誰でも楽しめる難しい話抜きのコメディの佳作
笑えるところ満載
おもしろかったですねえ。笑えるところが満載です。思い出し笑いもできるほどです。
特に大統領がニコラスに電話してくるところのニコラス・ケイジの慌てぶりが死ぬほど笑える名シーンです。ニコラス・ケイジ、シャーリー・マクレーンとも偉大な喜劇俳優だと思いました。この二人なら、少しばかりのストーリー土台があればお手の物という感じがします。二人とも、品があって、おしゃれで。
世にあるあくさんの陳腐なコメディのようにわざとらしさ、あざとさがかき消されています、二人のおかげですね。
脚本の発想、組立も大いに参考になります。
元大統領夫人の護衛する男達がいて、このおちゃめでわがままな未亡人の警護に周りの者が悪戦苦闘するわけですが、ワシントン本部に帰ろうにもこの夫人に阻止される主人公のニコラス・ケイジ。「なんで俺が元大統領夫人の警護なんかしなきゃいけないんだ」という嫌々感が、画面全体に滲んでいます。
そのうち婦人の誘拐事件が起きるという、「転」の展開を持ち込んで、緊迫感を作品にもたせます。事件はほどなく解決するのですが、この二人は友情を深めるという、まあ、言って見れば、これといったひねりもない物語です。
ニコラス・ケイジは大真面目な表情するだけで笑える
ニコラス・ケイジは本当にまじめに喜劇的シーンをやればやるほど、笑えます。大真面目な表情はまさに昔風にいう「とんま」「間抜け」な感じです。眉間にしわを寄せて、いかにも神経質そうに悩める表情が土台が悲劇の場合にはそこはかとない笑いを生み出します。本人はほとんど笑わないのに、それを見る者が笑ってしまうという、すごい才能です。
近年はまじめな、二枚目の役ばかりしているので、そのあたりが本当に残念ですね。
シャーリー・マクレイーンの上品でおちゃめな演技
シャーリー・マクレーンはいつまでたってもかわいくて、何をやっても上品で、許せて、いじわるで、おちゃめで、どんな作品で、彼女を初めて見たとしてもファンになってしまいます。その目の表情というか演技というかがなんとも愛おしいです。
この作品の欠点を言えば、誘拐の動機があまりにも不純なことぐらいでしょうか。婦人がヘリコプターで護送されるとき、主人公を人伝いに呼んでいくというシーンもいかにもアメリカ的な作りですが、なぜかとても感動的でもありました。
あんまり評判にならない映画だったけど、私は素晴らしい映画だと思いました。誰もが楽しめる、難しい話抜きのコメディ映画っていうのがいいですね。
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