ストーリーを無視しても歌で楽しめる!
元気がでるミュージカル映画
学園内での出来事をアップテンポなリズムの歌で元気よく描いている作品です。特に、歌はどの歌もとても魅力的で、一つ一つの歌に違った個性が感じられます。また、歌の挿入される部分も練られており、登場人物の感情と歌と、踊りがピッタリとマッチしているので、あっという間に映画の世界に引き込まれてしまうでしょう。
私のお気に入りの歌は「思い出のサマー・ナイツ」です。オリビア・ニュートン・ジョンとジョン・トラボルタの歌に混じって、学園のコーラスが入るのですが、出演者のエネルギーが、見ている画面から溢れでてきます。「ウィ・ゴー・トゥギャザー」や「グリースト・ライトニン」も歌と映像、踊りで見ている人を惹きつけ、元気を与えてくれますね。「グリース」のアルバムがアルバムチャート1位の理由がわかります。
内容はたわいのない出来事
歌や踊りなど、エンターティーメント性はある「グリース」ですが、話の内容はとてもたわいのない出来事なので、ここに期待を持って見ない方が良いでしょう。高校生の誰もが持つ悩み、恋愛、友達、酒、タバコ、おしゃれなど、極浅い悩みが並べられているだけです。人物に関しても、上っ面の感情しか描いておらず、人間の奥深さとは無縁の作品だと思います。
特に気になったのが、登場人物の心の幼さです。高校生なのですが、まるで小学生のような幼さを感じさせます。オリビアとの再会を喜んでいるトラボルタなのに、それを隠す台詞や行動が、あまりにもお粗末だと感じました。幼さを表現すると同時に、段々と大人になってくる成長ぶりを描ければ、もっと奥の深い作品になったのではないかと思います。
注目はオリビアとトラボルタ
「グリース」の中で、欠かせない存在だったのが、オリビア・ニュートン・ジョンとジョン・トラボルタの共演です。いくら歌が良くて、爽快な物語だとしても、この2人がいなければこの作品は大成功を納める事はできなかったと思います。特にオリビアは、歌手として既に人気があり有名でしたが、この映画に出演することで、殻を破ってくれたような気がします。清純派のイメージは、まさしくこの映画の物語のように変えられたのです。そして、驚くのがオリビア・ニュートン・ジョンの年齢です。高校生の役柄を可憐に演じてしまうオリビアですが、この当時の彼女の年齢は30才!驚くべき若さです。一方のジョン・トラボルタは演技的な上手さはあまり感じられませんでした。ただし、彼の甘いマスクがそれをカバーしているのでしょう。彼の持っている優しげな目元は、忘れられない存在感を感じさせてくれますね。
出演者の歌声がとっても魅力的
オリビア・ニュートン・ジョンの澄んだ歌声も素敵ですが、出ているキャストの声も若々しく、とてもキュートな声をしていますので、ぜひともチェックしてもらいたい項目です。私が一押しするのは、オリビアの最初の友達となった、美容師を目指しているフレンチーの声。彼女がソロで歌っている部分はありませんが「思い出のサマー・ナイツ」のバックコーラスでは、とりわけキュートな歌声がいつまでも耳に残ります。英語の発音と彼女の声の可愛らしさをぜひとも堪能してみてください。
コインを拾って気絶って?
物語の後半部分で、グループの対立からケニッキーは、相手のグループと車対決する事になります。子供のケンカ的なありきたりな展開なのですが、ここでケニッキーは落としたコインを拾おうとして、気絶してしまうのです。こんなシュチエーションって、ありなのでしょうか?お笑いのような軽い感覚で、競争相手を変えてしまう場面には、思わず苦笑してしまいました。もしかして、ここは笑うべきところだったのかもしれませんね。コインを拾おうとして、車のドアにぶつかるなんて、コントのようです。
ラストが爽快
「グリース」のラストの場面は、卒業イベント。アメリカでは、日本では考えられない遊園地のようなイベントを行うんだなと思いました。その中で、注目したいのが真面目だったオリビアこと、サンディがセクシーな装いに大変身を遂げていることです。おかっぱだった髪型はクルクルパーマになり、肩を出したセクシーな洋服とヒールの高い靴が、すっかりと彼女を変えてしまいました。仕草が面白かったところがあるのでチェックしてみた下さい。サンディの吸っていたタバコを、友人が捨てろと目でアドバイスする場面です。ちょっとした小さな仕草や動作は、見逃してしまいますが、この小さな動きから、登場人物達の本当の気持ちが汲み取れます。
今の時代のミュージカル映画とは?
最近では「グリース」のような、歌って踊って楽しめるミュージカル映画は少なくなっているように思えます。特にグリースの時代背景となっている1960年代の女の子の装いは、踊るために作られているような、円形スカートで、くるりと回るとスカートがひるがえり、とても魅力的でした。大人も楽しめる作品、アルバムもヒットチャートのようなミュージカル映画は、今や貴重な作品だと思います。
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