患者を笑顔にするパワーがある作品
ナースにしか出来ない仕事があることを教えてくれた作品です。
”ナースのお仕事”といえば、難しい医療ドラマとは違い、特に人間関係を描いた作品です。医療ドラマというと、医療用語が出てきたり、手術シーンや長々と患者の病名を説明する医者のセリフなどを想像します。このドラマはそういった難しい医療用語などはあまり目立たず、タイトルの通り、どちらかといえばナース自身の仕事、ナースの役割、ナースにしか出来ない仕事を、テーマにしているように感じました。怖い印象を受けるような手術シーンもないので、小学生や更に小さなお子様、お年寄りの方も一緒に見ることが出来る作品になっています。家族みんなで楽しめる医療ドラマだと思います。主人公のドジで失敗ばかりの新人ナース朝倉を中心に始まり看護師、医者、患者、恋愛話なども混ぜ合わせながらすすめられる内容は時には笑いなしでは見れないようなシーンが多々あるため楽しんで見ることが出来ます。ナースとしての本当の仕事とは一体何なのか、考えさせられる作品です。実際に、看護婦の方、これから看護婦を目指す方々にはぜひ見て頂きたいと感じました。こんなナースがいる病院っていいなと本当に思いました。
治療も重要です。しかし、患者さんの話を親身になって聞き、相談相手、話相手にもなれるナースは患者さんと常に近い立場にある重要な仕事だと改めて感じました。医師にはそこまで深く親密に関わっていくことはないでしょう。医師はどういう治療法でこの患者さんを治療して行こうか、どんな薬が効くだろうかと考えるのです。看護婦と医師ではそれぞれの仕事内容が全く違うのだということを教えられました。医師にしか出来ない仕事があるように、看護婦にしか出来ない仕事もあるということが分かります。以前私が入院している時に、親身になって話を聞いてくれた看護婦さんがいました。その方は、ベテランというわけでもなく、ごく普通の女性でした。私が不安になっていることを察してくれたのです。私は確かに不安でしたが、泣いていたり、弱音を吐いたりしていたわけではありませんでした。看護婦さんがいうには、私はいつもお見舞いの家族が来て帰っていく時に一瞬ですが悲しそうな顔をしていたそうです。自分では何も意識していませんでした。そんな些細なことを見抜いていた看護婦さん。私は看護婦さんにいつでも見守られているんだという気持ちになり、不安な思いが少し消えて、体が楽になるような感覚がしました。私の気付かないところで、看護婦さんは私のことを常に心掛けていてくれました。それが私の仕事だから、と言っていました。
新人ナース朝倉が変えた!?病院のイメージ。
この作品の面白いところは、新人ナースの朝倉が転んだり、つまづいたりして、患者さんとぶつかったり、医療機器を倒してしまったりするシーンです。私の祖母はこういう場面でいつも大笑いしていました。元々気難しい医療ドラマを見たがらない祖母でしたが、ナースのお仕事だけは毎週一緒に良く見ていました。朝倉は担当の大部屋の患者達ととても仲が良く、一緒に歌ったり、トランプをしたりするシーンもありました。ベテランのナース達はこの朝倉の行動に納得がいきません。そしてナース同士で衝突してしまうシーンがあります。しかし朝倉の本当に患者を想う気持ちを理解して少しづつ仲良くなっていき、ナースの間に少しづつ団結力が増してくるのです。朝倉のような看護婦が沢山いたらいいのにと、当時病院嫌いの子供だった私は心から思っていました。私の通っていた病院の看護婦さんはキリっとしたメガネをかけてテキパキ動き、笑った顔を見たことがないくらい怖い印象だったことを覚えています。怖いイメージがある病院を、少しでも柔らかいイメージにしてくれる作品のような気がします。病院嫌いの子供に見せたら効果がありそうです。私はこの作品には怖いイメージの病院を楽しいイメージへ変える不思議なパワーがあると思います。もしそれが狙いだったなら、大成功であると思います。
朝倉を支える個性派揃いの俳優達。
朝倉の役割は、病院のイメージを楽しくするために作られたのでしょうか。だとしたら、朝倉を演じきったモデル出身の観月ありささんは、素晴らしい演技をしてくれたと思います。朝倉以外の俳優もそれぞれが楽しい独特な演技を見せ、出演者の俳優全員がこの作品を作り上げたのだろう。医療ドラマというよりもここまで人間関係を描いた作品は、他にあるでしょうか。個性的な演技を見せた全ての出演者の皆さんにも注目してみるとより楽しさが増してくるでしょう。様々な特徴のある患者役の方々、ナースに恋をするドクター、新人ナースと研修医との恋、主任ナースにどうしてもなりたいベテランナース、そのベテランナースの味方をする個性的なナース達、、、。全ての設定が病院の暗い、怖い、苦手という印象を、改善するために楽しく作られた作品だと私は思います。病気の人がこの作品を見て少しでも笑顔になるようにという願いが込められているように感じます。
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