思春期の女の子はみんなベーダ
キュート全開!
ベーダにキュートを感じずにはいられない映画です。日本ではマコーレー・カルキンの方がホームアローンなどで有名ですが、そのカルキン君を勝る存在感、可愛らしさ。ベーダのこぼれ落ちそうな大きな瞳、ぽってりした唇がピンク色に染まって、ポニーテールからの後れ毛が無造作に散って、天使そのものです。しかしそんな天使の容姿とは裏腹に、ベーダの中身は小悪魔。11歳という女の子の幼さの中に、もう女の抜かりなさが存分に備わっていて発揮させてます。女の子って本当に小さな頃から女なんだなと思い知らされる。ベーダの自由奔放で目立ちたがりなところ、大人達や親友のトーマスを翻弄させる魔性なところ、女の子のダークな面が満載。それでもベーダのひょうきんな仕草、真っ直ぐすぎる素直な痛さ、感情の豊かさ、あの何でも許してしまうようなキュートな笑顔に誰もが引きこれてしまうこと間違いなしです。
子供の死生観
ベーダは幼くして母親を亡くした葬儀屋の娘。そんな非日常な環境のなかでも、まだ本物の死体を目にすることには恐怖を感じて避けてしまう。それは子供でなくても当たり前な死に対する恐怖感なのだと思います。それでもベーダは親友のトーマスまでも事故で失ってしまい、普通より身近に死というもの色濃く見つめさせられてしまう。それがベーダを人より早く大人にさせ、繊細な感受性を更に尖らせてしまうようで切なかったです。ベーダがラストでトーマスの死を詩で表現した場面は涙がとまりませんでした。
思春期の世界観に癒される
思春期は誰もが敏感で、向こう見ずで、独りよがりな世界観を持つものだと思います。大人の言うこと、大人の矛盾、環境の変化、体の成長、ベーダがさまざまな取り巻きにいちいち反応して、反発する。その姿があるある!、そうだよねと大人になった今の私でも共感してしまうのは、まだどこか大人になりきれていない思春期のような心が自分に残っているからでしょうか?ベーダの部屋のインテリア、ベーダがはまっている歌手の歌、さっぱり男の子っぽさも残る服、思春期特有の女の子のセンスがふんだんに盛り込まれていて、演出も細かく素敵でした。決してセンチメンタルには走らず、常に強気な主人公のベーダーの姿になんだか元気さえもらいます。幼かったあの頃の感情をうわっと涙と共にこみ上げ、思い起こさせてくれる映画。懐かしい気持ちにさせ、涙活のようにワンワン泣いて普段の凝り固まった心をスッキリさせる、私にとっては最大の癒しの映画だとも思います。
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