いよいよ締め括られる物語 - ONE 〜輝く季節へ〜 第4巻 桜の章 瑞佳・繭の感想

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ONE 〜輝く季節へ〜 第4巻 桜の章 瑞佳・繭

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いよいよ締め括られる物語

3.83.8
映像
5.0
ストーリー
1.0
キャラクター
3.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

作品タイトルから伺える意思表示

なんとなく観てしまうと気付かないことですが、作品タイトルに明確に意思表示がされていました。

私自身も「ONE~輝く季節へ~第4巻 桜の章 瑞佳・繭」のアニメ本編を観始めて、ようやく気付きました。観たことのある登場人物がいることに、すぐ気付くことができました。この「ONE~輝く季節へ~第4巻 桜の章 瑞佳・繭」のメインキャラクターである長森 瑞佳(ながもり みずか)は二度目の登場なのです。作品タイトルでも分かるように、「ONE~輝く季節へ~第2巻 風の章 留美・瑞佳」でも登場していました。

気付きづらくする為、意図的に順番を入れ替えて表記されています。

第2巻では「留美・瑞佳」と表記されているのに、第4巻では「瑞佳・繭」とキャラクター表記の順番が入れ替わっています。

観始めた段階では、キャラクターに思い入れはありません。キャラクターの名前や個性、設定を覚えていく段階です。名前の順番が入れ替わっているだけで、同じ人物が居ることに気付かないのです。

たったこれだけのことですが、これまで気付かなかった自分自身に、制作スタッフの些細な仕掛けに、「してやられた」感があります。こんなに分かりやすい形で意思表示されていたことに気付きませんでした。

インターネット上のフリー百科事典「ウィキペディア」を拝見すると、コンテンツ起源である恋愛シュミレーションゲームの登場人物が記載されています。そして、起源であるゲームに存在するキャラクターが、OVA作品には登場していないことも伺えます。OVA本編には登場することも許されなかったキャラクターたちがいるのです。

しかし、瑞佳は二回目の登場であり、作品タイトルに二度も表記されている、スポットが強く当てられた存在なのです。

この圧倒的な差で、物語の終わり方も容易に予想することが可能だったのです。

そして、それを裏切らない終わり方がされていました。作品タイトルという分かりやすい箇所に、分かりやすい意思表示がされていたことに気付けなかった自分自身が恥ずかしくなります。

最終巻にして初登場の主人公

これまで回想シーンのみに登場しており、現実世界の人物として登場していなかった折原 浩平(おりはら こうへい)が初登場します。

ここまで引っ張る展開のアニメ作品も珍しいのではないでしょうか。率直な感想としては、「どれだけ引き籠りな主人公なんだ」と思えてしまいます。そして、美味しいところだけをさらっていく主人公に映ってしまいます。

ハッキリ言って、とてもズルい主人公だと思います。

そして、満を持して登場したにもかかわらず、強調する演出においても特になく、普通に登場しているのが笑えてしまいます。

「永遠の世界」の存在を強調して、派手に登場場面を演出することもできたと思うのです。あたかも、最初からずっと居ました、と言わんばかりの表情で登場していることに驚いてしまうものがありました。

主人公の存在意義

前項でも述べた主人公の登場場面から考えられることは、主人公の存在を重要視していなかったのでしょう。

スポットを当てているのは、あくまで女性キャラクターであり、それぞれの個性を打ち出したコンテンツなのだと思います。曖昧な表現がされていた「永遠の世界」においても、展開を面白くするための調味料にしか過ぎなかったのだと思います。

主人公である浩平と、ヒロインの瑞佳が特に障害もなく、結ばれてしまっては物語として面白みに欠け、物語自体が成立しないでしょう。あくまで、二人が乗り越える障害が「永遠の世界」という存在だったのだと思います。

それを表す事実として、作品タイトルにも表記されている椎名 繭(しいな まゆ)の扱いがあります。

繭は瑞佳に頼ったり、会話したりする場面がありました。しかし、繭は登場しなくても物語進行に一切影響はないと思われます。繭という存在は、瑞佳の引き立て役でもなく、主人公である浩平の恋愛対象でもありません。繭の登場する場面は全てカットされていても、アニメ本編における辻褄は合ってしまいます。

繭の存在は、あくまでゲスト登場として意義があるように思えます。

繭がこういった存在であることで、浩平と瑞佳の展開は強調され、結ばれるまでの経緯を分かりやすくしているように感じるのです。

最終巻だけの場面

これまでのシリーズにおいては、作品タイトルに表記された女性キャラクターに焦点が当てられていました。

そのことから、これまで登場していた女性キャラクターが別話で登場することがありませんでした。しかし、最終巻だけにおいては、法則性が崩れ、別話で描いた女性キャラクターが登場する場面が描かれていました。最終巻ということを意識して、制作スタッフが意図的に登場する場面を用意したのだと思います。

そして、それは意味していることがあるように感じられます。

これまでの話では、浩平は誰かと結ばれる結末に至ることはありませんでした。フェードアウトするような終わり方をしていました。しかし、最終巻においてのみ、浩平と瑞佳が結ばれました。そして、これまで登場していた女性キャラクターが最終巻にも登場した意味は、浩平は、他の誰でもなく瑞佳を選んだことを表現しているのだと思います。

起源は恋愛シュミレーションゲームなので、色んな女性キャラクターと結ばれる結末が用意されたマルチエンディング要素があるのだと思います。しかし、OVA本編においては、数多く存在している女性キャラクターの中で、浩平は瑞佳を選んだことを意味しているように感じました。

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