マヤの文明!?(笑
数多くのオカルトネタ
オカルトネタ一つに焦点を当てたアニメ作品は数多くあります。そして、二つ三つのオカルトネタを組み合わせて構成しているアニメ作品も多いのではないでしょうか。
しかし、客観的な視点で、これほど多くのオカルトネタを扱ったアニメ作品は手塚治虫アニメ以外になかなか見受けられません。手塚治虫の「三つ目がとおる」が、最も近いところに位置したアニメ作品なのではないでしょうか。オカルトネタを全面に押し出した内容で、学園ドラマで構成されているところは似ているように思えます。しかし、「三つ目がとおる」よりも客観的にオカルトネタを扱っており、新鮮に感じたアニメ作品でした。
また、作品タイトルにおいても、アニメ本編を少しでも観れば、そのまま表されていることが伺えるのではないでしょうか。捻りもなく、直球ストレート勝負のタイトル命名に清々しさを感じさせるものがあります。
扱われたネタは、超能力やUFO、ミステリーサークル、幽体離脱、幽霊、予言、魔術など数多くありました。オカルトと作品タイトルで言い切っているだけあって、それぞれの現象には原因があり、その原因を解説されていることが印象的です。超常現象ではなく、オカルトネタとして扱われていた印象が強いです。
マヤの性格について
「世紀末オカルト学院」主人公のマヤは、物語冒頭に登場した際、不機嫌オーラを全面に出している印象が強かったです。人との関わり合いが苦手なタイプで、典型的なお嬢様として描かれていたのではないでしょうか。
ただ、マヤの性格が少しずつ明らかになってくることで、当初のイメージと違う部分がでてきました。そして、マヤというキャラクターに好感が持てるように、物語展開されていたように感じます。学園長という立場から、生徒たちとは一線を引いて、仲良くすることはないと想像させるように仕向けていたと思うのです。意図的に、マヤの性格を悪く描かれていたように思います。
しかし、幼馴染の存在は、マヤと打ち解け仲良くしている様子を描くことで、マヤが不機嫌なだけのキャラクターではないことを後出ししているように映ります。後出しでイメージを良くしていくことで、観る側はマヤに対して、好感を持てるように仕向けていることが伺えます。そして、観る側をマヤというキャラクターに惹きつけることで、「世紀末オカルト学院」というアニメ作品自体に引き付けようとする意図が見受けられるような気がします。
また、物語中盤からマヤの性格を少しずつ明らかにしていくことから、マヤ自信の性格を変化させることにシフトさせているように思えます。内田 文明(うちだ ふみあき)に対しての気持ちが好意に変わってきたことが、その表れではないでしょうか。そして、父親の手帳の存在も大きかったように思います。父親の真意に気付き、心境の変化が描かれています。
マヤがツンケンしている度合は、物語の終わりに近づくほどに弱くなっているように思えます。
なぜ文明がモテるのか!?
「世紀末オカルト学院」もう一人の主人公である文明は、マヤと違い、物語の中で変化をみせなかったキャラクターだと思います。
臆病な性格が全面に押し出され、自立した行動が苦手のようで周囲の環境に流されやすいキャラクターでした。優しい一面はあるものの、約束事を守ることもできない残念な人物像が強調されていました。
しかし、こんな人物像が何故かモテてしまっている状況に違和感がありました。ダメ人間に対して、母性本能が働く女性心理として考えれば飲み込める部分はあります。しかし、納得はいかない物語展開だったように思います。
ただ、アニメ本編の中で変わらないダメキャラだった文明が、物語の最後で見せた心意気は感動させるものがありました。ずっと印象づけられていたダメさ加減と、地球を救うために体を張った覚悟のギャップを上手く演出されていたと思います。きっと最後の場面を美しく印象的に演出する為、意図的に文明をダメキャラにしていたのでしょう。
突飛する物語展開
12話と13話で、急にオカルト要素に変化がみられました。オカルト要素だった魔術が具現化され、白魔法と黒魔法との戦いが描かれており、急に違うアニメになってしまったような印象すら抱かせるものです。
その点においては、残念な展開だったように思います。
魔術・魔法というものを持ち出すと、何でもあり、という意味合いが強くなってしまいます。できれば、ノストラダムスの鍵の正体を究明していき、理論的にオカルト要素やカラクリを暴く結末にした方が、これまでの作品イメージを壊さなかったと思います。魔術・魔法の要素が強すぎて、世界観そのものを壊してしまっているように思います。魔法・魔術の要素を打ち出すのなら、もっと早い段階で布石を出しておくべきだったのではでしょうか。
文明がみせる覚悟は印象的でドラマチックだっただけに、魔法・魔術の部分だけが浮いてしまっているように感じます。最後の部分を魔法・魔術を用いずに上手くまとめられていれば、もっと良い作品に仕上がったと思えてなりません。
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