まんがで読むと百人一首もわかる
まんがの功績は大きい
百人一首をわかりたくて、このところ、3冊本を読んだところ、この本が一番内容を理解できた。読んだ順に「原色小倉百人一首」、「眠れないほど面白い百人一首」、この本です。3冊目にして、やっと、内容がわかってきただけだともいえますが、わかった感があるのは、やはりまんがで読んだということが大きい。百人一首の読み方としては、第一に競技を行うために暗記する、第二に脳トレとして暗記する、第三に歌を楽しむ、勉強のしなおしといったことだと思います。この本は小学館でもあるし、小中学生向けに百人一首のとっかかりとして、発行されたものでしょう。これが百人一首を勉強しなおしたい大人向けにとてもよかったことは驚きでした。百人一首の本は、研究者が執筆しているせいか、難しくなりがちなところを、注釈は最小限過ぎるくらいでおさめたのが功を奏したものです。解説は一切ないに等しく、読み物としてまとまっているのも、よかった。
まんが的脚色の成功
歌をまんがにするための脚色がすごい、「えっ、こう読むんだ」と思うところも多かった。そこがまんがのよい点で、あいまいさを排除して、現実的な場面をダイレクトに説明してくれるから、読み手の感情に響くので、やっとわかるのです。自分とは解釈が違うと突っ込めるところもよい、「わたしはこう読むけどな」と思えるのがとても気持ちよいのです。そんなこと普通、古文ではできないから、気分がすごくよくなってしまう。これは脚色の成功だと思う。
百人一首は音で聴くもの
1冊目に読んだ「原色小倉百人一首」はCDブックなので、よく聴いていた。うろ覚えであっても音として印象のある歌のほうが、まんがで読んでも断然面白く感じる、音だけでなじんだものが、「ああこういうことだったんだ」と腑に落ちる感覚があった。要は解説本は聴いていたけど、読んでいなかったのだろう、実際素人が今更、掛詞や枕詞の説明をえんえんと読むのは、眠くなるだけなのであった。そして、百人一首の本領は読み上げられた歌を聴くことにあると実感した。聴いたものをまんがで補足したから、やっと心に入ってきたという感覚である。言葉とはやはり聴くものなのだと実感した。
競技かるたの説明がコンパクト過ぎです
「競技かるたへの道」というまんがが70ページ程ついています。受験の失敗で落ち込んだ高校生がかるたで元気になるという話です。予定調和でよい話だけど、新幹線なみのスピードで競技かるたの解説がされてます、特急くらいのスピードでもよかったのではと突っ込みたくなります。競技かるたがこんな複雑なルールだとは知らなかったので、そこは興味深かったけど、真面目に説明しては退屈になるから避けたという感じで、解説としては努力不足でしょう。
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