児童書の枠を超えた作品 - ポケットモンスター全書の感想

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ポケットモンスター全書

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キャラクター
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児童書の枠を超えた作品

5.05.0
画力
4.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
設定
5.0
演出
5.0

これはポケモンブームの初期に発行された作品の一つですが、他に類を見ない作品になっています。

作者は中村里美(現在、ささいみりかというペンネームで新聞漫画などで活躍中)

様々なゲーム原作の4コマ漫画などで執筆をされてきた方です。

その頃からゲームの中にあった事柄を独自の視点で解釈し、漫画に起こしてきました。

その技術の全てが詰まった集大成とも言える作品がこの「ポケットモンスター全書」です。

まず、宣伝文句には一冊の本の中にポケモン151匹全てが登場!とあります、1コマしか出てこないポケモンが殆どですが、きちんと原作のゲームにゆかりのある場所に描かれており、作者の漫画家として以上にゲーマーとしての生真面目さを伺うことができます。

それに加え、自転車売り場にはゲームに実際にあった値段が表記されている等、細かい部分に対するこだわりを挙げるときりが無いほどです。

そう、この漫画はそういった部分を発見するパズル的な要素も含まれているのです。

しかし、それだけでは多くの児童書一つとなってしまいますが、この作品には他にも魅力があります。

それは、登場人物のストーリーの掘り下げです。

元のゲームは今見るととてもチープで、絵や文書も少なく、なぜこのキャラクターはこのようなことを?なぜ今このようにしているのか?などと明確な答えは出されていませんでした。

そんな少ない情報量から違和感なく、感動的にキャラクターの過去や心理描写が描かれています。

特に後半、主人公の母親が徹夜で看病をするというシーンがあるのですが、そこで一切疲れる様子を見せずに母の強さを表すシーンは女性の作者ならではのものでしょう。

今まで数多く関連書籍は出版されてきましたが、この漫画は過去になく、そしてこれからもない唯一無二の作品になるでしょう。

今年で25周年を迎える今でこそ読む価値のある作品だと思います。

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