畳みかけるような笑いに! - 少林サッカーの感想

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畳みかけるような笑いに!

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

熱い情熱に溢れる

どこを向いているのか、よく分からないのが当作品です。しかし、逆にそれが魅力でもあります。笑わせたいのか、サクセスストーリーを描きたいのか、驚くような映像が作りたいのか、制作におけるポイントが分かりません。ただ、笑わる方面に捉えても、サクセスストーリーと捉えても、驚くような映像と捉えても、どれも一流のレベルにある作品です。しかし、本編を観ていると、本気で笑えてしまいます。一回観ただけで、この作品の魅力の全てを理解できないでしょう。一回目は、笑い転げることで終わってしまいます。そして、2~3分に一度のペースで笑わせようとしています。それゆえに、一度観ただけでは笑える要素の全てに気付くことができないのです。少なくとも、三回は観なければ、全ての笑い要素を網羅することができないように思えます。それだけ芸の細かいことをしているのが、この映画作品です。そして、笑うだけ笑ったら、次に、サクセスストーリーとしての完成度や作り込まれたシナリオに驚くのではないでしょうか。主人公であるシンや、黄金の右足と呼ばれたファンの逆転劇は素晴らしいです。サクセスストーリーとして長けていると感じられるのは、勧善懲悪の要素を備えている点です。そして、主人公たちも含めて、人間の醜い部分を描き出しています。貧しさを描くことで、醜い部分がリアルに感じられます。作品全体からハングリー精神を強く感じられ、サクセスストーリーを描くことにも、必然性が感じられます。貧しい生活からの脱出というのは、行動における熱意と比例するものだと思うのです。だからこそ、主人公たちの熱意や情熱が、真剣なものに感じられます。そして、映像技術の観点ですが、「キャプテン翼」の影響を受けていると言い切っているだけのことはあります。言われてみれば、納得のできるコメントです。虎をイメージして飛んでいくサッカーボールは、「キャプテン翼」のタイガーシュートに他なりません。そして、主人公のシンによるオーバーヘッドキックを決める場面も「キャプテン翼」ではお馴染みのものといえます。常人離れしている設定だからこそ、「キャプテン翼」の場面も活かすことができると思うのです。

ラブストーリー要素

ヒロインであるムイも魅力溢れるキャラクター性だと思います。登場当初は、酷い顔をしていました。しかし、シンに惹かれることで女性らしさに目覚めていきます。冒頭から、明らかに進化していくムイの姿も、作品における魅力の大きい部分だと思います。本当は美人な女優なのに、こんな役回りをよく引き受けたものだと思います。数回に渡って、ビンタを受ける場面もありました。まさに身体を張った演技でしょう。そして、顔にハエがとまるほど、醜い顔である設定でした。ヒロインであるにもかかわらず、ムイの位置付けがあまりにも酷いように思えるのです。そして、最後には、スキンヘッド姿まで披露してくれました。きっと、CG技術により実現された姿だと思いますので、実際に頭髪を剃ることはしていませんが、演技に対するガッツは素晴らしいと思います。よくここまで、女性という面を捨てた演技、役回りができたものだと感心させられます。また、少林チームが絶望の淵に立たされた時に救世主となったのが、ムイの存在です。そして、「柔よく剛を制す」という言葉に合致する活躍をみせることで、チームを勝利に導きます。ムイというキャラクターの見せた意外性は、とても衝撃的でした。

CG技術ではないカンフー要素

実は、旋風脚においては、実際に繰り出されている技だそうです。もちろん、ボールはCG技術で合わせられているものですが、技のキレは素晴らしいものを感じられないでしょうか。CG技術を置いておいても、体術としての素晴らしさに感動できるレベルのものです。あの技を体得するまで、そして、あのレベルに到達するまで、どれだけ修行・訓練を重ねてこられたことでしょう。そういった観点で見てみても、映像の中で栄える一流の技だと思います。そして、頭の薄いキャラクター性を全面に押し出し、笑いをとっている姿が印象的です。だからこそ、その笑いのギャップとして、旋風脚の技のキレに驚かされるのです。

一番の見せ場

これを観た皆さんは、どこを見せ場だと感じられたのでしょうか。私の個人的な意見・感想で見せ場に思ったのは、シンの兄弟たちが覚醒する場面です。パンツを被らされ、屈辱を覚えた時、兄弟子たちの魂が帰ってきました。お経が流れ、時間が止まったかのような描写がされている場面です。分かりやすいくらい笑わせる狙いを強く感じられるポイントです。それぞれの兄弟子たちが、あり得ないポーズをとっています。ゴールポストに腕だけで掴まり、宙を浮くように、目を瞑って座禅している光景は、明らかにウケ狙いでしょう。しかし、笑うことも忘れるくらいのインパクトがある場面です。そして、前述したように、初めて旋風脚は披露された場面でもありました。そして、パンツを被ったまま、頭のみで逆立ちしているのも衝撃的な映像です。あの場面こそが、本編の中で最高潮を迎えるシーンであり、盛り上がるポイントのように思います。

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