なんとなくコミカルは話の展開
目次
何といっても「木村佳乃」!
凛とした表情、涼し気ながら心の奥では何を考えているのかわからないという、また違った表情。
このドラマの見どころは何といっても「木村佳乃」。時折「ロボコップ」のような無表情から繰り出される機械的な言葉。またある時は先の先まで「事態」を読んで、その方向に事態が進むように清楚な奥様の振る舞い。ある意味、女性の力ではない「したたかさ」を想像して、男の私は思わず「こえー!」と声を上げてしまう場面も。
先の先まで読み切られた夫「伊藤英明」
あまりドラマの内容とは関係がないことですが、現実世界の「伊藤英明」に感じるあの感じ。
今回の主人公である望月幸平役である「伊藤英明」は前半から「ヤバイ妻」の真理亜役の
木村佳乃にまるっきり手玉に取られる。そのある意味「間抜けな感じ」は間抜けではないが、
伊藤英明のイメージとマッチして、シリアスな部分でも「クスッ」となってしまうことがある。
しかしながら、終盤になるにつれ、妻の技巧性に追いついてくるのもまた見どころ。
資産家の結末は「不幸?」
昔から宝くじに当たった人は最後に不幸になる、というある種の「都市伝説」はまことしやかにささやかれてきた。宝くじの高額当選者自体、表に顔を出さないものだから、その伝説的なお話は都市伝説の域を脱さないが、夫の伊藤英明扮する望月幸平は、資産家の令嬢である真理亜(木村佳乃)の相続資産でカフェを経営し、また、その従業員の北里杏南(相武紗季)を不倫関係、という最悪の夫を演じている。しかもカフェの経営状態は最悪。そんな夫に取りつかれた真理亜も最悪。そんな3重苦状態から抜け出そうとまたまた「最悪なシナリオ」を真理亜が実行する事から物語は発展する。やはり、お金がありすぎると人間は「不幸」になっちゃうんだろうか?
主婦の書いた最悪のシナリオ。振り回される警察。
ことごとく精密に仕組まれた最悪のシナリオに翻弄される刑事は相馬誠一郎(佐藤隆太)。いままでの役柄では「かわいい笑顔が似合う好青年」といった役柄が多かったが、このドラマでは一転、シリアスな演技に終始している。誘拐、殺人、数々の事件は真理亜が仕組んだシナリオ。そして、納得せざるを得ない証拠がそろい、捜査本部は「特異案件じゃあない」といった捜査の終止符を打とうとするが、どこか腑に落ちない相馬刑事は事件を不可彫りしてゆく。初盤の望月幸平のいじり方は、まさに「いじめ」に近く、その揺さぶりにまんまとぶんぶん振り回される望月幸平が不幸にも見えてくる。
すべては奥様が愛を取り戻すため
なんだかんだと事件が起き、望月幸平が窮地に立たされる展開だが、実は真理亜は夫である望月幸平の昔の愛情を取り戻したいのが動機。そのコードネームは「N31」。
ここでは詳しくは書かないが、結婚とは結婚を頂点にどんどんとその高まりは薄れてゆく、とお感じのご夫婦もいらっしゃるのではないだろうか。当然、そのピークのまま続く夫婦もいるのだと思うが、薄れゆく愛情を皆さんはどうやって食い止められるだろうか。真理亜は様々な仕込みをして、最後には「昔の幸平」の愛情を取り戻そうとしているだけだった。
脚本は「世にも~」「ストロベリーナイト」の黒岩勉
「いやー推理小説みたいでおもしろいなぁ」と木村佳乃の演技と2本柱は引き込まれる「脚本」
事件の詳細が、少しづつ、ひとつづつ判明することでドラマが展開してゆくのは黒岩本の特徴ではないだろうか。ただ、最後にレストランで話す望月幸平、真理亜夫妻の雰囲気。どこかで見たことが、と思ったら、最近ゴシップネタでも頻繁に取り上げられるが「ミスター&ミセススミス(アメリカ映画2005年)」のブラピ&アンジーのイメージがシンクロした。ドラマは本が半分、役者が半分と自分ではその範疇を見ているが、脚本はまさにその「半分の責務」以上に充実した内容だった。
最後の敵「それは何と身近な人々」
様々な敵と対峙し、望月夫妻が窮地に立たされる場面ではキムラ緑子の演技が光る。また、最近、見ない日はない「高橋一生」もキムラの旦那役を講演している。途中では望月幸平の義理の兄薬である横路正道(雨上がり宮迫)にもその相続遺産を盗まれながら、最後は先の鯨井夫婦に奪われそうになってゆく。今まで自分たちの友人だと信じ、表だって付き合ってきたのに、相続資産額に目がくらんで「あれよあれよ」と周りの人たちがその遺産を強奪しようと試み始める。
結果的には
最後は幸平も真理亜も幸平の実家のクリーニング屋さんで生活する。この手のお話は最後はハッピーエンドで終わってほしいなぁという王道は外していない。相続した遺産のお金も無くなり、住むところからも焼け出され、行き場のない幸平と真理亜は、実家の家業を継ぎながら、母親とも同居生活をするようになり、幸せの未来が待っているはずだった・・・。真理亜が企てた「誘拐事件」は結果的にご近所のキムラ緑子、高橋一生により本当に監禁事件へと発展してしまう。故意ではない監禁。その行為がまた、新しいもめごとの発端となってしまう。
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