女の価値とは?
ナナは、すごい魅力の女性。
ナナは、高級娼婦だが、強烈な魅力があります。僕は若い時、あるアイドルのことが忘れられなくなり、その人のことを思ってマスターベーションばかりしていたものですが、ナナも、男たちが虜になってしまい、熱に浮かされたように何年も何年も恋い焦がれてしまうような女である。熱の浮かされ度が問題ですね。不図、気づくと、その人のことのばかり考えているといったような女性ですね。まぁ、娼婦ですから、水商売とかAV女優みたいなイメージが湧いてしまったのですが、逆に、色気がぷんぷん漂ってくるようで、そこが一段と魅力的でした。ナナはとても肉感的で、その肉感的なところを追いかけながら読んでいると、次から次へ読みたくなってしまう小説ですね。
美しさを失ったナナ。
ナナは性的に男を惑乱しまくった挙句、性病になります。なんていうか、ナナというのは娼婦であり、男を誘惑しながらも、男を愛しているというか、男のことを可愛がっている節があり、僕は個人的に、ナナには幸せになってほしい! と思いながら読んでいったのですが、最期に、性病になり見るも無残な姿になってしまいます。あんなに美しかった女性が、こんなに醜くなってしまうなんて。性格だって必ずしも極悪というわけでもなかったのに。しかし、作者はナナを腐臭を放つ存在にしてしまいます。何でだろう?
女の価値とは?
女性というのは「美しい」ということがひとつの価値だが、どういうことだろう? 僕は当時の時代背景とかを知らないから何とも言えないが、「美しい」というだけでは価値ではないということを作者は言いたかったのだろうか? 僕は加藤諦三先生の心理学の本をよく読むが、それによると女性がいくら美しくても(逆に、男がいくら権力や金を持っていても)、精神的に不安定だったり、協力をすることのできない性格だと人間関係というのはうまくいかないとあります。実際、僕個人は誰もが羨む美女とは付き合ったことはないが、(ないから本当はそれについて言ったらいけないのだけど)、しかし、逆に、ごく普通の容姿のごく普通の優しい女性と付き合ってきて、特に問題が起こったことがない。それは僕が見た目より優しさを選んできたことの結果だと思う。そういう視点からすると、「美しい」なんていうことだけでは、価値は薄れる。作者も「美しいだけの女なんて案外醜いものだよ(汚いものだよ)」と言いたかったのだろうか? もちろん、これは作者の意図することはかけ離れているかもしれないが、僕の個人的な感想でした。「男はナナみたいな女性と付き合うと失敗するんだよ」と経験豊かな作者エミール・ゾラが言っているような気がしました。
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