まるで人間かのようなギリシャ神たち
ギリシャ神に反旗を翻した人間たち
神々の傲慢なふるまいによって人間たちはとうとう神に対し戦いを挑むことを決めます。それはまるで悪政に苦しむ民衆が革命軍として立ち上がり、国王の軍に戦いを挑むのと同じように思えます。ギリシャの神は富と権力で国民をねじ伏せるかわりに、逆らったら「呪い」という人間たちの力ではどうしようもできない力で支配しています。それなのに自分たち神を崇拝しろと言われたところで神として崇めることなんてできないでしょう。見えない力を使われる分、人間の暴君よりたちが悪いと言っていいかもしれません。しかも逆らった内容が、「自分を愛してくれなかったから」「自分より美しいと言ったから」「神を冒涜したから」など、人間にしてみれば「呪い」をかけられるほど悪いことだとは思えないことばかりです。「神様がすることだから何か意味があるのだ」「自分たちが傲慢過ぎたため罰が下ったのだ」と思ったところで、思い当たる理由がこれでは我慢するには無理としかいいようがないような理由でしょう。傲慢なのは神のほうで、そんな神は必要ないと言ってしまったカシオペアの気持ちもわからないではないです。
ギリシャ神話の中では先祖をさかのぼるとゼウスの血が入っているとされている王族が多数存在します。それはゼウスが好色者だったということもありますが、王族が権威を持つため、家柄を神聖なものとするためにこぞって自分の娘を差し出したという説もあります。英雄として物語に残っている半神も多くペルセウスもその一人です。このことからも神と人間の距離はすごく近かったことが分かります。もちろん神の力に対する恐れはあったのでしょうが、呪術師を雇っている暴君に戦いを挑むのとあまり違いがないのかもしれません
人間の傲慢さに罰を与えようとするギリシャ神
ギリシャ神たちは基本的には人間を愛しているようです。ではなぜ人間に対し「呪い」をかけるのか、しいて言えば神というプライドの高さ故の暴挙だと考えてよいでしょう。しかし、ギリシャ神たちは自分たちが人間に「呪い」をかけたのは、あくまでもその人間を懲らしめようとしただけであり、神ゆえそれが呪われた人間たちにとってどれほど苦痛を伴うものかをあまり考えていなかっただけというところのようです。自分たちが人間にしていることも「傲慢」「暴挙」だとは思ってもいないようです。神たちは人間たちにひたすら愛を注いでいるのに、「なぜ人間たちが信仰を捨てるのか」「なぜ自分たちを侮辱するのか」わからず、自分たちがあまりに愛しすぎたため調子に乗っているのだと結論を出しました。このことからも、自分たちにとって人間にかけた「呪い」はちょっと懲らしめるぐらいのレベルだったに過ぎなかったのでしょう。それだけ人間と神との間には考えのギャップがあったということです。
タイタンの戦い
タイタンとはティターンとも言われ、一般的に知られているのは巨人としての意味のようです。そのほかの意味としてはギリシャ神話・ローマ神話に登場する神々の総称で、狭義としてはウラノスとガイアの間に生まれた12柱の神々の兄弟姉妹を示すようです。12柱の中にゼウス・ポセイドン・ハデスの父であるクロノスが属しています。ここでは主に人間とギリシャ神の戦いが表に出ていますが、それと並行してゼウス・ポセイドンに対するハデスの心理戦も描かれています。本編には巨人が登場しないのに「タイタン」というタイトルがついているのは、続編である「タイタンの逆襲」に巨人が出てくることから続編も含めてのタイトルという説もありますが、両作品を通して大きな戦いとして「ゼウス・ポセイドンVSハデス」が描かれています。そのことからも、タイタン12柱であるクロノスの3兄弟の争いを意味するタイトルだとも考えられるでしょう。
ギリシャ神話がこの映画のもとになっていますが、かなり設定が違うところがあります。ペルセウスが生贄にされかけたアンドロメダを助ける物語は有名でその物語の中に「グライアイ三姉妹」「メデューサ退治」があります。しかしギリシャ神話ではカシオペアが怒りをかったのはポセイドンで、アンドロメダを襲おうとしたのは海の怪物となっています。ゼウスがペルセウスに贈ったペガサスですが、ポセイドンとメデューサの子どもです。ペルセウスがメデューサを退治したときに生まれ出たとされています。なので、メデューサ退治の前にペガサスをペルセウスに贈ることは不可能な設定ともいえるでしょう。そして一番違うのがアクリシオスとペルセウスの関係です。ギリシャ神話ではアクリシオスはペルセウスの祖父となります。ペルセウスによって倒されるところは同じですが、ギリシャ神話ではペルセウスが投げた円盤がたまたまあたって死んだ老人がアクリシオスとなっています。ギリシャ神話に詳しい人にとっては設定の違いが気になるところといえるでしょう。
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