愛を疑問視し、そして愛に還っていく映画 - 愛の渦の感想

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映画レビュー数 5,784件

愛の渦

3.383.38
映像
3.70
脚本
3.75
キャスト
4.13
音楽
3.25
演出
3.63
感想数
4
観た人
4

愛を疑問視し、そして愛に還っていく映画

4.54.5
映像
4.5
脚本
4.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

愛の希薄さ

映画全編で15分しか着衣シーンが無いこの映画。ただ男女がセックスをするという場面を映している。ここで、セックスとは愛の行為であるのかという疑問が生まれる。雄と雌の交尾、それは動物誰もが持っている子孫繁栄という本能。それに愛というものを求めるのは人間だけなのだ。愛というものの希薄さをこの映画はまざまざと見せつけている。ただセックスがした人間たちが集まる空間の異質さは、それが人間としての行為ではなく本能の、動物としての行為に準じ、それを求めているからこそなのだろう。行為自体は誰とでも、いつでも、できるもので、それに意味も価値も何も無い。それは人間として良いのか悪いのか、葛藤しながらも欲望に負けてその空間に集まる人間たちはどこか怯えているようでもあり開き直っているようでもある。愛など要らない、とふんぞりかえりながら、人間としての理性、その一線を越えてしまうことの恐怖も感じているのだろう。

人間の感情の機微

セックスという一般的には恥とされる行為を進んでしようと集まった人間たちの感情の動きがとてもしなやかで繊細に描かれている。初めは目を泳がせたり俯いたり、黙って「恥」という状況と感情に耐えていた人間たちが段々と本性を現していく様。その現し方もその人間の性質それぞれでとても興味深い。男も女も大胆になり、傲慢になり、遠慮がなくなり、そして人間の汚い感情をむき出しにしていく。動物的な本能は人間の理性を簡単に崩壊させて、他人をいとも容易く傷つける。そして、話し合いによってまた理性を取り戻していく。こんなにも様々な人間の感情の動きの機微を映す映画はなかなか無い。

愛に帰結する

愛とは何か、セックスとは何か、その先に愛はあるのかという事を問い詰め続けていくこの映画。セックスという至極動物的な本能をまざまざと見せつけ、そこに愛はあるのかとあざ笑うような描写をしていくこの映画は、しかし最後は愛に帰結するとわたしは感じている。初対面の女性に恋をした青年も、他人のセックスを商売にしながらも自身の子供が生まれた青年も、そして非日常のような快楽と本能に溺れながらもまた日常に戻っていく人間たちも、皆セックスの果てに愛を求めている。動物的な本能を求めながら、それでも本当に手に入れたいのは皆、愛なのである。それを求めるのは人間だけで、愛を得るために傷つき、笑い、泣き、生きている。人間とは愛である。そう感じさせてくれる映画である。

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他のレビュアーの感想・評価

麦ちゃん(≧∇≦)

『愛の渦』注目の若手女優、門脇麦ちゃんの濡れ場見たさに、どのへんまでやってくれているのか興味があり拝見いたしました。沢山登場人物出てきますが、私にとって一番考えたのは、麦ちゃん演じる女子大生の心情ですかね。見ていてラストに近づくに連れて、池松壮亮君演じる主人公ニートとこのままくっついて欲しい、連絡先ゲットした\(^o^)/やった!!二人がこのまま会えなくなるのは寂しい、せっかくあんなに体の相性よくて、他の人が相手のときお互い見つめ合って、心もつながって…定員さん、連絡先消去しろなんて言わないで!!と半ば胸が苦しくなりました。店員に詰められて、連絡先消去してこれっきりなのかと思ったのも束の間、女子大生の方からの連絡!!このシーンでは胸が踊りました。そっかハッピーエンドか良かった…。安心したわと思った瞬間、女子大生からの連絡先消してください発言…。えっ…。呆然としている私と主人公をよそに容赦ない...この感想を読む

4.04.0
  • はなむはなむ
  • 300view
  • 1274文字
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日本ではなかなか観られない密室愛憎劇だが、ちと力不足

エロ目的で観るべからず!「ららら、乱交パーティの映画だって!?」と期待すればするほどズッコケる映画であることは間違いない。解説文なんかを読むと「服を着ているシーンが数分しかない」みたいなことが書いてあり、青年歓喜待ったなしだが、それは単に「服を着ていない」だけであって、タオルで隠すところは隠しているのだ。男女の本質を見出すのはナンセンス序盤のもどかしい駆け引きは意外と面白く、「それ目的なんだからグイグイ行ってもいいよな?」「でも引かれたらいやだから誰かが切り出すのを待とう」といういかにも日本人的な駆け引きが展開される。欧米だったら既に2回戦が始まっているところだ。女友達と飲みに行って何となくそれっぽい空気になり、OKサインが出ていないかをくまなく観察する、また女性ならばOKサインを出しまくってるのに男が鈍感で気付かないといった経験は誰しもあると思うが、まさしくあの雰囲気をジリジリと垣間見せら...この感想を読む

3.03.0
  • 椿官九郎椿官九郎
  • 118view
  • 1074文字

ううーむ、

友人から誘いがあり、原作が演劇ということもあり観賞。演劇的な時間と空間を映像に落とし込みのは難しいんだなぁ、と特に密室内での限られた時間を描くには、映像編集がかかるとどうに想像しづらい。隣の部屋でお互い見ず知らずの人がセックスしている、というえもいえぬむずがゆさや、相手を値踏みしてどう交渉していくかのようなギラギラした下心のせめぎあいはもう少し感じたいところ。あの部屋のなかではセックスが義務となるという設定は、それゆえに起こるドラマの引き金となるので興味深いが肝心のセックスシーンでちょっと引いてしまう自分がいた。本来あまり抵抗なくセクシャルなシーンを観られるのだが、これに関してはあまりに色気がなく「セックスしたい」という「義務感」のような印象を感じた。どういった理由だったのかわからないのだが、声がうるさくて感情移入が難しい。それが意図なのならば思うツボにはまったのであろう。柄本時生演じ...この感想を読む

2.02.0
  • ホノホノホノホノ
  • 80view
  • 500文字

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