がんばる晴菜に私も恋した
全力投球はウザくない
最初に1巻に出会った時は、晴菜がとにかく全力で恋に挑んでいるので、ちょっと暑苦しいなと思っていました。だけど、読んでいるうちに、晴菜ってかわいいなーって…読者が恋するよ。素直で、一生懸命で、人の悪いところとか考えてなくて、優しくて。体がちょっとごついくらい、なんだよって思うよね。中学校で全力でソフトボールをやってたことは、彼女にとっての誇りで、恥ずかしいことなんかじゃない。こんなに強くて優しい女の人、魅力にあふれすぎている。高校に入りたてのころは、彼氏をとにかくつくりたい・ナンパされてみたいとあまりにがっついていたし、男の人に免疫がなくて危なっかしかったけど、ヨウと付き合えるようになって、リア充の悩みとかも理解できるようになって、余裕が出てきた。そしてモテ始める晴菜。適度に力が抜けて、どんどん女の子になっていく晴菜は、もともと優しくて魅力的だったし、それに気づいた男たちが寄ってこないわけがない…!もうヨウも気が気じゃないよね。まさか朝丘さんまで立候補するとは思わなかったな。でも朝丘さんの場合は、ヨウのことも好きで、晴菜も好きで、ちょっかいかけたくなっただけのような気がしています。壊す気はなくて、試すというか、本気のヨウを見てみたいという好奇心というか。いいお友達だね。
好きだという気持ちをストレートに伝え、モヤモヤしたらすべて正直に言える誠実さを持っている晴菜。感情がわかりやすい性格で、ひたむきで。裏工作や回りくどい手段などでひっかきまわされてきたヨウにとっては、全部が新鮮で最高の彼女だね。
ヨウの良さ
ヨウは、中学校のときの元カノ栗原まことがトラウマになって、女性と付き合うことを全然考えられない人でした。モテることが幸せなわけじゃない。大事にしたいと思うものから選ばれなかったらむなしいだけ。泣いてりゃ許されると思う女がウザくてしょうがない。そんなヨウが晴菜の恋のコーチをするようになって、勝手に相手のことを決めつけることなく、素直に優しさを表現できるようになっていきました。顔だけでもモテるのに、もともとの優しい性格を解放したら…カオス。モテ男の天下に。それでも、晴菜が一番大切だからと、手をつないで帰る姿…イケメン。かっこよすぎだ。ヨウにとっても、本気で好きになって大事にしたいと思えた女の子は晴菜なんだよね。君も結局恋愛においては高校デビューだよ。
ヨウは、一生懸命な人に弱いよね。城宝雅さんとの一件だって、彼女がとても真剣に取り組んでいたからこそ助けたくなったんだろうし、その真剣さは晴菜とだぶってかわいく見えたんだろうしね。城宝さんにしてみれば、罪な男だよヨウくん…にしても城宝さんのビジュアルが強烈だっただけに、晴菜が普通にかわいらしいなと思ってしまった…ごめんね城宝さん…
ヨウのビジュアルも、特徴的だなーと思います。涙袋がしっかり描かれてるからね。目つきが悪い感じが強調されていると思ってたけど、笑顔とか、照れ顔とか見てたら、涙袋しっかりある男子、かわいいなって思ってしまった。回を重ねるごとに、ヨウも晴菜にぞっこんになっていくし、晴菜への思いやりも目に見えてわかるようになって、もはや愛しいレベル。しかも、河原和音先生の作品って、物語進むごとに登場人物たちが美しくかわいくなっていくから、余計にね。
登場人物一人一人のエピソードが素敵
