ルパン三世 1$マネーウォーズについての長文考察 - ルパン三世 1$[ワンダラー]マネーウォーズの感想

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ルパン三世 1$[ワンダラー]マネーウォーズ

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映像
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ストーリー
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キャラクター
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声優
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音楽
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感想数
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観た人
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ルパン三世 1$マネーウォーズについての長文考察

3.53.5
映像
3.5
ストーリー
3.5
キャラクター
3.5
声優
3.5
音楽
3.5

目次

経済モノとしての視点

はじめに

皆さんご存知のようにルパン三世は長期に渡って作品が作られ、多くのファンを獲得してきました。その多くの作品がある中で、今回考察するのは、作中に「ミレニアムの大仕事」と言う台詞が出てくるように、2000年にテレビスペシャルとして放送された『ルパン三世1$マネーウォーズ』です。

ルパン三世の魅力の一つは、何と言っても世界を股にかけて、世界を舞台にルパン三世が大暴れする所にあります。それは今作品でも例外ではありません。今回の舞台は主にアメリカ合衆国のニューヨークです。それもミレニアム、2000年前後のITバブルに沸くアメリカの姿が描かれています。敵役にはウォールストリートジャーナルの一面を飾る投資銀行の女頭取が登場します。この投資銀行は詐欺まがいの金融商品まで扱い巨大化する様子等、経済バブルに沸くアメリカが上手く描かれています。また、巨大化した投資銀行がさらに利益を追い求めマネーゲームを仕掛けて、挙句の果てに破綻する様など、考えさせられる作品にもなっています。実際にこの作品の約10年後のアメリカでは、リーマンショックと言われるアメリカの投資銀行が破綻したことに端を発して続発的に世界的な金融危機が発生しています。結果的に先見性が有ったというのは言い過ぎでしょうか。いわゆる経済モノとして観た時、経済戦争を仕掛ける様等、非常に爽快感があり、一つの作品として良く出来ていると思います。

また、女頭取のシンシアがバンクオブワールドの金融商品であるプリンス債において失敗した責任を部下であるギルバートに押し付けるのですが、それにシンシア自ら言及するシーンで興味深い発言があったので書いておきます。

シンシア「(ギルバートが)刑務所に入っても、民間の最高クラスを用意してあげるし、その後には最高の暮らしが待っているのよ。何の問題があるの?」

これは、プリンス債の事で罪に問われ、その責任をギルバートに押し付けても、上記のように世話してやるから問題無いとの発言です。これも、アメリカ社会を考察する上でおもしろい場面です。日本では馴染みが無いですが、アメリカの刑務所は民営化されており、民間企業が刑務所を経営している場合があります。つまり、シンシアは、本来ならば、罪を償うはずの刑務所まで、お金の力で、最大限面倒を見ると言っているのです。何でもお金次第と言わんばかりのアメリカ社会が少し垣間見えるようなシーンになっています。

安定のルパン三世クオリティー

ルパン三世の魅力は様々にあります。テレビスペシャルは特に世界を舞台に大暴れするルパン一味と、それを追いかける銭形警部という構図が魅力になっていますが、本作品もそれがある程度、安定的に描かれている良作となっています。

敵役の女頭取、シンシア等とはアクションというより頭脳戦の要素が強く、指輪の謎解きも含めて、心理戦や情報戦等が好きな私にとってはわくわくする作品になっています。

ただ、あの高さのヘリから落ちて生きている等、言えば切りが無いのですが、強引すぎる展開もあり、そういうので白ける人もいると思います。

それでも最後のルパンとシンシアがホテルのバーでやり合う場面は言及しなければいけないでしょう。シンシアが拳銃で後ろから撃とうとするところにルパンが1ドルコインを投げて拳銃の安全装置の所に挟み、発砲を防ぎます。どう見ても強引かつ超人的すぎるのですが、直後のルパンの台詞、「1ドルもバカに出来ないだろ。」がかっこよく、本作品のまとめの言葉としては妙にハマっているのでありなのかなという感じがしました。

これは、既に巨万の富を得ているシンシアが、さらなる利益を目指し、戦乱を起こそうとしてまで100億ドルの勝負をしようとしていた事に対しての皮肉が効いていて色々と考えさせられるのではないでしょうか。

カッコイイ掛け合いと小ネタも満載

ルパン三世と言えば、何と言っても大人が観て楽しめるのが魅力の一つですが、作品の中の台詞のやりとりも大人の男ならカッコイイと思えるようなものが多々ありますので少し書いていきます。

ルパンを殺されたと思い、仇を取るため、紛失したコンバットマグナムの代わりの銃を求める次元と質屋の店員とのやりとり。

 

店員「愛しのコンバットマグナムはどうした?」

次元「ちっと不倫旅行に出やがってよ。」

中略・・・。

店員「女迎えに行くなら花束抱えて行くんだな。」

次元「いやぁ、一発おみまいする!」

 

続いて、病院にて敵に追われている時に代々、独裁者の手に渡ってきたという幸運のブローチを持ちながらのルパンと次元の余裕のやりとり。

 

ルパン「う~ん、助かった~。何か急に運が付いてきたみたいだぜぇ~。」

次元 「独裁者になるのか?」

ルパン「女の前ではなりてぇな!」

 

さらには、カッコイイ場面だけではなく、笑えるような小ネタも挟んでくるのがルパン三世シリーズのおもしろいところです。

本作品で一つ紹介すると、宗教家を同志様として慕い修行している五右衛門ですが、最後には五右衛門自身が集めた浄財をその同志様に持ち逃げされ、ルパンと次元に大笑いされるというようなシーンがあり、私も含めて視聴者目線でも顔がほころびます。

おわりに

 如何だったでしょうか。安定のルパン一味と銭形警部の活躍と、経済バブルに沸くアメリカ社会の爽快さと危うさが上手く描かれていたように感じました。

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