英国紳士のかっこよさ - レイトン教授と永遠の歌姫の感想

理解が深まるアニメレビューサイト

アニメレビュー数 2,474件

レイトン教授と永遠の歌姫

5.005.00
映像
5.00
ストーリー
5.00
キャラクター
5.00
声優
5.00
音楽
5.00
感想数
1
観た人
1

英国紳士のかっこよさ

5.05.0
映像
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

ゲームコンテンツからのアニメ化

これまで、アダルト向けのPCゲーム、「サクラ大戦」、「ポケットモンスター」など、ゲームという媒体からアニメ化された作品が挙げられます。しかし、推理モノというジャンルでアニメ化された「レイトン教授と永遠の歌姫」という作品に斬新な印象を持ちます。

また、明らかに子ども向けのアニメ作品で、全体的にほのぼのと感じさせるのが好感を持てます。画のタッチや音楽など、細かい部分でこだわって制作されていることが伺えます。キャラクター自体は、3~5頭身、腕や身体の細い特徴は、ディズニーアニメを彷彿とさせるものがあります。キャラクターデザインはディズニーアニメを意図的に意識して作られたものだと推測できます。

また、ゲームユーザーでなくても、アニメ作品を楽しむことができました。それは、登場人物の関係性を複雑にせず、分かりやすい構図だったことが大きいように思います。アニメ化するのに適したコンテンツだったのは間違いないのではないでしょうか。レイトン教授の活躍は、映画スクリーンやテレビアニメの中で、もっと観てみたい気がします。自分で頭を使って、操作して、物語を進行させていくゲームという媒体より、アニメ媒体の方が気軽に楽しめることができそうです。そういう部分でのハードルは低くて、「レイトン教授」というコンテンツに入っていきやすいように感じました。

 

レイトン教授の存在

考古学者という肩書きからは、信じられない知識の豊富さ、回転の早さ、行動力があり、肩書きが霞んでしまいそうになります。むしろ、探偵業や警察の方が職業として適しているように感じさせます。

レイトン教授は、穏やかなインディ・ジョーンズというように考えることができます。古代の遺跡の文明を悪用しようとするデスコールに対して、戦って事件解決させる部分は、インディ・ジョーンズそのままのように思えます。しかし、英国紳士という設定で、普段は穏やかな印象です。その二面性とギャップがレイトン教授の魅力なのではないでしょうか。「静」と「動」を兼ね備えている存在、という印象がとても強いです。

また、英国紳士という言葉は、レイトン教授の中で行動理念となっています。英国紳士という言葉の中に、こうあるべき理想像というものが、レイトン教授の中で明確に存在するように伺えます。そして、その理想像を貫く姿勢に、カッコ良さを感じさせます。

 

脚本・ストーリー作り

元々、相談ごとから始まった物語は上手く作られていると感心させられます。相談ごとを解決するだけであれば、レイトン教授の考古学者という設定が蔑ろになってしまいます。しかし、古代遺跡の機能を復活させる謎解きがあったことで、レイトン教授の本文をうまく活かした展開になっているのではないでしょうか。

また、豪華客船の場面で出てきた「ナゾトキ」では、それを解決していくことの楽しさが生まれます。クイズ番組のように、観ていて色々と考えてしまい、考えてしまうことでアニメ作品の中に引き込まれてしまうものがあります。

また、レイトン教授に相談を持ちかけたジェニスが、事件真相に食い込んでいた展開は意外性があり、物語を面白くさせているように思います。見事に、「起承転結」の「転」として、観る側を驚かせる展開として機能しているのではないでしょうか。

こういった手法を取り入れた脚本・ストーリー作りが、とても上手だと感じました。

 

醜い人間模様

豪華客船や無人島での「ナゾトキ」場面で、それぞれの人物が生き残ろうとする人間模様の描写が、リアルだったように思います。それぞれの人物の性格や背景、参加する理由が明確に描かれていたことで、それぞれの駆け引きが面白くなったのではないでしょうか。

DEAD OR ALIVE、天国か地獄か、そして、天国に行けるのは一人だけで、他は全て地獄行きという状況の演出も、人間の醜い部分を曝け出すのに十分なものだったように思います。そして、周囲の人間模様が酷い状況が、レイトン教授たちのカッコ良さを際立たせたのではないでしょうか。

 

人間の命について

人間の記憶をコピーして別人の脳に貼り付ける、という斬新な発想が、この物語の根幹部にあります。当然、倫理的には決して許されることではありません。しかし、子どもを亡くしてしまった父親の愛情が狂気に変わってしまい、このような事件を起こしてしまいました。

強いメッセージ性を感じないアニメ作品「レイトン教授と永遠の歌姫」ですが、この部分については考えさせられるものがあります。物語の中では、「永遠の命」と呼ばれていますが、内実は及ばない中身のように思います。記憶のコピー・ペーストを繰り返すことで、「永遠の命」と呼ぶことに無理があるのではないでしょうか。

人間には尊厳があり、記憶を貼り付けられる側は、それを放棄させられることになります。少しずつ薄れていき、貼り付けられた人格は消えていく、という設定でした。しかし、それでも許されることではないでしょう。

ここで汲み取れるメッセージ性は、命の重さではないでしょうか。限られた命だから、大切にしなければならないと思います。限られているから、輝くものなのではないでしょうか。幼くして、若くして、亡くなってしまう方も少なくはないでしょう。

また、残された方は、後悔や自責の念に迫られるでしょう。

しかし、消えてしまう命だからこそ、大切にしなければならないのだと思います。

亡くなった方を生き返らせる方法は存在しません。だからこそ、「生きる」ということ、「死ぬ」ということに向き合っていかなければならない、そんなメッセージ性を感じました。

 

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

関連するタグ

レイトン教授と永遠の歌姫を観た人はこんなアニメも観ています

レイトン教授と永遠の歌姫が好きな人におすすめのアニメ

ページの先頭へ