「幸せ」とは何なのでしょう!?
対称的な双子
アニメ本編における主人公の存在が曖昧な作品だと感じました。物語の冒頭では、イルが主人公なのだと思っていました。しかし、イルが主人公だったのは束の間だったように思います。
アニメ本編における主人公は、双子の片割れであるジムサの存在なのだと思います。
その理由は、明確なところでは、アニメ本編におけるジムサ目線で描かれている時間が長いことです。また、イル目線の場面、ジムサ目線の場面で、交互にアニメ本編が構成されています。どちらもアニメ本編における主人公だと考えて良いのでしょう。しかし、生身の人間であることの存在感を強く打ち出されています。イルは機械であるのに、ジムサは生身でいることに意義を強く感じている存在です。
そのことから、正式に主人公の存在として据えられているのはジムサであると考えてよいのではないでしょうか。
双子であるジムサの片割れとして登場したアフルは、可哀相な生い立ちの人物だといえます。アニメ本編を振り返ったとき、アフルを主人公に据えた物語の方が、面白かったのではないでしょうか。観る側として、ジムサとアフルのどちらに感情移入してしまうか考えてみると、アフルの存在の方が強い気がします。
それは、母親とずっと過ごすことができたジムサは、アフルと比べ、恵まれた環境だったのは明らかです。悲劇な要素は、ジムサの場合、どうしても弱くなってしまうのが否めないと思うのです。
この部分は、物語展開を見誤ったように感じられます。
諸悪の根源
実は機械たちに対抗するレジスタンス組織、リーダー格のクフが諸悪の根源でした。
しかし、クフという人物の発言や行動には、首を傾げてしまうものが多かったように思います。
自分自身も機械でありながら、ジムサに対して、機械の存在を強く否定した態度をみせています。しかし、イルに対しては傷ついた身体を修復して、共に戦おうとに誘っている場面がありました。
クフという存在は、観ていて支離滅裂な考え方や行動をしていることが伺えます。
自分自身の存在が機械なのに機械の存在を否定していることは、自己否定なのではないでしょうか。そして、ジムサとイルに対して、機械の存在に対する態度を変えていることにも不自然さを感じさせます。
機械に対して、戦おうと立ち上がっていることが不自然といえるのかもしれません。
すでに両者の戦力には圧倒的な差があり、人間サイドが勝ちを収めることが困難な状況だったのは間違いないように思うのです。
あの状況から、とるべき行動は戦うことではないように思います。
むしろ、星から脱出して、生き延びることを考えるべきではないでしょうか。
勝ち目がないのに、戦おうとする姿勢は、自滅する道以外の何物でもないように感じられます。こういったことから、クフがマザーマシンを壊すことにこだわっていたことが伺えるように思います。クフは機械勢に勝つことではなく、マザーマシンを壊すことに固執していたのだと思います。
そして、言葉巧みに生身の人間たちを巻き込んだのだと考えられます。
しかし、ジムサが出会ったロボットたちの存在を頑な拒んだ理由は、明確ではないように思います。
物語そのものに、矛盾を生じている場面なのではないでしょうか。
幸せについての定義
「幸せ」「意味」、二つの言葉をgoogle検索してみると、「運がよいこと。幸福。幸運。」と表示されます。
このアニメ本編においては、「運がよいこと。幸運。」という「運」の要素にメッセージではないと考えられます。ジムサとアフルにおいては、それぞれの運命的な要素だと捉えられますが、アニメ本編においては、物語展開以上の要素であることは感じられません。
「幸福」という言葉に注目すべきではないでしょうか。
改めて、「幸福」「意味」の二つの言葉をgoogle検索してみると、「恵まれた状態にあって、満足に楽しく感ずること。しあわせ。」と表示されました。
この内容を、アニメ本編に照らし合わせてみると、ジムサと母親である王妃リリアの存在が思い浮かびます。
ジムサとリリアの考える幸福のかたちの違いが、アニメ本編では強調されていたように感じられます。二人が親子関係であったことから、強く印象に残る場面だったように思います。母親を守りたかったジムサと、旦那さまや兄さまたちと過ごせる環境を選んだリリアは、求める幸福のかたちが違いました。
身内や愛する存在に対する想いは同じでも、違う幸福を選んでいる展開が、アニメ本編そのものの深みなのだと思います。
また、観る側にどちらの幸せのかたちを求めるのか、問われているようにも感じられます。アニメ本編には、「幸福」のあるべき姿について言及はされていません。しかし、両極端な幸福のどちらが良いのか、考えさせる終わり方だったように思います。
私が同じ立場だったら、きっと、リリアと同じようにマザーマシンを受け入れる選択をしたでしょう。マザーマシンにおける幸福は、google検索により表示された「幸福」そのものだったように思えます。
管理されるのが嫌で自分自身の力で人生を全うするのか、安易に目の前の「幸福」を求めてしまうのか、とても悩まされます。
それ自体が、「アンドロメダ・ストーリー」に込められたメッセージ性なのではないでしょうか。
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