「私たち、何で生きてきたの?」カーシャのセリフ - 伝説巨神イデオンの感想

理解が深まるアニメレビューサイト

アニメレビュー数 2,474件

「私たち、何で生きてきたの?」カーシャのセリフ

5.05.0
映像
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

移民星の選択にご注意を!

地球から遠く離れた移民星『ソロ星』。半年ぶりに第二陣の移民団が到着したその日。主人公のコスモ,カーシャ,ベスは,考古学者達が研究中の発掘中の遺跡で,異星人の遺跡だという巨大なトレーラー3台を見た。同じ頃,バッフクラン星総司令の娘カララは,異星人の存在に興味を持ち,母船から飛び出した。彼女を追ってきた兵士達は異星人と遭遇し,母星が攻撃されたらという危機感から発砲。物語はここから始まった。トレーラーは勝手に合体し、巨大なロボットになった。カララは呟く。「あれが、巨神?」。しかもこのロボットと,その後見つかった母船ソロシップには『イデ』なる意志が存在し,地球人の自由には動かせない。この辺がまず,普通の熱血ロボットアニメとは違いますね。それにしても,地球はよく調査もせず,移民星にしたものです。行き当たりばったりとは,このことです。

イデはより純粋な生き物に共鳴する

イデには『ゲージ』と呼ばれる力の強さを示すパネルがあり,コスモ達が危機だというのに,突然付いたり消えたりします。イデオンパワーは上がらず、ソロシップのノーマルエンジンは出力不足に陥って,見ている方がハラハラと言うよりイライラします。それまでのアニメは主人公が必殺技を叫びながらロケットだのビームを発射して、放送時間枠内で片が付きましたから。でもイデオンは思いっきり違います。最強なのはルゥという赤ちゃんが恐怖に泣き叫んだ時。パァっとゲージは輝き,パワーアップします。イデなる意志は,より純真な心に共鳴し,大人よりも子供を守ろうとするんです。もちろん主人公なんて蚊帳の外!。1歳児よりも16歳の少年の心って,純真じゃないのだろうか?と子供心に悩みました。

親兄弟を見捨てても、自分だけは助かりたいキャラを攻められない視聴者

戦争が激しくなり,受け入れてくれる移民星をも攻められて,行く場所のないソロ星移民団は,宇宙をさすらい続けます。段々と疲れがたまり,狂気に走る者も出てきます。それはメインクルーも例外ではなく,軍人も狂っていきました。死にたくない,地球に帰りたい。家族を見捨てても。そんなキャラを責められない自分に気が付いたのは,物語も半分来た頃です。テストだけでも憂鬱になる自分と,生死がかかっているソロシップのクルー達。悩みのレベルが違いすぎます。私達は,ただ見守ることしかできなかったのです。

日本一難解な劇場アニメ

おもちゃは売れず、物語が難解なイデオンは、残り4話を残して不自然なまま打ち切られました。その後テレビのダイジェストである『接触編』と,残り4話の『発動編』が劇場アニメとして封切られましたが,当時の映画雑誌『スクリーン』では『日本一難解なアニメ』とタイトルを付けられました。4時間座っていても,理解が難しいと。1年見ても「イデって結局自分が生き残りたいだけなのでは?」としか思いつかなかったくらいです。見たことのない人が4時間見たって,理解できないでしょう。イデオンは人間の『業』がテーマだった気がします。私もこの年になって見直してみて,子供の頃は自分勝手だと思っていたカララの父親の気持ちが,少し理解できるようになってきました。イデオンは,年齢と共に見る観点が変わってくる貴重なアニメだと思います。今,こんなアニメは作れないでしょう。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

他のレビュアーの感想・評価

最強のSF性、泥臭い人間ドラマ、富野SFの到達点!

ガンダムに並ぶエポックメイキング 後続アニメに大きな影響を与えた本作の前年に制作した機動戦士ガンダムが富野由悠季の代表作であることは疑い得ない。だが彼のファンには本作伝説巨人イデオンを頂点とする人が多いのも事実である。ガンダムは人類の革新を描き、現在まで続く一つのジャンルとなったが、それはガンプラをはじめとするビジネス上の力も大きい。ガンプラが売れるからスポンサーは新作を要求する。お話ありきでシリーズ化しているのではなく、ビジネスありきなのだ。イデオンは違う。悲しいほどにイデオンメカの玩具は売れていない。それだけに本作の評価は作品そのものにあると言っても良い、と私は判断する。そして作り上げられた本作に、後進のクリエイターたちは大きく影響を受けた。ガンダムUCの福井晴敏、エヴァの庵野秀明、まどか☆マギカの新房昭之ら、後のアニメ界を背負って立つ人々がそれだ。ここでは本作で語られた人間性、S...この感想を読む

4.54.5
  • ゆっきーmk-2ゆっきーmk-2
  • 345view
  • 3228文字
PICKUP

こんな結末なんぞ俺は認めない!たとえ、それがイデの力によろうともな!「伝説巨神イデオン」

悲劇のファーストコンタクトまさに、悲劇のファーストコンタクトであった・・・。 1980年にサンライズ(当時「日本サンライズ」)がリリースしたロボット戦闘物アニメ「伝説巨神イデオン」は、地球人と異星人との悲劇のファーストコンタクトからその行く末までを描いた作品だった。この物語の中核となる二つの星の種族の出会いは有益なものとはならず、不本意でありながら相手の命を奪う形で始まり、どんどんあまりにも多くの人の命を奪う戦いへと膨れていく。「伝説巨神イデオン」はそんな悲劇のファーストコンタクト物であるのはそうなんだけれども、おいらが今ここで言う悲劇のファーストコンタクトとは、おいらとこの作品との出会いの事なんです。・・・私事で恐縮なんですが、もしよかったら、おいらのこれから書く事に付き合ってやってくれると嬉しいです。実はおいらが放送当時にリアルにこの作品を観たのは、第二話からなのです。そして観れたのも...この感想を読む

4.84.8
  • のののの
  • 338view
  • 4969文字

関連するタグ

伝説巨神イデオンを観た人はこんなアニメも観ています

伝説巨神イデオンが好きな人におすすめのアニメ

ページの先頭へ