、幕が下りる日がやってきてしまう。
そのときに、今の自分は、「本当にやりたいことを全部やった!自分100%で生き切った!」と言えるか?と考えると、まったくもってNOでした。
クローンでありながら、提供という最後は迎えなかった恵美子先生が、最終回で恭子に、「何のために生きているのか」と思わず問うてしまうシーンがありましたね。
生存期間が長ければ、皆自己実現ができるというわけではないのだ、というひとつのテーマを投げかけられたようでした。
経験は奪えない、という宝箱の教え
また、本作で象徴的だった、陽光学園でクローンたちに渡された宝箱について。
物質、モノ、というものは、そうか、身体の一部でさえも、すべてはいずれ無くなるんだなと、これも考えさせられました。身体の一部どころか、命が尽きて、持ち主が逝ってしまったときには、肉体のすべても、その人自身も、処理すべきもの(ゴミと言うと大変乱暴なのですが)になってしまいますね。
すべては流れていく、モノはいずれ無くなる。
たとえば、過去の栄光にこだわりすぎて過去のモノを持ちすぎること、未来のいつかに備えて未来のためのモノを持ちすぎること、
そういうことも、もしかしたら必要ないのかもしれないなと感じました。
例えば、ブランドのバッグ、誰かに「わたしはお金持ち、わたしはこんなにオシャレに敏感」と示しつけるために持つことは、そんなに重要なことではないなと。
ミニマリストという言葉が有りますが、それに少し通じるような概念、モノの所有はきりがなく、真の自分の支えにはならない。
自分の拠り所、支えになってくれるのは、最終的には大切な経験、思い出なのかもしれないと、この宝箱のやり取りのシーンを見ていて、思えました。
時間の有限さを知ってこそ命が輝く、自分が変わったこと5つ
この作品に出会って、確実に、自分の中の芯の部分がグラグラと揺れ、
新しい価値観がたくさん生まれました。
1.時間の使い方が変わった
ゴール(終わり)が見えた、ゴールを意識した途端、本当に自分が今やりたいこと、やらなくていいことがすっとわかるようになってきて、
ダラダラと何かをすること、例えばネットサーフィン、ジャンクな情報をいつまでも眺めること、テレビつけっぱなし、なんとなく街でフラフラ、などということがなくなりました。
2.世間体とか常識とかが蜃気楼のように見えてきた
ゴールを意識できたことで、なんとなくタブーなのかな~とか、誰もやってないからやめておこう、みたいな遠慮で、やりたいことをやらない、またはやりたくないことをやる、ということがなくなりました。
3.何かモノを所有することで、自分をすごく見せたいという欲求が減った
ゼロになったとは到底言えませんが、自己アピールのために、何かを買うことは格段に減りました。ブランドもののバッグとか、もう一生買わないと思います。
ボンヤリとした人目、というものにどううつるかを気にしている時間や考えがもったいないと思うようになりました。
4.過去へのモヤモヤとか、未来のためへの頑張りとかではなく、「今」に焦点を当てることができるようになった
5.ただ生きていることがとても瑞々しく感じられるようになった
5秒後、突然、心臓が止まっているかもしれません、ただ。今!このキーボードを打っているいま、わたしは生きています。
ただ、生きていることがとても楽しくなりました。
生きて活動していれば、知れることがまだまだある、経験できることがもっとある、そのひとつひとつがすごく楽しい、という感じです。
キャスト3名の名演技が光った、この3名で本当に良かった
最後に。綾瀬はるかさん、水川あさみさん、三浦春馬さん。
この3名のキャストさんたちだったからこそ、よりいっそう、素晴らしい作品になったんだろうと、心から思います。
3名とも、それぞれの役のキャラクターにしか見えなかったです。
以上、大好きな作品、わたしを離さないでについてでした。
見ていた当時も、今も、ずっと自分に影響を与え続けてくれています。
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