「私たち、何で生きてきたの?」カーシャのセリフ
移民星の選択にご注意を!
地球から遠く離れた移民星『ソロ星』。半年ぶりに第二陣の移民団が到着したその日。主人公のコスモ,カーシャ,ベスは,考古学者達が研究中の発掘中の遺跡で,異星人の遺跡だという巨大なトレーラー3台を見た。同じ頃,バッフクラン星総司令の娘カララは,異星人の存在に興味を持ち,母船から飛び出した。彼女を追ってきた兵士達は異星人と遭遇し,母星が攻撃されたらという危機感から発砲。物語はここから始まった。トレーラーは勝手に合体し、巨大なロボットになった。カララは呟く。「あれが、巨神?」。しかもこのロボットと,その後見つかった母船ソロシップには『イデ』なる意志が存在し,地球人の自由には動かせない。この辺がまず,普通の熱血ロボットアニメとは違いますね。それにしても,地球はよく調査もせず,移民星にしたものです。行き当たりばったりとは,このことです。
イデはより純粋な生き物に共鳴する
イデには『ゲージ』と呼ばれる力の強さを示すパネルがあり,コスモ達が危機だというのに,突然付いたり消えたりします。イデオンパワーは上がらず、ソロシップのノーマルエンジンは出力不足に陥って,見ている方がハラハラと言うよりイライラします。それまでのアニメは主人公が必殺技を叫びながらロケットだのビームを発射して、放送時間枠内で片が付きましたから。でもイデオンは思いっきり違います。最強なのはルゥという赤ちゃんが恐怖に泣き叫んだ時。パァっとゲージは輝き,パワーアップします。イデなる意志は,より純真な心に共鳴し,大人よりも子供を守ろうとするんです。もちろん主人公なんて蚊帳の外!。1歳児よりも16歳の少年の心って,純真じゃないのだろうか?と子供心に悩みました。
親兄弟を見捨てても、自分だけは助かりたいキャラを攻められない視聴者
戦争が激しくなり,受け入れてくれる移民星をも攻められて,行く場所のないソロ星移民団は,宇宙をさすらい続けます。段々と疲れがたまり,狂気に走る者も出てきます。それはメインクルーも例外ではなく,軍人も狂っていきました。死にたくない,地球に帰りたい。家族を見捨てても。そんなキャラを責められない自分に気が付いたのは,物語も半分来た頃です。テストだけでも憂鬱になる自分と,生死がかかっているソロシップのクルー達。悩みのレベルが違いすぎます。私達は,ただ見守ることしかできなかったのです。
日本一難解な劇場アニメ
おもちゃは売れず、物語が難解なイデオンは、残り4話を残して不自然なまま打ち切られました。その後テレビのダイジェストである『接触編』と,残り4話の『発動編』が劇場アニメとして封切られましたが,当時の映画雑誌『スクリーン』では『日本一難解なアニメ』とタイトルを付けられました。4時間座っていても,理解が難しいと。1年見ても「イデって結局自分が生き残りたいだけなのでは?」としか思いつかなかったくらいです。見たことのない人が4時間見たって,理解できないでしょう。イデオンは人間の『業』がテーマだった気がします。私もこの年になって見直してみて,子供の頃は自分勝手だと思っていたカララの父親の気持ちが,少し理解できるようになってきました。イデオンは,年齢と共に見る観点が変わってくる貴重なアニメだと思います。今,こんなアニメは作れないでしょう。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)