史也と麻美の天然男子&小悪魔女子の組み合わせも面白いなーと思いましたが、やっぱり史也に恋してたときの晴菜のエピソードが一番じーんとすると思います。初めて恋する気持ちを教えてもらって、いざ告白しようとしたら麻美に横取りされて。恋愛にルールなんてない。好きか嫌いか、早かったか遅かったかで決まってしまうようなもろいもの。でも誰もが自分を認めてくれる誰かを探し求めるもの。告白することもできずに散った晴菜は、どんなに無念だっただろうなって悲しくなりましたし、そのあとヨウが支えてくれて立ち直った姿も素敵だなと思いました。いつまでも引きずらない。切り替えて次を見る。運動部っぽいよね、こういう切り替えの早さは。負けたからと言ってそのままでは終わらない。ウジウジしているよりも、誰かに好きになってもらえる自分になることを目指そうって気持ち、素敵です。
個人的には、真巳にも恋をしてもらいたかったけどね。朝丘さんとは合わないよ~雰囲気が似すぎているというか。見守りポジション同士だから、やっぱり朝丘さんにも真巳にも晴菜みたいに元気でうるさいくらいの人が似あっている気がしますね。そこまでは描かれていないけれど、できればかわいい系男子といい感じになってくれないかな~…城宝雅さんの弟、あきとでもいいと思います。
晴菜はこれからもっとかわいくなる
晴菜は高校に入学してからはソフトボールをがっつりやっているわけじゃない。だから、高校3年間もあれば、筋肉がいい感じに落ちて、女性らしさがもっと磨かれていくと思うんですよ。女性らしいからだって、やっぱり高校・もしくは高校卒業してからもっと深まる気がするんですよね。体の成熟、精神的な成熟、社会に初めて適応しようとする時期は、多感な時期であり、悩み多き時期であり、だからこそ吸収することもたくさんある。だから、大学デビューってことで描いたら、もっと晴菜はかわいくて魅力的な女性になるんじゃないかなって思います。今度は晴菜がモテすぎて困るね…っていう展開もいいなーヨウが右往左往する(高校編でも十分右往左往していたが)姿がもっと見てみたいなという気はしました。だいたい晴菜が先走って失敗して、それをヨウがカバーする感じでおさまってたけど、今度はヨウが焦りまくって失敗して、晴菜が余裕な感じで諭してくれた、とかね。あー成長したなーこれからはもっともっと楽しくなるねーって妄想だけでも楽しませてもらっています。
番外編の遠恋で仕上げ
ヨウのやりたい夢のために、遠恋することになった二人。高校編のフィナーレが空港でのキス。このシーン、何度見ても好きだね。ヨウがすごくかっこいいし、晴菜がすごくかわいい。これはこれで最高だったけど、遠恋編もあって大満足ですよね、ファンとしては。
遠恋編では、晴菜が東京の大学合格を目指しながら、ヨウと遠恋している日々が描かれています。遠恋ならではのすぐに会えないことで起こる疑い、すれ違い、お金の苦労、気持ちの離れていく感覚、いろいろなものが、二人の気持ちを離そうとしてくる。それを乗り越えて、やっぱりお前が大好きだからってその言葉一つでがんばれる。遠恋って別れる確率が高いけど、乗り越えられるくらい二人の絆が強かったら、希望あるって思ってもいいだろうか。
高校デビューはかなり人気の漫画だったので、映画化もされたし、遠恋編はあとから付け足しで作ったのかなって気もしなくもないです。でも二人の幸せを見せてもらって十分楽しめたし、ほっと一息つきました。
はじめは晴菜の男モテのためのコーチとしてだけ関わっていたヨウ。お互いがお互いをよく知っていくうちに、どんどん惹かれあっていって、付き合って。高校生って大事な時期よね、ほんと。将来を決める選択をする場でもあり、子どものようで大人でもない微妙な時期に、いろんな気持ちを経験していく。晴菜も、ヨウも、高校デビューして恋をした。恋は人を変えるね~絶対に嫌だと思っていたモノも、いきなり輝いて見えだしたりするんだから不思議です。こういう体験は、人生において二度とできない。だから高校生って楽しいんだわ。
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