常識破りのサッカーストーリー - イナズマイレブンの感想

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イナズマイレブン

4.834.83
映像
4.83
ストーリー
4.33
キャラクター
5.00
声優
4.83
音楽
5.00
感想数
3
観た人
8

常識破りのサッカーストーリー

5.05.0
映像
5.0
ストーリー
4.0
キャラクター
5.0
声優
4.5
音楽
5.0

目次

サッカーならではの魅力たっぷりのキャラクター

サッカー大好き少年の主人公「円堂守」が,雷門中学校サッカー部のメンバーとともに様々なライバル達と戦っていくところから始まる本作品。敵や味方に関わらず,登場するキャラクターたちには十人十色の魅力がある。

その象徴となるのが主人公の円堂守だ。彼は雷門中サッカー部の頼れるキャプテンである。人一倍努力家で,物語序盤の円堂以外のチームメイトがやる気をなくして練習をさぼってしまう場面でも,円堂自身はひたすらに努力を続け,その背中とプレーでチームを引っ張っていく。どんな逆境も跳ね返す彼を見ていると,自然と元気が湧いてくる。

円堂と同じ雷門中サッカー部でエースストライカーを務める豪炎寺修也は,クールでイケメン。まさに「かっこいい」の象徴のようなキャラクターだ。彼には大好きなサッカーを一度やめてしまう程の出来事が過去にあるのだが,そのエピソードがまた感動的で,彼の魅力を一層引き立てていると思う。名前の通り炎をまとったかっこいい必殺技が多く,決めてほしい時に決めてくれる豪炎寺は,見ていてとてもスカッとする。

そして,雷門中の最初のライバルとなる帝国学園サッカー部ミッドフィルダーの鬼道有人も印象的なキャラクターである。後に円堂達の仲間になる彼だが,初登場した時は性格の悪い完全な悪役だった。しかし,物語が進むにつれ彼の抱える家族の事情や,サッカーに対する純粋な想いが垣間見え,紆余曲折しながらも状況を打開していく鬼頭の姿から勇気をもらうことになる。彼の卓越した頭脳とゲームメイクは,そういった苦難を乗り越えたからこそのものなのではないだろうか。

まだまだ魅力的なキャラクターは大勢いるが,この3人の選手達のポジションに着目すると,円堂守はキーパー,豪炎寺はフォワード,鬼道はミッドフィルダーとそれぞれ異なることに気づく。11人対11人で行い,攻撃や守備,ゲームメイクなどの役割が分かれているサッカーという競技だからこそ,多彩で魅力的なキャラクターが生まれるのであろう。

強烈なインパクトを持つ必殺技

イナズマイレブンの醍醐味はインパクト抜群の必殺技にあるといっても過言ではないだろう。

主人公である円堂の必殺技は実に10種類を軽く越える。その代名詞となる「ゴッドハンド」は,彼のキーパーとしての必殺技で,その技を出さないと全く取れなかったり,弾き飛ばされたりしてしまうようなシュートを,なんと片手でキャッチしてしまう。かなり現実離れはしているが,不思議と違和感はない。何でも起こってしまいそうなアニメならではの世界観と,円堂の懸命な努力が,私に「あれだけ努力したのだから,できてもおかしくない」と思わせてしまうのだろう。円堂が気合いを入れて技名を叫ぶと共に,光り輝く大きな手が出現し,敵の強烈なシュートを防ぐ姿を見ると, ただただ清々しい気持ちになるのだ。仲間と協力する技も多数あり,シュート系の「ファイナルトルネード」は,なんと円堂と豪炎寺を含めた4人で繰り出す必殺技である。イナズマイレブンは「超次元サッカー」であり,もはや比べてはいけないかもしれないが,この「ファイナルトルネード」はあの世界的サッカー漫画「キャプテン翼」の立花兄弟が繰り出す「スカイラブハリケーン」にも勝る衝撃的な協力必殺技だと思う。

