改めて思う戦争の恐ろしさ - 火垂るの墓の感想

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火垂るの墓

4.654.65
映像
4.65
脚本
4.59
キャスト
4.53
音楽
4.53
演出
4.50
感想数
17
観た人
28

改めて思う戦争の恐ろしさ

4.54.5
映像
5.0
脚本
4.5
キャスト
5.0
音楽
4.5
演出
4.5

目次

戦争の苦しみ、怖さは経験したひとにしか分からない

戦争時代の話です。とても悲しい気持ちになる話ですので、戦争時代の嫌な思い出がある方には勧められない厳しい作品です。最初は、普通に生活を送っていた日本でした。突然、悲劇が起こります。悲劇とは、戦争のことです。現代人には理解し難い問題です。理解していると言っても本当の苦しさは、実際に体験した方にしか分からないと私は思います。アニメの中でその辛さを表現しようとしてみても、視聴者に伝わるものは悲しい気持ち、大変だったんだという同情心が主に伝わり、本当の怖さや辛さが理解されるわけではないと私は思います。戦争を経験した人は、涙を流しながら語り始めます。それ程、暗く、強く、熱く、、色々な心情が頭の中をよぎるのでしょう。そんな大変な経験をした方に、大変でしたね、辛いですね、と言ったところで、それは失礼ではないかと感じてしまいます。戦争は、恐ろしいです。だから簡単な言葉で済ませてはいけません。もう二度と戦争が起こらないよう、私たちに出来ることはどんな事でしょうか。

地獄のような世界に心に余裕がある人なんているはずない

”火垂るの墓”は、戦争によって家族を亡くし家も無くし子供だけで必死に生き抜く姿を描いている部分が印象深く、兄妹の二人の愛を身をもって感じる作品でした。子供、大人関係ない、生きる強さ、生きていこうとする気持ちはきっと皆が強く持っているのでしょう。人間は弱い生き物かもしれませんが、それでも協力し合いながら必死に生き抜こうとする姿が印象に残っています。例え家が無くなってしまったとしても、家を持つ人に一緒に住まわせてもらいます。お米が無くなれば、隣の家で分けてもらうのです。家族が居なくなってしまったら、近所の人が優しい声をかけてくれるかもしれません。しかし、戦争という時代では、こんな事をしてくれる人は本当に余裕がある人だけだろうと感じました。余裕というのは、物に余裕があるということはもちろんですが、気持ちに余裕がある人という意味で、戦争という厳しい状況の中で心に余裕を持てる人はほとんど居なかったのではないかと思いました。自分と自分の家族を守ることで精一杯になってしまうのは仕方なく、自分も同じ立場だったらそのようになってしまうと思います。親とはぐれた子供が必死に歩き続けている姿が悲しくて泣けてきました。私はその子供は、そのうち疲れ果てお腹も減り、その場から動けなくなってしまうのだろうと想像しました。そして眠っているかのように息をしなくなるのだろうと思いました。灰で黒く汚れた体と足からは歩き続けたせいか血が出ている姿は心が痛みました。横を誰が通っても見て見ぬ振りをするのでしょう。見て見ぬ振りではなく、必死過ぎて目に入っていたとしても何とも思わないかもしれません。それは本当の”無”という状態だと思いました。大人が子供を守ることが出来ない時代が本当にあったのかという信じられない気持ちになります。

主人公を幼い子供2人にしたこと

2人だけになってしまった姿を見て、私は涙でいっぱいになりました。兄は妹を守るという強い思いがあるように感じました。自分しか妹を守ることは出来ないという気持ちになった兄は、妹を背中に背負って必死だったに違いありません。細い体に細い腕、細い足がふらふらして、今にも転びそうな姿は、必死に生き抜くという印象を受けました。歩く姿は涙が出ますし、妹の可愛い笑顔を見ると切なくなりました。妹はお母さんがどこかで待っているから、そこへ兄が連れていってくれると信じていたのだと思います。兄はお母さんが亡くなってしまったと気付いた瞬間、妹を守ると心に決めたのではないかと思います。その様子は強く、大人にも負けないくらい力強く見えました。どうにか2人を誰か助けてあげて欲しいと私は何度も心の中で思いました。2人に生き抜いて欲しいと思いながらもそれは無理かもしれないという気持ちがありました。瘦せ細った妹の姿は悲しい現実を直視しなければならないということを無念に思いました。

兄は14才、妹は4才、幼い2人の命が消えた時、私は全て戦争が2人を死に追いやったのだと思いました。ドロップ缶の中に妹の小さな遺骨をしまい込んだということが切なくてたまりません。それさえ持つ力がもう兄には残っていなかったかと思うと涙が出ました。妹を必死に守り続けた細い体が印象的で戦争がどれだけ恐ろしいかを物語っていました。

天国へ行ったらもっと幸せになって欲しいと願いました。こんな切なく悲しい思いをもう味わってほしくありません。そんな気持ちでいっぱいになりました。懸命に生きた2人を強く生きたと感じます。無残な兄妹の姿を見ることは、非常に辛いですが、その姿をみて戦争は絶対にしてはいけないという思いを強くさせます。地獄のような世界を味わった2人、今は天国でお腹いっぱいのおにぎりと、ドロップ缶を手にしていることを心より願います。

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視点を変えて

戦争の悲惨さをこれでもか、と描いた映画。その大前提に一片の疑問もありません。しかし他の方がその辺に関するレビューはたくさん書いてくれているので若干視点を変えたレビューをしたいと思います。二人残された兄妹が、二人だけで生きていかなければならなくなってしまった様は非常に物悲しいですが実は妹のセツ子はともかく兄の清太は必ずしも被害者、というだけではないのです。親戚の家で二人はあまりいい待遇を受けることが出来ませんでしたが、その一因は兄である清太が率先して親戚の手伝いをしようとかあるいはなじもうとかしなかったためでもあり必ずしも親戚が意地悪だったとは言い切れないのです。とはいえあえてこのような描かれ方をしているのかもしれません。視聴者である神の視点から見ればそう見えるだけであり、まだ子どもである清太には出来ることに限りがあったのも事実でありそれはまさに現実的な描写でもあるのですから。この感想を読む

5.05.0
  • kurioukuriou
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  • 393文字

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