日本ではなかなか観られない密室愛憎劇だが、ちと力不足 - 愛の渦の感想

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愛の渦

3.383.38
映像
3.70
脚本
3.75
キャスト
4.13
音楽
3.25
演出
3.63
感想数
4
観た人
4

日本ではなかなか観られない密室愛憎劇だが、ちと力不足

3.03.0
映像
3.5
脚本
3.0
キャスト
4.5
音楽
3.0
演出
3.0

目次

エロ目的で観るべからず!

「ららら、乱交パーティの映画だって!?」と期待すればするほどズッコケる映画であることは間違いない。

解説文なんかを読むと「服を着ているシーンが数分しかない」みたいなことが書いてあり、青年歓喜待ったなしだが、それは単に「服を着ていない」だけであって、タオルで隠すところは隠しているのだ。

男女の本質を見出すのはナンセンス

序盤のもどかしい駆け引きは意外と面白く、「それ目的なんだからグイグイ行ってもいいよな?」「でも引かれたらいやだから誰かが切り出すのを待とう」といういかにも日本人的な駆け引きが展開される。欧米だったら既に2回戦が始まっているところだ。

女友達と飲みに行って何となくそれっぽい空気になり、OKサインが出ていないかをくまなく観察する、また女性ならばOKサインを出しまくってるのに男が鈍感で気付かないといった経験は誰しもあると思うが、まさしくあの雰囲気をジリジリと垣間見せられるのだから生々しい。徐々に場の空気が紫色に満ちていく過程が非常にリアル。世間話から始まり、徐々に話題が下ネタに移り、ヒエラルキーの頂点にいるような男女からおっぱじめていく。

紆余曲折あって全員が行為にいたった後は綿密な心理劇などあったもんじゃなく、放送禁止用語のオンパレードだ。しかしながら本作に関しては女優の裸を目的としても、また男女間の心理や本質を見出すにも中途半端。監督のやりたかったことと、結果的にやれたことの齟齬が大きいのではないだろうか。

キャスティングは「見事」の一言

キャスティングは素晴らしく、特に仮眠明けの賢者タイムにおいて、新井浩文と滝藤賢一が男の下ネタあるあるを淡々と語り合うシーンが最高。中村映里子演じるアンニュイ気味な保育士がそれに加わり、何だか修学旅行の夜のような居心地の良さを画面から感じる。

清楚風でありながら喘ぎ声が凄い、というギャップを持つ少女を演じた門脇麦も体を張った好演。本作以降、脱ぐシーンがやたらと多い気がするのは気のせいだろうか。

常連のギャルを演じた赤澤セリ(現赤澤ムック)は舞台での活動も多い演技派の女優で、この豹変ぶりに驚いた演劇ファンも多いことだろう。

この舞台の経営者を演じる田中哲司と窪塚洋介はさすがの安定ぶり。終盤には彼らのドラマも挿入されるのだから、すべての演者に見所があると言ってもいい。

そして何より、ラストで「どーせ池松クンと麦ちゃんがくっつくんだろう?」と予測させておきながらの破断には驚かされる。何という救いのないオチなんだろう。池松クンがストーカーにならないことを祈るばかりである。

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他のレビュアーの感想・評価

麦ちゃん(≧∇≦)

『愛の渦』注目の若手女優、門脇麦ちゃんの濡れ場見たさに、どのへんまでやってくれているのか興味があり拝見いたしました。沢山登場人物出てきますが、私にとって一番考えたのは、麦ちゃん演じる女子大生の心情ですかね。見ていてラストに近づくに連れて、池松壮亮君演じる主人公ニートとこのままくっついて欲しい、連絡先ゲットした\(^o^)/やった!!二人がこのまま会えなくなるのは寂しい、せっかくあんなに体の相性よくて、他の人が相手のときお互い見つめ合って、心もつながって…定員さん、連絡先消去しろなんて言わないで!!と半ば胸が苦しくなりました。店員に詰められて、連絡先消去してこれっきりなのかと思ったのも束の間、女子大生の方からの連絡!!このシーンでは胸が踊りました。そっかハッピーエンドか良かった…。安心したわと思った瞬間、女子大生からの連絡先消してください発言…。えっ…。呆然としている私と主人公をよそに容赦ない...この感想を読む

4.04.0
  • はなむはなむ
  • 299view
  • 1274文字
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愛を疑問視し、そして愛に還っていく映画

愛の希薄さ映画全編で15分しか着衣シーンが無いこの映画。ただ男女がセックスをするという場面を映している。ここで、セックスとは愛の行為であるのかという疑問が生まれる。雄と雌の交尾、それは動物誰もが持っている子孫繁栄という本能。それに愛というものを求めるのは人間だけなのだ。愛というものの希薄さをこの映画はまざまざと見せつけている。ただセックスがした人間たちが集まる空間の異質さは、それが人間としての行為ではなく本能の、動物としての行為に準じ、それを求めているからこそなのだろう。行為自体は誰とでも、いつでも、できるもので、それに意味も価値も何も無い。それは人間として良いのか悪いのか、葛藤しながらも欲望に負けてその空間に集まる人間たちはどこか怯えているようでもあり開き直っているようでもある。愛など要らない、とふんぞりかえりながら、人間としての理性、その一線を越えてしまうことの恐怖も感じているのだろ...この感想を読む

4.54.5
  • 零
  • 140view
  • 1014文字

ううーむ、

友人から誘いがあり、原作が演劇ということもあり観賞。演劇的な時間と空間を映像に落とし込みのは難しいんだなぁ、と特に密室内での限られた時間を描くには、映像編集がかかるとどうに想像しづらい。隣の部屋でお互い見ず知らずの人がセックスしている、というえもいえぬむずがゆさや、相手を値踏みしてどう交渉していくかのようなギラギラした下心のせめぎあいはもう少し感じたいところ。あの部屋のなかではセックスが義務となるという設定は、それゆえに起こるドラマの引き金となるので興味深いが肝心のセックスシーンでちょっと引いてしまう自分がいた。本来あまり抵抗なくセクシャルなシーンを観られるのだが、これに関してはあまりに色気がなく「セックスしたい」という「義務感」のような印象を感じた。どういった理由だったのかわからないのだが、声がうるさくて感情移入が難しい。それが意図なのならば思うツボにはまったのであろう。柄本時生演じ...この感想を読む

2.02.0
  • ホノホノホノホノ
  • 79view
  • 500文字

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