もう一つの三国志 - 蒼天航路の感想

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漫画レビュー数 3,135件

蒼天航路

5.005.00
画力
4.30
ストーリー
4.83
キャラクター
5.00
設定
4.67
演出
4.83
感想数
3
読んだ人
7

もう一つの三国志

5.05.0
画力
3.4
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
設定
5.0
演出
5.0

「知っている三国志との違い」

まず特筆すべきは、一般的な三国志のストーリーと違うところでしょう。通常この時代の主人公は劉備玄徳です。本作品はその劉備玄徳の最大であり、最強のライバル曹操孟徳が主人公だということです。私はこのストーリーを読み進むに連れて強い衝撃を受けました。それは作中の劉備玄徳はひどくダメな人間だということです。人徳者で知られているはずの劉備は人の威を借り、逃げ回り、逃げ込んだ先が滅ぼされれば全てを捨ててまた逃げる。諸説あるとは思いますが、こんな劉備を描いている作品を見たのは初めてでした。

「孤高の天才 曹操孟徳」

では主人公の曹操孟徳です。彼は通常の三国志では割に陰険で、裏をかいて相手を騙し、残虐の限りを尽くすヒール役です。しかし、本作品では天才、非凡であるからこその苦悩や葛藤に苛まれ、その中から光明を見つけて突き進む孤高の人でした。非凡であるが故に周りからは理解されず、孤独と戦い、傷ついていく様が印象的です。私は劉備のような人徳がありません。曹操のような才能もありません。ただ、私としては曹操の方が感情移入をしやすかったです。

「現れたもう1人の天才」

三国志史に欠かせないもう1人の天才が諸葛亮孔明です。彼もまた、非凡の天才。作中では何故か、妖術使いのようなキャラクターで登場しています。私としては少し残念でした。孔明の策士としての天才ぶりが妖術や幻術のような形になってしまうと、なんだかとても下せない気持ちになります。史実では曹操に唯一対抗できた作詞が孔明です。もう少し人間らしい天才の姿を見たかったと思います。蒼天航路の中で、劉備が曹操と渡り合えている要因が孔明の妖術紛いな策というのもすごくもったいなく思いました。

「終わりに」

蒼天航路は歴史漫画の中でも非常にレベルの高い作品だと思います。時代とマッチした画質も躍動感があって、読んでいて迫力を感じました。私の大好きな三国志が曹操サイドからの視点で読み解けることは本当に貴重な機会を与えてもらえたように思います。最後、曹操は亡くなってしまいますが、私の中に最後の顔が非常に印象深く残っています。1人の男が苦難を乗り越え、誰よりも濃密で重量感のある人生を全うした。安らかなあの顔は盟友劉備の存在があったからではないでしょうか。最後に原作・原案李學仁、漫画王欣太、両先生に心から良い作品を世に出していただいてありがとうございますという言葉を送りたいと思います。









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他のレビュアーの感想・評価

誰もが美しく、自分勝手に生きていく

三国志の登場人物に新たな血肉を与えた!!かもしれない作品です。様々なゲームやマンガにより、三国志という誰もが(ただしオタクに限る)が登場人物とキャラについて知っていたであろう作品ですが、蒼天航路はそれを踏襲したわけでもなくあえて違うキャラ設定をしたわけでもなく、もっともっと魅力的に進化させたように思います。そもそも三国志演義は歴史書でなく蜀よりの物語なので、なんとなく誰もが主人公:劉備というイメージを持っていた三国志ですが(これまた劉備が主人公にふさわしいキャラクターなもので)、魏の曹操が主人公というのは当時は珍しかったはずです。余談ですが、連載当時、中国人の先生と三国志の話になった時に誰が好きかと問われ「曹操」と答えたところ、「あいつは悪いやつだがいいのか」と言われたので、中国でもおそらく同じだと思われます(サンプルがたった一人)。一般的なキャラのイメージを私の偏見で語りますと、曹操...この感想を読む

5.05.0
  • ともるともる
  • 295view
  • 2610文字
PICKUP

曹操の魅力

『蒼天航路』は、読んでわかるように、曹操目線で描かれた三国志である。他の三国志の漫画は劉備を中心に描かれていることが多いのだが、曹操がメインキャラクターになっているので、曹操好きにはたまらない展開になっている。というよりむしろ、これを読んで曹操が好きになる人が多いのではないだろか。私自身はそうだった。もともと横山光輝氏の『三国志』を小学生のこのに愛読していたので、根っからの三国志好きで、昔は劉備や関羽、張飛の桃園の契りなどの兄弟愛にあこがれを抱き、そして夢中になった、曹操目線のこの『蒼天航路』を初めて読んだときに衝撃を受けた。蜀の武将についての基礎知識はまずまずあったが、魏の武将に関してこんなに深く描かれていることに驚いた(曹操の知識はそれなりにあったが)。そしてなにより、臨場感あふれるタッチに目を奪われたことは否定できない。リアルな描写が、早く次を読みたいという衝動に駆り立てる。私的...この感想を読む

5.05.0
  • blue333blue333
  • 284view
  • 511文字

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