また,ひとつひとつの技の派手さやカッコよさもそうだが,その多様性にも驚かされる。鬼道のシュートの必殺技「皇帝ペンギン2号」は,かわいい複数のペンギンたちが出現し,ボールと一緒にゴールへ飛んでいくし,日本代表となった円堂のチームメイト宇都宮寅丸のシュートの必殺技「RCシュート」は,突如出現するラジコンカーをリモコンで操作してゴールを決めるという奇想天外な技である。選手たちは真剣に必殺技を出しているのだが,やはりどこか可笑しく感じてしまう。このようなユーモア溢れる多彩な必殺技があるからこそ,見ている私たちは次々と繰り出される必殺技に飽きず,次はどんな必殺技が出てくるのだろうと心から楽しみにしてしまうのではないだろうか。インパクト満載でかっこよくも面白くもある必殺技の数々に,心が踊ってしまう。

次々に立ちはだかる強敵にワクワク

間髪入れずに現れる対戦チームたちは数々の名試合を生み出した。

円堂たちはサッカーを続けるためにまず日本一を目指すこととなるが,この時の印象は最後までアニメを見終えた今でもしっかりと残っている。今考えるとその雰囲気は漂ってはいたが,最大のライバルとなり続けると考えられていた帝国学園がいきなり一回戦で負けるのである。これは私の勝手な想像だが,このいきなりの展開を見て,この作品から「予想を超えてくるぞ」という意気ごみが伝わってきたような気がした。

次の敵チームのいきなりのスケールアップにも驚いた。日本一を目指した次にはなんと自らを「宇宙人」と名乗るチームが敵となるのである。雷門中の校舎をも壊してしまうような対戦相手だ。普通ではない特別な力を持っている選手に,円堂たちがどう立ち向かうかというところに引き込まれた。

物語終盤には円堂が日本代表「イナズマジャパン」に選ばれ,世界一を目指して世界各国のチーム戦う。「前の敵チームに比べてスケールダウンしているのではないか」と最初は思ってしまったが,対戦相手は強敵ばかりで,円堂達はさらなるレベルアップが求められた。いつものように少し矛盾は感じるが,日本代表はやっぱりサッカーを頑張っている子供たちにとっても夢の最終段階であるし,私はこれが「宇宙人のような力を手に入れた特別な選手よりも地球で懸命に努力した世界の選手達の方が強いというメッセージ」と受け取っておこうと思っている。世界の壁は本当に分厚く,対戦相手も各国の特徴を掴んでいて面白い。特徴的なライバルチームのキャラたちは最後まで私を楽しませてくれた。

「昨日の敵は今日の友」増えていく仲間たち

仲間がどんどん増えていくのが面白い。ライバルチームのエースが,どんどん主人公チームに転部するのである。チームプレーの幅も増えるし,ライバルチームにいた好きなキャラクターを長く見ることができるのが良い。また,宇宙人が登場したり,必殺技がぶっ飛んでいたりと,現実離れしすぎて気づかないかもれしないが,少し視点を変えると,ライバルチームの選手がすぐ主人公チームに転校するという,絶秒に現実的でない出来事がストーリーのアクセントになっているのではないだろうかと思う。

「戦って互いに認め合って,仲間になる」というのは,アニメでもありがちな展開である。現実のサッカーの世界でもプロの移籍は日常茶飯事だ。しかし,イナズマイレブンの舞台は中学校。なかなか転校の垣根は高いかなと思うが,イナズマイレブンはやはりどこをとっても超次元サッカーである。選手は非常にスムーズに転校し,雷門中サッカー部に集まってくるのだ。これがもし現実であれば,エースが抜けて残されたチームメイトが怒ったり,色々と問題になったりしてもおかしくないと思うのだが,雷門中に行くエースを選手たちは快く送り出す。このようなありそうでない状況も,新鮮なストーリー作りに一役かっているのではないだろうか。

サッカーだけではないたくさんの常識を乗り越える

これまでもしばしば述べてきたが,このイナズマイレブンは超次元サッカーの名の通り,物語が進む中でたくさんの常識を打ち破ってきたように思う。サッカーという競技の常識を超えたプレー,必殺技はもちろん,登場キャラクターの個性,友情,努力,人間同士の絆など,本当にいろいろなところで超次元な円堂たちの姿を見られることが,常識を超えた面白さにつながっているのではないだろうかと思う。

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