女性の持つ魅力がテーマのブラックコメディの傑作
まずはアイディア最高
三部構成になった映画です。
一部では、刑務所行きを免れるために、次から次へと妊娠していく女が主人公。このアイディアでちょっとおもしろい、と思わせますが、さらに、だんなは不能状態になるということでストーリーは展開していきます。この設定でいろいろと別の方向にいくこともできるのでしょう。広がりのある切り口です。
この映画では、そこで、女は、思いを寄せるだんなの親友と寝ることも考えるというプロセスを踏まえて、そうするぐらいなら刑務所に入ると決断し、刑務所へ入ります。これもおもしろいてんかいです。
地域のみんなが協力して保釈金と嘆願書を集めて、見事、釈放。めでたし、めでたしということです。笑えてほんわかして、見事ですね。
女の怖さ、強さ、身勝手さ
二部では、大金持ちの有名夫人と一夜を共にしたすこし臆病な若い男が出てきます。夫人は男にかけおちを持ちかけますが、男は困惑しながらもそのことを考えている時、交通事故にあうというこれまた独創的な設定です。夫人の大事な車とあって、夫人は悪態をつきながら、ころっと態度を変えて、別の車の男と家に帰ってしまうという、笑えるようで笑えない。
三部では、売春婦ととなりの神学生の思いを描いたコミカルなコメディ。神学生は学校を辞めようとまでしますが、売春婦は学生が神学校から帰るまで操を立てることに(自分で勝手に)するという、また奇妙な設定のドラマです。三部とも女性の怖さ、強さ、身勝手さとでもいうべき魅力がテーマなんでしょうね。
マストロヤンニは偉大
マストロヤンニの偉大さを再認識しました。ほんとうに偉大な俳優ですね。第一部では、ざわざわ騒然とした感じで映像も古さ・荒さを感じさせるのですが、コミュニティーも一つのテーマになっており、そうした雑然とした雰囲気で物語が進むのが肌触りが現実的でとてもいいですね。
とにかくアイディアというかシナリオの切り口はすばらしいです。オチはあえてないというべきところです。
第二部は完璧な短編です。ここでもマストロヤンニのおろおろぶりが光ります。しかも全編通して格好いいし、まさにヨーロッパ的な映画だと思いました。第三部は映像と、美術が素晴らしいと感じました。特にテラスを舞台にしたシーンは目を引きますし、各部屋や装飾品が私たちの目を引きつけます。老人夫婦もいいし、やはり、マストロヤンニの達者ぶりが目を引きます。
非常に心を奪われた収穫のある作品ですね。
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