幽麗塔が読み始めると最後まで一気読みしてしまう3つの理由
何度もあるどんでん返しが面白い!
もともと海外の小説「灰衣の女」という小説が原作とされる乃木坂太郎のマンガ「幽麗塔」は、誰も動かし方と止め方を知らない幽霊の住むと言われる時計台と、そこに隠された財宝を巡っておこる様々な事件を解き明かす手に汗握るミステリーです。
主人公の天野太一はある日、謎の美少年沢村鉄雄に「一緒にお金持ちになろうよ」と誘われ、幽麗塔の謎を一緒に解き明かしていきます。
この作品の魅力は何と言っても最後まで誰が犯人か予想しきれないこと。この人が犯人かもしれないと目星をつけた頃に何度もどんでん返しが起こり、予想を裏切られるので面白く読むのをやめられなくなります。
謎の美少年が男装し、偽名を使った女性であることが徐々に明らかになり、序盤の方で早くも彼の部屋から血の付いたナイフが出てきます。「もしや彼が犯人?でも彼自身が犯人を追っているので犯人は別にいるのか?」
そう思わせたすぐ後に顔のただれた怪物が幽麗塔に住んでいることがわかります。この人が犯人だと予想すると、その怪物と同じ服、同じ手袋をした別の怪物も登場し、「あれ、さっきこの人だと思っていたあの人はこの人だったの?」とついつい初めから読み直してしまいます。
この後もでてくる登場人物すべてに怪しい要素があり、作品に引き込ませる魅力があります。
魅力的で怪しい登場人物
幽麗塔にはたくさんのキャラの濃い登場人物がでてきます。
出てくるすべての登場人物がなんらかの怪しい要素を持っており、誰もが犯人になりえるので、読んでいる時も油断できません。
- 沢村鉄雄…男装し偽名を使う謎の美少年。幽麗塔にもともと住んでおり、老婆殺しの犯人とされた麗子本人だという事が徐々に明らかになります。自身で麗子が老婆を殺したと宣言しておきながら、別の犯人を追っている矛盾がとても怪しいです。
- 丸部 道九郎…幽麗塔で起こった殺人事件の担当検事であり、重要証拠をもみ消した過去を持っています。後に幽麗塔を買取り、再びそこで起こった殺人事件をさらにもみ消そうとします。なんのために、どんな動機でそうするのか目が離せません。
- 死番虫…幽麗塔に住みつく殺人鬼。顔を隠しているので誰かわかりません。
- 幽麗塔に住みつく顔のただれた男…麗子の婚約者であることが後々明らかになりますが、初めのうちは、この人こそ死番虫だと思わせられるシーンがいくつかあります。
- 刑事…主人公に協力する山科刑事。協力するふりをしつつ、情報を流すよう促すシーンもあり、怪しい一人です。
- もぐりの医者…仮面をかぶり、他人の命を救うために別の人の命を平気で奪おうとするもぐりの医者も強烈なインパクトのある登場人物です。
綺麗な画力に引き込まれる!
男性マンガですが、乃木坂太郎さんの描く絵はとても美しく、細かいタッチで書かれているので女性でも読みやすいのが魅力です。
昭和29年の神戸を舞台としており、衣装や背景が繊細で綺麗です。レトロな雰囲気が好きな方はきっと見入ってしまうでしょう。
また、登場人物の一人である鉄雄は女性でありながら男の恰好をしています。大抵の場合女性のこころをキュンとさせるほど格好よく描かれていますが、ときおり見せる女性らしい色っぽい顔や華奢でなだらかな体のラインも必見です。
男性、女性ともに楽しめる作品です。
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