ただのラブコメにあらず! - 10日間で男を上手にフル方法の感想

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ただのラブコメにあらず!

3.53.5
映像
3.5
脚本
4.0
キャスト
4.0
音楽
3.5
演出
3.5

目次

ケイト・ハドソンのはまり役

マシュー・マコノヒーはともかく、ケイト・ハドソンは可愛いけど、演技はどうかなって正直思っていた(「あの頃ペニーレインと」でも「サハラに舞う羽」でも正直彼女にもなんの感情も持てなかったし)。ただのラブコメなら途中でやめようと思って観たこの映画。結局最後までみた挙句、DVD購入までしてしまうくらい気に入ってしまった。
お互い仕事のカモとして選んだ相手と擬似恋愛をした結果、本当に恋に落ちましたってただそれだけなんだけど、なぜか何回も見てしまうのは、ひとえにマシュー・マコノヒーとケイト・ハドソンの演技のよさに尽きる。
まずケイト・ハドソン。この映画の役柄は本当にはまり役だった。演技なんてしなくても自前の性格でやれそうな感じ。記事のためにあえて男が嫌うことをするというのは、ちょっと面白そうだった。恥ずかしくなりそうだけど。いくらバカなことをしても、憎たらしいことをしても、ケイト・ハドソン演じるアンディはかわいらしい。偽カウンセリングでの二人のくだらないやりとりの最中、なぜかティッシュを脇にはさむ仕草さえキュートだった。ベン(マシュー・マコノヒー)も仕事のためだからこそ我慢しているんだろうけど、この我慢の限界をぎりぎりまで伸ばせたのもアンディの可愛らしさから来ているハズ。女性としてひとつの理想像がここにある感じで、個人的に大好きな役柄だった。(あとこれはちょっと違うけど、あのアンディの職場は恐ろしすぎる。女ばっかりの職場。ミーティングは靴を脱いでリラックスしながら…って怖いわ!ボスのラナが一番その怖さを出しているのだけど、あそこで働く度胸があるのなら、大抵のことは我慢できそうな感じさえする。)
ケイト・ハドソンはお母さんに良く似ている。笑った口元なんかそっくり。彼女のお母さんの映画「永遠に美しく…」では綺麗なのに怖くて、でもコミカルで。そんな演技が、かなり印象的だった。もしリメイクしたら、ケイト・ハドソンがやるのかな。
あとは、彼との結婚写真や子供の写真を合成して作って、アルバムにしてもっていくところ。かなりホラー。ベンのあの表情は演技でない感じもする。あれ実際やられたら本当に怖いと思う。またあの合成写真のやる気の無さが恐怖をあおる。こういうコメディなのに結構なホラー要素を感じるのは、昔のドラマで「水曜日の情事」というのがあった。あのドラマも基本コメディチックなのだけど、時々差し込まれるホラー的要素がこれと共通しているようにも思う。
ケイト・ハドソンは新ラブコメ女王と呼ばれているけど、それだけの実力と可愛らしさは十分持ち合わせていると実感できる役柄だった。

マシュー・マコノヒーの魅力

彼はなんとなくラブコメ寄りの軽いイメージだったから、この映画はぴったりだった。ベンは、カッコよくて、セクシーで、でもいい加減なところもあり…といった現代風の軽い男。でもこの映画ではそれ以上の魅力を役柄にあふれさせてくれた。バスケットボールの試合でアンディに言われてダイエットコーラを買いに行くところ。「夢で逢えたら」が見たい太っちょに殴り飛ばされるところ。まったくこの人は、カッコいいのにコミカルな演技がよく本当に良く似合う。あと、アンディをつれて自分の実家にいくところ。このあたりでベンが(アンディも)恋に落ちていく描写があるのだけど、ここばかりはお互いの目論見など忘れて、本当に相手のことを想っているのがよくわかる。二人ともぜんぜん話さないのに見つめあうだけで。このシーンと、ベンがアンディにバイクを教えるところのイチャイチャ感も個人的には大好きなところ。
にしてもマシュー・マコノヒー、今まではあまり演技に深みを感じるような俳優ではなかったけど(「コンタクト」の宗教家だった彼は好きだったけれど)、「リンカーン弁護士」以降変わったように思う。自らのイメージを払拭しようとしているのか、いきなり脱皮したというか…。「MUD」もまったく今までにない役柄だったし、「ダラス・マイヤーズ・クラブ」なんか本当に死ぬんじゃないかと思うほどだった。個人的には、この「10日間で男を上手にフル方法」の彼も、らしくて好きなのだけれど。
脚本のよさもさることながら、この実力派の二人だからこそ(だからこそケイト・ハドソンは心配だったのだけど)、このラブコメ映画がここまで面白くなっているのは間違いない。
ちなみにこの二人、5年後に「フールズ・ゴールド」で再度主演しているんだけど、この映画ほどの魅力が感じられなかったのは残念だった。

このチープ感は狙い?

この月並みな内容からしてチープ感は否めないけど、この監督はそれを逆の魅力に仕立てあげているのではないだろうか。冒頭のシーン(ファッション雑誌の記事がスタイリッシュにさしこまれるところとかとか)もさることながら、失恋した親友を慰めあうあたりの描写とか、チープ感満載である。にもかかわらずここまで愛すべき作品に仕上がっているのは、それを味方につけた監督の手腕だろう。
またこの映画、原題は「How to Lose a Guy in 10days」だから邦題はちょっと違うのだけど、映画のテーマからしたらナイス意訳!な名タイトルだと思う(チープ感も出せてるしね)。

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