やさしさに満ちた世界
1988年に公開されたジブリ作品。
昭和30年代日本を舞台にした、トトロと、姉妹であるサツキとメイのファンタジックな物語。
この作品の見どころはたくさんあるが、特に優れているのが、子どもたちの描写だ。サツキの生き生きとした動き、メイの幼い歩き方(階段を片足ずつ上るところが、かわいい)、細かいところまでこだわって制作されていることがわかる。新しい家に越してきたシーンでのドタバタぶりも、楽しく、またかわいらしい。廊下を走り、家中を探検。子どものわくわくした心情がよく表現されているといえる。
そして、明るくかわいい子ども…で終わらないところがリアルであり、また説得力があり、物語を深くしている。
入院中の母親を想う二人の不安感、恐怖感は、セリフがないシーンでもとても伝わってくる。宮崎監督の天才的センス、感性を感じずにはいられない。
そんな不安を抱えている二人を助けてくれる存在も忘れてはいけない。サツキの同級生であるカンタ、(雨やどりするサツキとメイにぶっきら棒に傘を差しだすシーンが実にいい)畑を手伝わせてくれるカンタのおばあちゃん、すべてを包み込んでくれるような優しいお父さん…。どの登場人物も魅力的だ。
トトロというキャラクターのかわいさもこの作品の魅力だが、人間味あふれ、優しさに満ちた世界が、とてもいい。
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