やりたい放題なのは相変わらず
初めからのサプライズ
物語の始まり部分から絶望先生が漂流していて、流れ着くまでの過程に驚かされました。これまでの話が無かったことになっており、改めて、ゼロから物語を展開させていくつもりなのか、と思いました。初っぱなから、ずいぶん思いきった展開だったのではないでしょうか。
これまでのことが一切無かったことのように扱われるのか、と思ったら、生きている設定と生きていない設定があり、無茶苦茶なのは相変わらずのように思います。
シリーズ1では、木津さんと絶望先生が保健室で一緒の布団で寝てしまうアクシデントが起きてしまいます。きっちり責任をとってもらうことに固執して、木津さんは、絶望先生と結婚して入籍しようと企てています。しかし、シリーズ2となる「俗・さよなら絶望先生」には、その設定は無かったことになっているように感じます。木津さんが絶望先生と結婚させようとする場面は皆無なのではないでしょうか。
他の部分は、そのまま継承されているのに、消えてしまった設定のように思います。原作者自体が、設定に整合性をもたせることに無頓着だということも、アニメ作品の中で触れられています。探してみたら、他にも矛盾していること、つじつまが合わないことが出てくるのかもしれません。
社会・一般ネタ
原作者においては、ずいぶんとネタを探す為の努力をしていることが伺えます。幅広く、色んなことを面白おかしくイジっているのに感心させられます。また、イジる勇気という点においても恐れ入ります。
原作の出版元である週刊マガジンをネタにしていたり、前に連載していた週刊サンデーをネタにしていたり、色んなところから怒られそうなことを平然とネタにしているところが最高です。
特に、毎週水曜日発売なのに、なぜ「週刊サンデー」なのか、という疑問は声を出して笑ってしまいました。
また、七夕を扱った回では、願い事を考える際、絶望先生は「退職願い」を短冊にして吊るしていました。こういった一般ネタの中にも、原作者の光るセンスを感じられるのではないでしょうか。
そして、流すように、NHK受信料未払いにも触れており、払わなくて当たり前と、サッと言い切っていたのに驚かされました。問題発言を敢えてすることに面白さがあります。
そして、政治関係からは、小泉元総理大臣や石破元防衛大臣もイジっていました。石破さんの方は、サクッと1秒にも満たない出オチのような扱いされていましたが、小泉さんは絶望先生とワケ分からない討論までされており、それなりの時間が使われていました。
こういった笑いには二通りの面白さがあると考えられます。
一つは、大晦日の特番でお馴染みとなっている「ガキの使いやあらへんで!笑ってはいけないシリーズ」に通じる、大物人物を登場させる意外性です。間違いなく、登場させるだけで笑ってしまいます。
そして、もう一つは、やりたい放題で何が起きるのか、分からないワクワク感です。しかも、扱い方においても、雑に扱えば扱われるだけ、それはオイシイ笑いになります。
もちろん、本人の許可を得ているとは思えませんので、本人が怒ってしまったら、とんでもない問題に発展しかねないのではないでしょうか。それを恐れずにやってしまう、突っ走る勇気は本当に凄いと思います。
他のアニメ・マンガネタ
挙げだしたらキリがない数のアニメ・マンガネタを扱っています。これも、他の制作スタッフの方たちや他団体から怒られることがないのか、謎の部分です。
特にプリキュアネタでは、オープニング曲を差し替えるほどのイジり方をしています。大胆なことをすると感心させられるのと同時に、半分は呆れてしまう気持ちも抱いてしまいます。
プリキュアネタだけじゃなくて、オープニング曲を度々差し替えることがあり、斬新な演出だったように思います。特に金田一を扱った部分など、映像や音楽での手抜きはないように感じられます。
ふざけることを本気でやると、こういうことになるという代表例になってしまっているようにも思えます。
また、ヱヴァンゲリヲンを扱ったネタ、ガンダムシリーズを扱ったネタなど、引っ張ってくるネタにも糸目がないです。さりげなく、そして、突拍子もなく差し込んでくるので、画面から目が離せなくなります。
こういった場面を多用されることから思うことは、原作者もアニメ・マンガオタクであることは間違いないでしょう。他のアニメ・マンガ作品が好きでないのに、「さよなら絶望先生」のアニメ・マンガに登場させることはないように思うのです。そういった部分をとても強く感じ取れるのではないでしょうか。
また、ドラクエを扱ったネタには笑ってしまいました。絶望先生がレベルアップして、画面上のみですが、「キアリー」覚えていたことが面白かったです。種類は数多くある呪文の中で、なぜ「キアリー」という選択だったのか、中途半端さも妙にツボに入りました。
一休さんみたいな昔の子供向けアニメも取り込んでいた、と思えば、初音ミクという新しい分野をも扱っています。本当に色んな分野を勉強して、ネタ作りされていることが伺えます。しかし、こういったネタが多いということは、この「さよなら絶望先生」という作品のオジリナリティーや、新しい発想という要素が欠けていることの裏返しなのかもしれません。
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