カメラマン一之瀬泰三
アンコールワット遺跡の撮影を夢見てカンボジアに入国した戦場カメラマン一之瀬泰三の物語です。
一之瀬泰三がカンボジアに入国したのは1972年、当時アンコール遺跡はクメール・ルージュの支配下にあり、近づくことはできませんでした。
現在アンコール遺跡群は世界有数の観光地であり世界中から観光客が集まり治安の悪いイメージは薄れてしまいましたが、たった40年前のカンボジアはポル・ポト政権下にあり、何十万とも百万以上とも言われる国民が虐殺されるような時代でした。
おそらく当時のアンコールワットを写真に収めるのは貴重なネタだったのでしょうが、映画が進むうちに一之瀬泰三が金儲けのためではなく、アンコールワットを自分の人生そのものと感じるように変化していくような気がしました。
結局彼はクメール・ルージュに捕縛され殺されてしまうのですが、死ぬ間際に少しでもアンコールワットを見ることができたのでしょうか。
今でもカンボジア国内にはたくさんの地雷が残っていて毎年犠牲者も出ていますが、内戦の恐怖は終結しています。
私は2000年にアンコール遺跡を訪れた際、ほんの30年前まで近づくことができなかったという事実を知り、この映画と一之瀬泰三がカンボジアで起こった戦争の恐怖を風化させないのだろうなと思いました。
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