あの輝きをもう一度。
2009年7月に公演予定だったロンドンO2マリーナのマイケル・ジャクソン「THIS IS IT」コンサート。
実現することなく終わったこのコンサートのリハーサルをプライベートで収めたフィルムをつなぎ合わせた本作は、完成することがまさに奇跡・・・・というか死者に群がる商法というか・・・
それでも、これはやはりとても貴重な記録といえるのだから、見ないわけにはいかない。
厳しいオーディションを勝ち抜いて、憧れの人と同じ舞台に上がれる幸運に涙を流して震えながら喜ぶダンサーの姿から始まる映像。
長い隠遁生活からの復活、コンサート予定の発表時のあの痩せっぷりから、よもや踊れないのでは・・・それならそれで、もう椅子に座ってただ歌うだけでいいんですよ。その姿声を聴けるだけで、ファンはただ幸せなんですよ。・・・などと思っていたのにもかかわらず、スクリーンに登場したKing Of Popの、以前のように、イヤ、以前にも増してクールで洗練されたパフォーマンスにまず度肝抜かれる。
そして、年長者として、ダンサーやミュージシャン達に寄り添い、時間をかけて育てていこうとする姿勢。
もちろん、あのあまりにも真っ直ぐな天然っぷりも健在で、まだ生きてそこにいるようなワクワクしてキラキラする時間が確かにあった。
現実の困難から束の間人びとをエスケイプさせてくれるマイケル・ジャクソン。そんな彼の生前の思いを死してもなお実現してくれたこの映画には感謝。
例え誰かが死者を金儲けに使おうという邪な考えがあったのだとしても、あのKingにまた会えるのだという幸せを噛みしめたファンが、世界各地に確かに大勢いたのだから。
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