テロと核爆弾の脅威に臆しないアメリカ
将来が有望なコナー
テロなどの襲撃にあった時、シークレットサービスに所属するボディガードが守るのはアメリカ大統領だけではないようです。大統領の存在が、自分たちの果たすべき目的の妨げとなっている場合は「暗殺」という方法をとるのでしょうが、今回のように大統領の権限を利用したい場合は、大統領の家族にまで危険が及ぶことがあるからです。大統領が死んでも決してテロは屈しないという人物の場合であれば、家族への危険度が増す可能性が高くなります。自分は望んで大統領になっているため、国のために死ぬことは想定内なのかもしれませんが、家族(特に子供)は死ぬかもしれないことを想定して、大統領の家族になっているわけではないため、国のために死んでくれというわけにはいかず、家族が人質に取られた場合は家族を優先するだろうと考えられるからです。
コナーはアッシャー大統領の息子ですが、幼いながらもそんな自分の立場を十分理解しているのか、ホワイトハウスの非常口・抜け道を熟知しています。テロの襲撃にあったときコナーの周りにボディガードはいなかったようですが、すぐに自分で危険だと判断し壁の後ろにある隠し通路に身を潜めていました。それは自分が殺されるかもしれないというよりかは、自分が人質になることで取引の材料に使われないようにという思いからだったでしょう。コナーのような子であれば、人質にとられたとき「自分のことは気にしないで」と言い出しそうですが、それがかえって父を苦しめることになるということを十分理解しているため、絶対に捕まらないということに徹したのでしょう。銃撃戦の中、騒がずに助けにきたマイクの指示に冷静に従っている姿に、その決意がうかがえます。
北朝鮮VSアメリカ合衆国
テロを仕掛けてきているのは北朝鮮のテロリストであるカンです。テロの目的は表向きには「日本海周辺にいる艦隊と在韓米軍の撤退」ですが、真の目的はアメリカを無核化することだったようです。この映画の前にも北朝鮮とアメリカの戦争を描いた作品がありますが、どちらもアメリカ映画で北朝鮮を侵略者として描いています。両国の関係を考えると実にシビアな内容で、「北朝鮮=悪者」というような構図は両国の外交に支障をきたすのではないかと少しハラハラしてしまいます。しかし、そこは難攻不落と言われているホワイトハウスをあっさり陥落させてしまう戦力と、方法はどうであれアメリカから核爆弾を全滅させる目的があったという点で、少し北朝鮮側の立場を思った内容となっているように思われます。
そうは言ってもやはりアメリカ映画です。最後は大統領のがんばりと、一人のシークレットサービスのエージェントによってテロからアメリカ合衆国を守り抜きます。コナーの人質を阻止したり、次世代兵器と言われていたハイドラを破壊したり、始動してしまった核爆弾の自爆を阻止したりと、たとえテロに襲われても「これだけ強いアメリカはテロには屈しない」と内外に知らしめているようにも思えました。
核爆弾とアメリカ合衆国
なにかと核爆弾を題材にした映画が多いアメリカですが、それはアメリカが核爆弾を保有していることで戦争の抑制・大きな爆発を要する事態が起こった時に対処できるためと考えているからではないでしょうか。その証として核爆弾は地球滅亡にかかわる事態に陥った時、アメリカが地球を救うための手段として登場します。そのため、アメリカの核爆弾を生命体の生存区域で爆発させる場合は、パンデミックを回避するためだけに使用し、その他戦争等で使用するといった映画は見受けられません。核戦争で地球が「死の星」と化してしまったという設定の映画は多数ありますが、これもあくまで世界大戦レベルの核戦争でアメリカの核爆弾が原因という設定ではありません。このことからもわかるように、核爆弾の脅威をきちんと認識し、使用するときは正しい使い方をする用意があるという考えを映画に反映させているのでしょう。
日本は核爆弾こそ保有はしていませんが、原子力発電所があり全く核を保有していないとも言えない状況です。核爆弾廃絶の運動を行っている反面、原子力発電所の建設を行っている日本も「正しい使用の仕方をしている」という姿勢のアメリカとなんらかわりはないのかもしれません。
それにしても驚くのは、アメリカの核爆弾の保有数です。ここではあくまでも映画の中での話ですが、実際はその半分もないということはないでしょう。映像に出ていたのはすでに配備された核爆弾で、実際には配備可能な核爆弾も多数保有されているようです。ここでは間違って発射された場合に自爆させるためのケルベロスコードといわれるものと、そのケルベロスコードを無効化するコードが存在するということで、これらの「核爆弾が誤発射されたときの対策もアメリカはきちんととっている」というアピールも感じられますが、やはり「アメリカが一番核爆弾を保有している国である」という印象が強く感じた映画でした。
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