読み取り特殊能力! - スキャナー 記憶のカケラをよむ男の感想

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スキャナー 記憶のカケラをよむ男

4.504.50
映像
3.50
脚本
4.00
キャスト
4.25
音楽
3.25
演出
4.00
感想数
2
観た人
2

読み取り特殊能力!

5.05.0
映像
3.5
脚本
4.5
キャスト
4.0
音楽
3.0
演出
3.5

目次

思念の読み取り能力

野村萬斎演じる仙石に開花してしまった特殊な能力によって、宮迫博之演じる丸山とでコンビとしてブレイクしたマイティーズ。その裏に隠された真意と仙石の苦悩が見事に描かれていて、こんな能力がある事自体の良しあしも考えものです。しかしその能力がふとしたことから人助けにつながり、仙石にとってはコンプレックスでしかなかった能力が自身の自信に変わっていく様が見どころでした。

兄妹の愛と周囲の関わり

尊敬するピアノの先生と喧嘩したまま別れる事になってしまった花が思い立って元マイティーズの能力を信じ捜査の依頼におとずれ、半ば強引な丸山も相方の仙石を心配していた事から始まる。切な思いが伝わり、能力を活かし助けになりたいと少しずつ外に出始め親身に捜査を始めた仙石だったが、その思念の裏にはかなり複雑な歪んだ思念があった。幼い兄妹の間にあった愛情と家庭環境が引き起こした悲劇であり、その結末はかなりの衝撃だった。

エリート刑事の真の顔

安田章大演じる、若くしてエリート刑事である佐々部。今回のピアノ教室講師行方不明に関し、第一線で活躍する佐々部ですが、単独行動や個別な感情や視点が見え隠れする中。ネタバレを見てから映画を見た感想では、最後の最後まで心中複雑な葛藤があった事が見られる。捜査の一環として見せかけ新たな犠牲者へと結びついて行ってしまう。そしてまた新たな復讐が繰り返されてしまう。結局のところ、復讐は何に向いていたのか、その真意はどこにあったのか。佐々部の心中が最後の最後に明かされ、切なくなる。妹を本当に大事に思う気持ちや、両親への憎しみと忠実さ、不甲斐ない自分への公開の気持ち。色々な感情が入り交ざり、なにを主観にして共感したらいいのかわからない程複雑な境遇。養子として育った家庭での事もありエリート刑事になれたはいいが、それも良かったのか悪かったのか。一番可哀想だったのは、実は佐々部なのではないかと思う。そして、女装で妹の過去になりきる佐々部も見ていて痛々しいが、それほどの思い入れと長年の苦悩の積み重なりが彼をそうさせてしまったのであろう、と切に思う。序盤で犯人役として登場しているのだが、何も知らずに見ていたらそのシーンの深さには気付かないであろう。結果的には残された家族の先入観と決めつけでの悲しい結果になってしまったが、スキャナー能力の活躍と、能力を発揮する中での読み取った相手の真意と向き合う難しさ。人の愚かさや優しさ、悲しみや憎しみが凝縮された映画であったと思います。何度みても中身の重さには感銘を受けます。

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バディ物の痛快さと、最後のどんでん返しに震える

凸凹コンビのバディ物で、主人公の変人ぶりに魅かれる。典型的なバディ物と言った構想で、主人公の仙石(野村萬斎)がとにかく変人で気味が悪い。手に取った「物」から思念を読み取ってしまうのだが、個人的には友達にしたくないタイプで、この人が後々犯罪の根源を暴こうなどとは到底思えない引きこもりっぷり。体質的に相当苦しいはずの思念の読み取りをコミカルに描いていたので、なんとか静観できるもその特異体質ぶりがフューチャーされていたら、見ている人は相当苦しいはず。だけど興味をひかれる素材だった。バディのもう一人である丸山(宮迫博之)は、チャランポランな芸人崩れでこちらもやはり友達になりたくないタイプの人間。二人を組合すことになる切っ掛けが、幼気な学生の頼みで本当にスルーしたいはずなのに、過去の繋がりからどうしても放っておけない「人情み」があるところからの展開がスピーディーで軽快だった。二人の捜査(まがい)...この感想を読む

4.04.0
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