不思議な世界観が漂っています~ - センコロールの感想

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センコロール

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映像
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ストーリー
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キャラクター
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声優
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音楽
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不思議な世界観が漂っています~

3.63.6
映像
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ストーリー
4.0
キャラクター
3.0
声優
4.0
音楽
4.0

目次

作品タイトルについて

謎の生き物、「センコ」という名前のようですが、その名前が作品タイトルに入っています。

「ロール」という言葉に込められて意味が分からなかったのですが、これは「ロール」という単語で捉えてしまうと理解できないままに終わってしまいます。

作品タイトルを俯瞰して、全体的な視点で考えてみる必要があります。「センコロール」という言葉で、想像する日常用語を思い浮かべると「コントロール」という言葉を思い付きました。アニメ本編の中でも、「センコ」という生き物や、他の不思議な生き物において、指示を出すときに「コントロール」という言葉が用いられていました。

その「コントロール」という言葉を土台に、「センコ」という主人公と共に行動する生き物の名前を合わせた造語であるのだと考えられます。

作品タイトルだけに注目すると、どんなアニメ作品なのか、全く想像できません。しかし、アニメ本編を観ることで、振り返って考えてみると理解できます。

 

短編アニメという位置付け

「センコロール」という作品は、30分ほどの短編アニメです。マンガを例にするなら、少年週刊誌で見かける読み切りマンガのような位置付けと考えることができます。

圧倒的な短さから壮大な物語性を持たせることには、時間的に無理があります。限られた時間に対して、色々な要素を詰め込むのか、潔く簡素にまとめるのか、方向性を明確に感じ取ることができます。

この「センコロール」というアニメ作品においては、潔く簡素にまとめられた方向性で制作されていると思います。

それは、登場人物の数で明確に受け取ることができるのではないでしょうか。アニメ本編での主要人物は人間3名、謎の生き物3匹という構成で成り立っています。謎の生き物については、「センコ」以外はキャラクター性を強く打ち出していないことから、実質は4名であると捉えられます。創作物において、登場人物の数、という観点でいえば、確実に少ない部類に入ると思われます。また、登場人物の絡みを複雑化させていないことから、簡素であることが伺えます。

謎の生き物の存在が、宇宙の生物なのか、地球上で未だ発見されてない新種の生物なのか、妖怪なのか、神さまなのか、異次元の生き物なのか、人工的に作られた生き物なのか、明確にされていない部分が面白いです。明確にしないことで、観る側は固定概念に当てはめることがありません。

また、制作スタッフにおいても、自由なアイデアをアニメ本編に反映させることができることはメリットが大きいのではないでしょうか。そして、観終えた後に、色々と想像させられるので印象に残りやすいように思います。

短編アニメの特徴を捉え、そのメリットが活かされたアニメ作品なのではないでしょうか。

 

「センコ」のキャラクター性

全体から漂わせるヤル気ない感じは、サンリオの「ぐでたま」を彷彿とさせるものがあります。ただ、言葉を発することがないので、「ぐでたま」より更に意欲がないように映ります。

「ぐでたま」は、自分のしたいこと、興味のあることには意欲的に行動する一面を見せます。しかし、「センコ」においては、食欲があるのみで、他のことへの興味は薄いように思います。また、ご主人さまにコントロールされなければ、一切の行動を起こすことがないように感じられます。その命名から象徴されている「ぐでたま」より、「センコ」の方が「ぐで」加減は上回っています。

キャラクターデザインが可愛らしいものであったら、「ぐでたま」以上に人気を誇るキャラクターになれたかもしれません。外見はどうしても気持ち悪さが強いので、キャラクター性は面白くても、先のイメージを払拭するに至りません。

その部分については、残念だし、惜しいと思わざるを得ないです。

 

物語内容の面白さ

短編アニメなので、物語性では初めから勝負していないと考えられます。実際、物語という面から捉えても、単純な内容であることは否めないです。4コマ漫画の起承転結を、そのまま映像化したような印象すら抱かせます。

そして、そのことから制作スタッフからのメッセージ性を感じられません。そこの部分も、初めから切り捨てて制作されたのだと考えられます。

しかし、短編であっても物語は物語なので、そこに制作スタッフの意図した面白みは持たせていると思うのです。それは何なのか、について振り返ってみると、テツとユキの立場の逆転なのではないでしょうか。

ユキの立場からすると、謎の生き物「センコ」と、それを操るテツの存在に興味津々だったと思われます。そして、自分の中に浮かんだ疑問や興味を解消すべく、テツに対して、立場は下手だったように思われます。しかし、ユキが「センコ」を餌付けしてしまった為、「センコ」がテツから寝返り、ユキにコントロールを渡してしまいます。

そのことで、ユキとテツの立場がいつの間にか逆転していることが、意図された物語の面白みなのではないでしょうか。片腕を失ってしまったテツに対し、ユキは「センコ」をテツの片腕に変身させ、「しばらくの間は貸しておいてあげる」と言っています。

「センコ」の所有権がユキに移り、テツの立場がなくなっていることが物語の面白さだと思います。

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