赤星が幸せになるストーリーも見たかった
5人の愛憎劇だけどそんなにドロッとはしていない
三角関係ならわかりますよ?それが5人って…いったいどうなってるんだい。ユキの事しか見えてない幸、朱美の事しか見えてないユキ、ユキのことを想いながら雄平と付き合ってる朱美、ユキを想い続ける幸を好きになってしまった赤星、朱美のことだけを想っている雄平、そして幸と朱美は親友同士…これほど一方通行なことって…あっていいのでしょうか。みんながみんな、誰かを追いかけている。
結局ね、自分の気持ちに嘘ついてごちゃごちゃを作っちゃったユキと朱美のおかげで、事態はこじれまくってるんですよね。だったら最初からうまいこといっといてくれよ!って思いました。だけど恋はタイミングが命。逃しちゃったら戻ってこないんですよね…向き合えたときにはもう気持ちが別な方向を向いていることってけっこうあると思います。向き合えてなかった間に積み重ねていたモノがいっぱいあって、それも確かな事実だから、全部を丸ごと受け入れて、進んでいかなきゃいけないんですよね…あーなんか…そう考えると、夢物語~!みたいな話よりもリアルな青春なのかもしれないですね。ついつい読者目線に立つと、完全なるハッピーエンドを求めてしまうんですけど、絶対にそれはあり得ないというか。成功もするし、失敗もして、後悔もして、そして大きくなっていくのが人間っぽいです。
それに、誰かを大切に想うから、悩むんですよね。自分勝手に欲求のままにできることなんてそうそうないわけだから、悩んで悩んで…出した答えに後悔しないように、一生懸命心を強くしてるんだと思いました。
幸みたいにまっすぐだったら人生違ってたかもしれない
この物語は、幸がまっすぐだったからどうにかもってましたね。とにかく一途で、ユキしか見えていない。それに赤星も惹かれていくわけです。まっすぐ前を見ている人ってやっぱりかっこいいし、光みたいに思えます。赤星にとってもそうだし、朱美にとっても幸は光だったんですよね。目をそむけたくなるくらいの、まぶしいやつ。自分が黒く思えて落ち込んでしまうから、避けたいんだけど、大事にしたいし追いかけたい光だっただろうなと思います。朱美って美人でモテモテで雄平という男がいながらユキを想い続けているという、本当に困ったやつです。でも行動は理解できなくもないです。よくありませんか?私はA子ちゃんと友達で、A子ちゃんはBくんが好き。それで心の奥底では私もBくんが好き。Bくんの忘れ物を家に届けたいけど、届けるかどうか迷っているA子ちゃん。そして私は届けに行こうよ!とA子ちゃんを連れだし、あわよくば彼の目によくうつりたいという下心で忘れ物を届けにいく…なーんていう行動ね。ありますよね~こういうずるいところ。ってないですかね?(笑)自分にもブラックな部分があるので、みんなにも存在してる気持ちだったらうれしいです。ちょっと罪悪感薄れるので…(笑)
朱美もユキも、幸だけはまっすぐだってことをわかってるから、けん制してました。仲良くなったら、自分のだめなところが見透かされそうですもん。でもね、幸は全部を受け入れて、それでも好きだと言ってくれる、最高の奴なんです。こんなまっすぐに、誰かを大切に想えたら…絶対幸せだなーと思います。思われるほうっていうより、大切に想えている本人が絶対幸せだと思いますね。成就するかどうかじゃなくて、それくらいの大切なものがあるってだけで、奇跡みたいですよね。物語の中で幸が言ってることばから、まさにそれが伝わってきます。
ユキちゃんに会えたのが17年に一度のラッキー
そんなこと言えるくらい、人の事大事に想えてない!!まぶしいよ!幸!
赤星が男前すぎる
で、赤星がイケメンなんです。これだけの男を当て馬にしておいていいの!!?というくらい!
なんでもいいからオレにしとけよ
はい。お願いします。でしょうよ!なんでユキしか見えてないかなーーこいつのほうが絶対いい男だって!!クレイジー…。だって誰よりも幸の幸せ願って行動できる男ですよ?苦しい苦しいって現実から逃げまくってるユキのどこがいいねん!そんなに母性をくすぐるのか小悪魔は!!…イケメンが目の前に転がっているのに(むしろ手の中にいるのに)、スルーされていくんです…ツンデレで優しくて、本当に幸しか見えてなくて、それがすべてわかってて、断る理由も全然見つからないのに…なんで!ユキという残念なやつにどれほど魅力があるのか…だから恋は怖いんだよ、合理的じゃなくなっちゃうんですから。どう見ても赤星のほうが幸せになれる気がするのに、そこじゃなくて自分の心が動くほうを選んでいく…間違っているのか、正しいのかはきっと関係ない。うーんこれが人間の良さであり弱点ですよ。自分の気持ちが求めるものって本能だから、いろいろ理由がつけられないんですよね。根拠なんかないから厄介です。
だからね、赤星のサイドストーリーであと3巻くらいは描いてもらいたかったですよ。絶対幸せになってもらいたいですもん。そりゃあ世の中うまくいかないことのほうが多いですから、せめて、赤星の希望をちらっとでも見たかった。これがとても心残りです。
一番の男前は雄平だけどね
なんだかんだと言ってきましたが、結局一番男前なのは雄平だと思います。だって…一途にずっと朱美を想ってきてて、それがいきなり実は心ここにあらずでしたみたいな、そんなんカミングアウトされてですよ?それでも
朱美が笑ったら俺は笑うよ
なんて言える?!すごいケンカをしちゃったとかそういう次元じゃなくて、もう憎しみ生まれるレベルですよ?それなのに憎むこととか全部置いといて、それでもまっすぐに、相手の幸せを願えるなんて…実は幸より雄平がクレイジーフォーユーの裏主人公ですよ。このときばかりは朱美のことをちょっと嫌いになりそうでした。そうやってユキを選んどいて、やっぱりもう雄平のことしか…っておいおいおい気持ちをもてあそばないでくれよ…でも雄平は、いつでも朱美の幸せ最優先。ここまで相手のことを想えたら、それこそ愛っていう気持ちなんでしょうね。自分が幸せになりたいっていう気持ちじゃなくて、相手を幸せにしてあげたいって思えるかどうかが、人間として大きくなれるかどうかの人生の分かれ道なんだろうなって思います。なんて男前なんだ雄平…君みたいに、私はなりたい。
最後はほんとにおめでとう
ラストはよかったと思います。それぞれに答えを見つけて、前を向けたのですから。朱美と雄平がもとに戻る選択をすぐにしなかったことはよかったと思います。そんなすぐ戻られても気持ちがついていかないしね。決断がそんなに軽いものだったのかい!と思われちゃいますから。
たくさん間違えながら、答えって見つけていくんですよね。一発で間違いなく選べる道なんてない。だから悩んで悲しくて苦しい…それでも区切りつけて、進んでいくしかないんですよ、人生。
クレイジーフォーユーは5人それぞれが、それぞれの何かを追いかけているマンガでした。そして最終的には、みんなが前を向けて、本当によかったと思います。この5人だったからこそ、たどり着けたと思います。ただね、赤星だけは希望が少なかったので、そこのところ、どうにかならないかと思わずにはいられません。このことだけは念を押しておきます。赤星、君は最高だ。
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