夏が近づく度に、読みたくなる漫画
かなり理想的な少年時代。・・・ただ一つを除いては。
秘密基地を作って、日が暮れるまで遊んだ少年時代。そんな日がいつまでも続けばいいな。って思うじゃん?でも・・・でも、それで大切な友達が死んじゃうなんてことがあったら、そんな少年時代は記憶から抹消したいと思わない?
そう、この「超平和バスターズ」っていう秘密基地グループのメンバーは、その中の一人の女の子が遊んでいる最中に亡くなっちゃったんだよ。誰のせいでもないけれど、皆自分のせいで亡くなってしまったと思っている。
そんな平和バスターズのリーダーも、時は流れて高校生(ただし不登校)。初夏の昼下がり、毎日ゲームをして時間を潰しているような生活が一変した。亡くなったメンバーが幽霊となって現れたからだ。
幽霊が現れた理由は、お願いを叶えて欲しいから。
「お願いを叶えて欲しいから現れた」なのに、肝心な「何を叶えて欲しいのか」が分からない。ちょっと抜けたところのある幽霊だが、どういうわけかリーダーにしか見ることができないようだ。たまたま元平和バスターズのメンバーと街で会うことがあり、俺には幽霊が見えると言っても「お前まだそんなこと言ってんのかよ・・・」と呆れられる始末。
しかし秘密基地で夜にバーベキューをメンバー全員揃って実行するところで奇跡を見る。持ってきた花火に火がついて、空中に∞のマークが現れた。この出来事がきっかけで、半信半疑(ほとんど信じていない)仲間も信用するようになる。
少年時代だった当時を思い出しながら「ゲームの入手難易度の高いモンスターをゲットする」「大規模な打ち上げ花火を作る」などをこなしてきたが、どれも違う。一体いつまで幽霊はいるのか、願いが叶えば消えてしまうのか。納得のいくように、せめてあの頃の償いができるように一同が一致団結して願いを叶えて頑張っていた。
クライマックスで絶対に泣かない自信がない!!
皆で資金を集めて打ち上げ花火を作り、打ち上げにも成功したのに幽霊は消えない。消えて欲しくない感情と、これがお願いではないのかと言う残念感が入り混じるように、僕には感じられた。
実はこの幽霊の本当のお願いは「リーダーが泣いたところを見る」のが目的だった。もう一度、あの事故のあった日を再現する場面で、リーダーは初めて涙を見せる。その時願いがついにかなった。
消えてしまうまでの残されたわずかな時間に、幽霊は最後の力を振り絞って皆にお別れの手紙を書く。リーダーは幽霊が見当たらないと探し回る。幽霊を見ることのできない他のメンバーも一緒になって。それだけ皆、仲間思いなんだろうな。
一人が木の根元に手紙があるのを見つける。一人一人に宛てられた手紙。少年時代の筆跡で、それでも残された時間で書いた簡潔な手紙。
幽霊は最後、皆の前に現れ、こう告げる。「見つかっちゃった・・・」
夏が来るたびに読み返すこの漫画。ZONEのsecret base〜君がくれたもの〜を聴きながら読むと、もう涙が止まらない。少年時代は永遠に不滅だ。
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