少女だった私を夢中にさせた不良たち - ろくでなしBLUESの感想

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ろくでなしBLUES

4.504.50
画力
4.50
ストーリー
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キャラクター
5.00
設定
4.00
演出
5.00
感想数
1
読んだ人
9

少女だった私を夢中にさせた不良たち

4.54.5
画力
4.5
ストーリー
4.5
キャラクター
5.0
設定
4.0
演出
5.0

目次

『ろくでなしBLUES』は現代でも連載できるか?

数十年前の私は少女だったが、毎週少年ジャンプを買っていた。話題に遅れないために同性の友達たちの間で人気だった少女漫画の月刊誌を毎月購読する必要があり、それに加えて、毎週発売される週刊少年ジャンプである。小遣いはほぼ漫画に消えた。それでも私は、発売日になると下校後百円玉と十円玉を数枚ずつ握り締めて近所の商店に走った。少女だった私は、ジャンプで連載されていた『ろくでなしBLUES』の続きが気になって仕方なかった。
『ろくでなしBLUES』は、不良たちが主役の漫画だ。喧嘩も煙草も日常である。時々ふと、今の世の中でこの漫画を連載するのは難しいのかもしれないなと考える。何十年も前の当時でも、こんな不良の漫画を読んでいると言葉遣いが悪くなるのではないかなどと母親にチクッと釘を刺された覚えがあるので、今なら苦情が殺到しそうだ。
漫画に影響を受けることはあるが、漫画は漫画である。大人が思うほど子供は馬鹿ではないと思うのだが、親というものは心配性だ。
読んだ子供が皆漫画と同じことをするはずないだろう。実際にできないことが誌面で繰り広げられるから面白いのではないか。ドラえもんのタケコプターやどこでもドア、秘密道具を使った冒険にワクワクするのと大きく変わりはないはずだ。
実際私は、不良たちが繰り広げる私にとっての非日常に夢中になったが、この歳まで煙草も覚えず拳を使った喧嘩などしたことがない。ただ主人公の前田太尊を中心とした男子高校生たちの男気や友情、可愛らしい恋心が大人になった今も心の中にずっと印象深く残っているだけだ。
確かに漫画やアニメと現実を混同してしまう人もゼロであるとは言えない。そのことによって好きな漫画を「悪」とされるのは悔しいし悲しい。当時の私は、漫画のせいで言葉遣いが悪くなったなんて思われてなるものかと、逆に綺麗な言葉を話すように注意していたことを覚えている。

スポーツ漫画としての側面

そんな愛すべき不良たちの漫画『ろくでなしBLUES』であるが、時にスポーツ漫画でもあった。主人公はボクシングでチャンピオンになるという夢があり、仲間の不良と共にボクシング部の試合に出場したりする。やんちゃな前田たちがスポーツで勝つために必死になる姿もまた魅力的で面白かった。
最初から最後までボクシング漫画であれば大人たちは眉をひそめなかったのかもしれないと思うことはあるが、やはりろくでなしたちの日常が漫画の中にあったからこそ、そんな部活動とは無縁のような彼らが他校のエリートたちと闘ったり仲間を応援したりする様子に感動し、卒業後の前田がボクサーとしてリングに立っている姿に読者である私たちも感無量となったのだろう。
ちなみに作者は後に不良たちが野球で甲子園を目指す『ROOKIES』を描き実写化され大ヒットするが、その原点は『ろくでなしBLUES』のボクシング部分だったのではないかと私はこっそり信じている。

少女をドキドキさせた不良少年の可愛らしい恋

男の子たちの関係性に引き込まれるこの漫画だが、忘れてならないのが恋愛パートだ。少女だった私は主人公とヒロインの関係にいつもドキドキした。
彼らは明らかにお互い好き合っているくせに、指摘されると顔を真っ赤にして否定し、手をつないだだけで大騒ぎだ。キスをするまでに一体何巻分かかっただろうか。親たちが眉をひそめる要素の多い漫画であることは間違いないが、ことこのふたりの恋模様においては現代の普通の高校生よりずっと奥手で純情ではないかと思ったりする。本当に可愛らしい恋だった。
滅多にわかりやすい行動に出てくれない前田くんがヒロインへの気持ちを表に出したとき、読者の少女がどれだけキュンとしたか。やはり『ろくでなしBLUES』は少年だけのものではなかったのだ。

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